第39話 過ごし方

食事を済ませた後は冒険者ギルドに向かい依頼を探しましたが、

さすがに今日受ける気になれなかったため、街を散策することにしました。

歩いている途中、気になる店を見つけたので中に入ってみると、

そこには色々なものが置いてありました。

例えば、アクセサリー類や洋服などがあります。

どれも可愛らしくて綺麗だったので、つい目を奪われているとアマネが話しかけてきました。

「愛羅、欲しい物があったら言ってね」

と言われましたが、どれも素敵なデザインだったので何を買うか悩んでしまいます。

(うーん、どれもいいけどなぁ……)

結局、何も買わずに店を出ました。

その後は本屋に立ち寄って本を購入しました。

冒険ものの小説があったので読んでみたら面白かったです。

その後も街を散策してから宿に戻りました。

さすがに連日戦うことが続いたため、私たちは疲れていたのでゆっくりと休むことにしました。

その日はぐっすりと眠れたので、体調は万全の状態になりました。

そして翌日、目が覚めた私は身支度を整えてから朝食を食べに行きました。

昨日と同じカフェテリアに向かうと、既に他のメンバーが席に着いていました。

そして朝食を食べている間、誰一人として話そうとはしませんでした。

ただ黙々と料理を口に運んでいるだけです。

正直、空気が重かったですけれど、せっかくのお泊りなので楽しい思い出を作りたかったのですが、

どうしようもありませんね……。

(仕方がない、諦めて今日はゆっくりしましょう)

そう思い、私も同じように食事をすることに専念しました。

しかし、誰も喋ろうとしないため気まずい空気が流れ続けています。

もはや食欲すらも無くなるほどでした。

どうしてこんな風になってしまったのか分かりませんが、原因は間違いなく昨日の出来事でしょう。

恐らく、彼女達はまだ悔やんでいるのでしょう。

でも私は気にしていませんでしたし、むしろ感謝しています。

そうでなければ、こんな経験をすることはできませんでしたから。

何にせよ、このままではいけませんね。

何か話題を振らないと……。

そう考えた私は、ふと思いついたことを口に出してみることにしました。

その言葉に反応した他の皆が顔を上げて反応してくれましたが、その表情はまだ暗いままです。

もしかしたら、昨日のことを思い出して後悔しているのかもしれませんね。

だからといって私が落ち込んだ顔をしていてはいけませんし、とりあえず笑顔を作って話しかけました。

そうすると彼女達も徐々にですが、表情を緩めていったので安心しました。

そんな時でした、リティアがおもむろに話しかけてきました。

「愛羅、昨日は本当にごめんなさい!」

突然謝られて、私は困惑しました。

「えっ? ど、どうしたのですか?」

そう尋ねると、リティアは頭を下げながら話し始めました。

「私のせいで貴女達に迷惑をかけてしまったわ……ごめんなさい」

そんなリティアの言葉を聞いて、私は少し驚いてしまいました。

まさか彼女がそんなことを言い出すとは思わなかったからです。

でもすぐに冷静さを取り戻して言いました。

「いえ、大丈夫ですよ」

そう言うと彼女は顔を上げましたが、まだ納得していない様子です。

そんな彼女に対して私は続けました。

「むしろ感謝していますよ? おかげさまで貴重な体験ができましたから」

私が笑顔で言うと、彼女はホッとした表情を見せました。

そうすると今度はミレネが話しかけてきました。

「そう言ってもらえると助かりますわ……ところで一つお聞きしたいのですが……」

「はい、なんでしょうか?」

私が聞き返すと、彼女は少し恥ずかしそうにしながら尋ねてきました。

「その……愛羅は男性経験はあるのでしょうか?」

突然の質問に私は驚きましたが、すぐに答えました。

「いえ、ありませんけど……」

そう答えると、今度はリティアが尋ねてきました。

「では男性に対して興味はあるのかしら?」

その問いに私は考え込みました。

今まで考えたことが無かったからです。

でも今は違います。

なぜなら目の前にいる彼女達のことを意識している自分がいますから……。

だから正直に答えました。

「はい、あります」

と答えると、二人は嬉しそうに微笑みました。

そして次の瞬間には私の手を握ってきたのです。

突然のことに驚いている私に向かって彼女達は言いました。

「それなら私達にもチャンスがあるということね」

「ええ、そうですね」

二人の言葉の意味を理解するまで数秒かかりましたが、ようやく理解しました。

(ああ、そういうことか……)

どうやら私は二人に狙われてしまったようです。

でも不思議と嫌な感じはしませんでした。

むしろ嬉しいとさえ思っています。

だから私は笑顔で答えました。

「はい、喜んでお受け致します」

こうして私達は付き合うことになりました。

その後、宿に戻った後はそれぞれの部屋で一夜を過ごしました。

そして翌朝、朝食を食べ終えてから冒険者ギルドに向かい依頼を受けることにしました。

内容はいつも通り魔物退治ですが、今回はいつもと違う点が一つありました。

それは私達のパーティに新たにリティアが加わったことです。

彼女は弓使いなので後方から援護してくれるそうですが、

正直言って不安しかありませんね……まあ、いざとなれば私が守ればいいだけの話ですけどね!

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