第45話 彼との再会
「これからはずっと一緒ですよ」
その言葉を聞いた瞬間、背筋が凍りつくような感覚に襲われたもののどうすることもできなかった。
その後どうなったかというと、彼女たちは私の体に絡みつくようにしてくっついてくるようになったのだ。
おかげで身動きが取れなくなり、毎日が大変なことになってしまったが、
それでも彼女と一緒ならば耐えられると思ったのである。
それに、何よりも私自身も彼女のことが好きになっていたのだから断る理由なんてあるはずもなかっただろう。
むしろこの状況を喜んでさえいたのだから、私も大概どうかしていたのかもしれないな……と今では思うようになっていたりするのである。
もちろん他のリリアンさんに対しても同じようなことをしているということは言うまでもないことであるが、
まあ細かいことは気にしない方がいいだろうということで話はまとまったのであった。
そんなこんなで一日を過ごし終えた私達は帰路についたのだが、途中で休憩したり、
他愛もない話をしたりしているうちにあっという間に時間が過ぎていったのである。
気がつけば夕方になっていたので、そろそろ帰ろうかと思ったところで
ふと思いついたことがあったので提案してみることにしたのだ。
「ねえ、せっかくだからこのまま一緒にお風呂に入りましょう?」
私がそう言うと彼女は嬉しそうな表情を浮かべながら頷いてくれた。
その様子を見た私は心の底からホッと胸を撫で下ろしたのだった。
彼女に拒絶されたらどうしようかと思っていたのだけれど、杞憂に終わったようで安心した。
そうして二人で一緒に素肌になり浴室へ向かうと、ゆっくりと湯船に浸かり疲れを癒やしたのだった。
その後はお互いの体を洗うことにしたのだが、その際に私たちはお互いの肌を重ねあわせることになったのだ。
彼女の一部を触るたびにドキドキしてしまい、それが伝わったのか彼女も頬を赤らめながらも微笑んでくれた姿が可愛らしかった。
その後もしばらく楽しんでいたが、あまり長くいるとのぼせてしまいそうだということで切り上げることにした私達は部屋へ戻ることにしたのだが、
ふと思いついたことがあったので彼女に提案することにしてみた。
「あのさ、せっかくだからこのまま一緒に寝ちゃわない?」
それを聞いた彼女は少し戸惑った様子を見せたものの、 結局は了承してくれたので遠慮なく甘えることにしたのだった。
「おやすみなさい、愛羅様」
そう言って微笑む彼女を抱きしめながら眠りにつくと、翌朝目が覚めると隣にはリリアンさんがいるのですが、
何故か、こちらをじっと見つめているのです。
「どうしました、リリアンさん?」
私が尋ねると、彼女は微笑みながら言いました。
「はい、愛羅様に一つお伝えしておくことが御座いまして」
それを聞いて少し身構えてしまいますが、一体何を言われるのだろうかと思っていると思わぬ一言が出てきましたのです。
それは衝撃的で信じられないものでした。
だってまさか彼女がそんなことを考えているなんて思いもしなかったのですから……!
そして、私は彼女の口から聞かされた言葉に衝撃を受けつつ絶句するしかありませんでした。
それを聞いた私は、顔を真っ赤にしながら俯くことしかできませんでした。
まるであの日の事を思い出させるように心臓がバクバクと音を立てていたからです。
しばらくの間はまともに目を合わせることもできそうもないくらい動揺していましたし、
とても平常心を保つことなどできそうにもなかったです。
(だけど、そんな彼女も含めて好きなんだと思ってしまう辺り末期かもしれませんね)
「愛羅様、今日は何をなさいますか?」
そう言ってきたのはリリアンさんだった。
私は迷わず答えた。
「そうね、久しぶりに二人で散歩でもしようかと思っているんだけどどうかな?」
そうすると彼女は嬉しそうに頷いてくれたので早速出かけることにしたのだった。
目的地は勿論、城下町です。
「そういえば、昨日良いものを見つけたんですけど行ってみませんか?」
そう言ったのはリリアンさんです。
どうやら私に見せたいものがあるようですので、一体なんでしょうか?
とても楽しみに思いながらついて行くことにしました。
暫く歩いていると大きなお屋敷が見えてきましたが、これは誰の家だろうと思っているうちに
中へと入っていきましたので驚きましたが同時に納得もしていました。
だってこんな豪邸に住んでいる人なんて限られているでしょうから恐らく来客なのでしょうけど何用でしょうかね……?
まあ私達には関係なさそうですのでスルーすることにしますかと思っていたところで執事の男性が現れました。
当然の事なのですが、こちらに話しかけてきたのですがその声を聞いて驚愕することになりましたのです。
何故ならその声に聞き覚えがありましたから、まさかと思い恐る恐る聞いてみることにしました所やはりそうでした。
執事は私たちに礼儀正しく一礼し、静かな声で
「ようこそ、我が主の館へ」
と言いました。
その声、それはまさに… 私の幼なじみであるユウトの声でした。
ユウトとは小さい頃からの親友で、彼の家族が旅に出てからは連絡が途絶えていました。
まさか彼がここで執事をしているなんて、思いもよらなかったのです。
リリアンさんが微笑みながら言いました。
「驚いたでしょう? 実は私、このお屋敷の主人の娘なんです。
そしてユウト君は、うちの執事として働いているんですよ」
私は驚きと喜びでいっぱいで、ユウトに駆け寄りました。
彼も笑顔で
「久しぶりだね」
と言い、私たちは抱き合いました。
何年もの間、再会を夢見ていた幼なじみとの突然の再会に、涙があふれそうになりました。
リリアンさんが私たちを連れて、豪華な居間に案内してくれました。
彼女は
「今日は特別な日なんです。実は私が見せたかったのは、
ユウト君との再会だったんです。 あなたが彼のことをとても懐かしんでいるのを知っていたから」
と優しく語りました。
居間には美しい絵画と高価な家具が並び、窓からは庭園の景色が見えました。
そこでユウトは、これまでの話を始めました。
「実は、あの日、 俺が死んだ後、リリアンが俺を生き返らせてくれたんだ。
そして、この屋敷に連れてこられて、今はここで暮らしている」
とユウトは言いました。
私は驚きましたが、同時に納得もしていました。
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