第38話 旅の再開
そう思った時にはすでに手遅れでした。
岩に邪魔されてアマネ達の姿が見えなくなりました。
私は岩にぶつかった衝撃で、そのまま気を失ってしまいました。
次に目を覚ますと、そこはベッドの上のようでした。
どうやら誰かが運んでくれたようです。
周りを見ると、他の三人も心配そうな面持ちで私を見ていました。
どうやらみんな無事だったみたいです。
そのことに安堵した私は起き上がりました。
まだ少し痛みが残っているものの、動けないほどではなかったのでホッとしました。
そんな私の姿を見たみんなは安心したのか、笑顔を見せてくれました。
「よかった、目を覚ましたんだね」
とアマネが声を掛けてくれました。
ミレネはホッとした表情を浮かべており、シズクは私の手を握って優しく微笑み掛けてくれます。
二人の優しさに包まれながら、私たちは冒険を続けることにしました。
その後も様々な魔物と戦いましたが、最初と比べると格段に戦いやすくなりました。
それはおそらく仲間の存在が大きいからでしょう。
私が指示を出す前に、彼らは的確な行動を起こしてくれたからです。
そのおかげでスムーズに戦えるようになり、結果的に今までよりも短い時間で依頼を達成することができました。
これで全て終わったと思いましたが、ここで思わぬハプニングが発生しました。
それは帰りの途中でのことです。
この辺りには盗賊が出没するという噂を聞いた事があったのですが、案の定現れてしまったようです。
私達は急いで逃げようとしましたが、向こうの方が早く追いつかれてしまい捕まってしまいました。
アマネとシズクは武器を取り上げて、私を含めた3人は身体を押さえつけられました。
しばらくすると一人の男が近づいてきました。
その男は私達を見ながら言います。
「いやぁ、まさかこんな上玉を手に入れられるなんて今日はついてるな!」
と言って下品に笑っています。
そんな彼に対してミレネが怒鳴りつけました。
「離しなさいよ変態! このクソ野郎!」
そんな彼女の言葉を聞いた瞬間、男は怒りの形相を浮かべて怒鳴り返します。
「なんだと!? 大人しくしてろ!」
そういうと、男は彼女に歩み寄り、羽交い締めにして無理矢理唇を奪います。
最初は暴れていた彼女ですが、次第におとなしくなっていきました。
それを見て満足したのか、男は笑みを浮かべつつ私に語りかけてきました。
「悪いな嬢ちゃん達、もう逃げられねえよ」
そう言うと、今度は別の男が話しかけてきました。
「さて、そろそろ俺達の為に踊ってくれないか?」
「誰があんた達なんかの為に踊るもんですか!」
ミレネが反論すると、男はニヤリと笑いました。
そして彼女の服に手をかけると、一気に引き裂きました。
「きゃああっ!」
と悲鳴を上げる彼女を見て、他の二人は怒りの表情を見せましたが、何もできません。
そして次の瞬間には下着姿になった彼女がいました。
その姿を見て興奮したのか、男達はさらに興奮し始めます。
(まずい……このままだと本当に犯されてしまうかも……)
そんな不安を抱いた時でした。
突然目の前にいた男が吹き飛びました。
何が起こったのか分からず呆然としていると、今度は別の男が吹き飛ばされます。
その後も次々と人が飛んでいきました。
その光景を見ていた盗賊達は動揺していましたが、すぐに落ち着きを取り戻して反撃に出ようとしましたが、
それすらも叶いませんでした。
なぜなら彼らの前には一人の少女がいたからです。
「あなた達、私の仲間に何をするつもり?」
そう言いながら現れたのはリティアでした。
彼女は鋭い眼差しで盗賊達を睨みつけています。
その迫力に圧倒されたのか、男達は後ずさりしました。
「おい、どうするんだよ?」
と一人の男が尋ねると、別の男が答えました。
「こうなったら力尽くでいくしかねえな!」
その言葉を合図に一斉に襲いかかってきましたが、リティアは冷静に対処していました。
まず最初に襲ってきた男を蹴り飛ばすと、次に襲ってきた男を殴り飛ばします。
さらにもう一人の男は彼女の魔法によって吹き飛ばされてしまいました。
その様子を見ていた他の盗賊達は怖じ気づいたのか逃げ出そうとしましたが、
その前にリティアが立ち塞がります。
そして次々と倒していきました。
(凄い……)
私は思わず見惚れていました。
「これで全員かしら?」
とリティアが言うと、 盗賊達は頷きました。
こうして私達は無事に救出されました。
その後、私達は街に戻り冒険者ギルドに報告をしました。
その際、依頼達成の報酬として金貨5枚を手に入れました。
思わぬ収入に喜びつつ、私達は宿へと戻りました。
翌日、目が覚めると既にみんな起きていました。
どうやら私が一番遅く起きたようです。
(あれ? なんでだろう?)
と思いながら身体を起こすと、何故か身体が重く感じます。
不思議に思って自分の身体を見ると、なんと素肌になっていました。
(えっ!? なんで!?)
慌てて布団を被ると、今度は自分が何も着ていないことに気づきました。
その瞬間、顔が真っ赤になっていきます。
どうしてこうなったのか考えているうちに段々と記憶が蘇ってきました。
「あっ、そうだ……昨日、私……」
そこでようやく思い出しました。昨夜の出来事を……。
(そっか、私、アマネとシズクに抱かれたんだ)
そう思うと急に恥ずかしくなり布団の中に隠れてしまいました。
そんな私の様子を見た二人が声を掛けてきます。
「愛羅、おはよう」
とアマネさんが言います。
それに対して私は小さな声で返事を返しました。
すると今度はシズクさんが話し掛けてきました。
「愛羅、大丈夫ですか?」
心配そうに尋ねてくる彼女に私は頷きます。
そうすると安心したような表情を見せました。
その後、私達は身支度を整えてから朝食を食べに行きました。
その際も会話はほとんどありませんでしたが、不思議と気まずい感じはしませんでした。
むしろ心地良いとさえ思えました。
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