第37話 新たな冒険

「こんにちは、愛羅。私はミハル」

そう言って微笑みかけてきたのは、ピンク色の髪をした可愛らしい女の子でした。

年齢は私よりも少し年上でしょうか?

その隣に立つもう一人の女の子も挨拶してくれました。

「初めまして、私はシズクと言います」

と礼儀正しくお辞儀をしました。

こちらも綺麗な黒髪をした美人さんです。

二人ともスタイルが良くて羨ましいです。

そんなことを考えていたら、突然後ろから抱きしめられました。

驚いて振り向くとそこにはアマネの姿がありました。

彼女は嬉しそうに微笑みながら言いました。

「紹介するね、この子達は私の友達だよ」

と紹介されたので、私も自己紹介することにしました。

すると今度は別の女の子が話しかけてきました。

彼女は赤い髪色をした元気そうな子で、名前はミレネといいます。

年齢は私と同じぐらいでしょうか?

「あたしはミレネ、よろしくね!」

と元気よく挨拶されました。

こちらも笑顔で返すと、彼女は嬉しそうにしていました。

そんな様子を見ていたアマネが私に話しかけてきました。

「愛羅、私達はこれから冒険に出るんだけど一緒に来ない?」

私は少し悩みましたが、せっかくのお誘いなのでついていくことにしました。

それに彼女達と一緒なら安心できると思ったからです。

それに私自身もこの世界を見て回りたいと思っていましたから……。

こうして私は新たな仲間と共に旅に出ることになったのです。

まずは近くの街に向かうことになりました。

道中で襲ってくる魔物を倒しながら進んでいきますが、不思議と恐怖心はなく安心していられました。

それはきっと彼女達の強さを目の当たりにしたからだと思います。

特にアマネの戦いぶりは凄まじく、一瞬で魔物達を蹴散らしてしまいました。

「愛羅、危ない!」

アマネの叫び声で我に返った時には、すでに手遅れでした。

目の前には巨大な熊のような魔物が迫っていました。

私は死を覚悟しましたが、次の瞬間には信じられない光景を目にしました。

なんとアマネが素手でその魔物を倒してしまったのです。

しかも素手で殴っただけでした。

これには私も驚きましたが、それ以上に周りの人達の方が驚いていたようです。

ミレネに至っては興奮気味に話しかけてきました。

「すごい! 今のどうやったの!?」

と興味津々といった感じです。

そんな様子を見ていたシズクも感心しているようでした。

「さすがですね、アマネさん」

と言いながら拍手していました。

他の仲間も口々に褒め称えていましたが、当の本人はあまり嬉しそうではありませんでした。

どうやらあまり目立ちたくないと思っているみたいです。

「愛羅、大丈夫だった?」

とアマネが心配そうな顔で尋ねてきました。

私は笑顔で答えます。

「うん、大丈夫だよ」

そう言うと安心したような表情を見せました。

それから私達は街に向かって歩き始めました。

道中で何度か魔物に襲われましたが、その度にアマネ達が撃退してくれました。

おかげで一度も危険な目には遭わずに済みました。

そして日が暮れる前には無事に目的地に到着することができました。

そこは大きな街でした。

たくさんの人々が行き交い活気が溢れています。

その様子を見ていると自然とワクワクしてくるのを感じました。

(これからどんな冒険が待っているんだろう?)

そんな期待を抱きつつ、その日は宿屋に泊まることにしました。

翌朝、目を覚ますと既にみんな起きていました。

どうやら私が一番遅く起きたようです。

慌てて支度をして朝食を食べに行きますが、そこで衝撃的な事実を知ります。

なんと、この世界では魔法が使える人が少ないようで、ほとんどの人が使えないそうです。

それを聞いた瞬間、私は落胆しました。

せっかく異世界に来たのだから魔法を使ってみたかったのですが……どうやら無理のようです。

ですが落ち込んでばかりはいられません!

気を取り直して冒険に出発です。

まずは冒険者ギルドに向かいます。

冒険者登録をしておかないと依頼を受けることができないからです。

手続きを済ませると、早速依頼を探すことにしました。

最初は簡単なものから始めようと思い、薬草採取の依頼を受けることにしました。

街の外に出ると、そこは草原でした。

見渡す限り緑の絨毯が広がっているように見えますが、よく見ると所々に花が咲いていたりします。

綺麗な景色を眺めながら歩いていると、あっという間に目的地に到着しました。

目的の薬草はすぐに見つかりましたが、一つだけ問題がありました。

それは魔物の存在です。

魔物とは、魔法が使える動物のことです。

彼らは人間を襲うことがあり、時には命の危険に晒されることもあるそうです。

そのため、冒険者は魔物を退治することを生業としているのです。

私達も例外ではありません。

アマネとシズクが武器を手に取りました。

ミレネは杖を構えて呪文を唱え始めます。

私はというと、特に何もせずに待っていました。

というのも、私には戦う力が無いからです。

そんなことを考えているうちに、戦闘が始まりました。

まず最初に動いたのはアマネでした。

素早い動きで敵に迫ります。

その動きはまるで舞っているかのようでした。

そして、手に持った剣で次々と敵を斬り伏せていきます。

その華麗な動きに見惚れていると、今度はシズクが魔法を唱え始めました。

「火の精霊よ、我が呼びかけに応え、敵を焼き尽くせ!」

そうすると、彼女の頭上に巨大な火の玉が現れました。

それは徐々に大きくなりながら敵に向かって飛んでいきます。

そして着弾と同時に大爆発を起こしました。

凄まじい威力です。

直撃を受けた敵は跡形もなく消え去ってしまいました。

その後もアマネとシズクの連携により、次々と魔物を倒していきました。

その様子を見ていた私は感心していました。

(凄いな……)

と思いながら見ていると、いつの間にか最後の一匹になっていたようでした。

その魔物は巨大な熊のような姿をしていますが、明らかに普通の熊とは違います。

鋭い牙や爪を持っているだけでなく、口から炎を吐いて攻撃してきました。

それを見たミレネは慌てて防御魔法を唱えます。

「水の精霊よ、我らを守りたまえ!」

ミレネが呪文を唱えると、私達の周りに水の壁が現れました。

その壁は炎を防いでくれました。

しかし、このままではジリ貧です。

何とかして攻撃しなければ勝ち目はありません。

そこで私が提案しました。

「アマネさん、シズクさん、私に考えがあります」

そう言うと二人は頷きました。

そして私を先頭にして敵に向かって走り出します。

私は剣を構えて突撃しました。

すると敵は口から炎を吐いて攻撃してきましたが、間一髪のところで避けることができました。

そのまま間合いを詰めていきます。

(よし、このまま一気に決める!)

そう思った瞬間でした。突然目の前に巨大な岩が出現します。

それはまるで壁のようでした。

(しまった! 罠だ!)

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