第31話 愛羅とアリス達、旅の再開
また、残された妹についても気にはなっていたようですが、その後彼女がどうなったのかはわかりませんでした。
しかし、その後の日記の文面から察するに彼女もまた行方不明となってしまったようでした。
どうしてリーセレッドがこのような運命を辿ってしまったのかを考える度に心が締め付けられるような思いがしました。
そして、この少女の心の叫びが痛いほど伝わってきたのです。
やがてページをめくる手が止まらなくなった私は時間を忘れて読み耽ってしまったのですが、
途中で意識を失ってしまったような気がします。
そして再び目を開けた時には自分の部屋にいたのですが、まるで夢を見ていたかのようでした。
現実味のない話でありましたが、間違いなく実在した出来事だと思いますし、
何よりあの少女を助けたいという気持ちが強く芽生えましたので近いうちに必ず探し出すことを決意する白崎愛羅であった。
そうして、愛羅はアリス、リリィ、ユア、サラ、アレシア、ルティア、ルナの七人と共に旅する為に目的地へと
向かっているのです。
目的地へと付けば、アリスやリリィ、ユア、サラ、アレシア、ルティア、ルナが手を振っているので、
私は笑顔で手を振り返し、駆け寄るのでした。
「みんな、久しぶり! 元気にしてた?」
私がそう声をかけると、皆が一斉に答えてくれたので、とても嬉しかったです。
「久しぶり! 会いたかったよ!」
リリィが抱きついてきたので、私は優しく抱きしめ返すのでした。
「愛羅、私も会いたかったわ」
ルティアも私に抱きつこうとしてきましたが、私はそれを躱しました。
何故なら、ルティアは隙あらば私を襲おうとするからです。
油断なりませんね……。
そんなやり取りをしていると、アレシアが咳払いをして注目を集めました。
どうやら何か話があるようです。
「実は皆さんにお伝えしたいことがありますので聞いてください」
そう言って話し始めた内容とは、これから向かう目的地についての話のようでした。
なんでもその場所にはかつて栄えた王国があったそうなのですが、今では見る影もなく荒廃してしまったそうです。
そして、その原因こそが魔王の存在なのだとか……。
今から向かう場所はその魔王の城がある場所なのだそうです。
「なるほど、つまり私たちは魔王を倒す為に旅をしているということですね?」
私がそう言うと、皆が一斉に頷きました。
どうやら間違ってはいないようです。
こうして私たちは魔王の城があるという場所を目指すことになったのです。
「でも、どうやって探すつもりなんだろう……?」
そう呟きながらも歩みを進めていましたが、特に手掛かりがない以上、どうすることもできませんでした。
そのまま歩き続けることしばらく経ったところで、ついに目的の場所に辿り着いたのです。
そこは周囲を崖に囲まれた場所でした。
辺りには何もなく、ただ静寂が広がっているだけでしたが、それでも確かに気配を感じることができたのです。
それは紛れもない事実であり、だからこそ確信を持ってこの場所が目的の場所だと言えたのでした。
そうするとその時、突如として声が聞こえてきたのです。
「ふふ、よくぞここまで来たな」
突然聞こえてきた声に驚いた私達は警戒しながら周囲を見渡しましたが、声の主の姿はどこにも見当たりません。
「一体どこに居るの!?」
誰かが叫ぶように言いましたが、それに応えるように再び声が聞こえました。
「ふふふ、ここだよ……」
声の聞こえた方向に目を向けると、そこには1人の少女が佇んでいました。
その姿は紛れもなくあの時、廃墟と化した屋敷で出会った少女でした。
間違いないと確信したところで声を掛けることにしました。
まずは挨拶をしようと思ったのですが、彼女は何故か悲しげな表情を浮かべています。
そんな様子を見ていると心配になってしまいましたが、とりあえず声を掛けてみることにしました。
「……えっと、こんにちは!」
私が挨拶をすると、向こうもまた返してくれました。
「あ、ああ、どうもこんにちは、白崎愛羅さんですよね?」
「はい、そうですけど……」
何故自分の名前を知っているのだろうと思って首を傾げていると、彼女は説明を始めました。
どうやら以前会ったことを覚えていてくれたようでした。
嬉しい気持ちになりながら、改めて彼女の顔を見つめてみると、どこか見覚えのあるような気がしてきたのです。
一体何処で見たのだろうかと考えているうちに思い出したのです。
あの時の子だと、ようやく気がついた時、自然と涙が溢れてしまいました。
そんな彼女に対して、私は泣きながら抱きつき、謝っていたのです。
ごめんなさい、助けてあげられなくて、助けられなくて本当にごめんね、と何度も謝りながら泣きじゃくっていました。
その様子を見ていた他の子たちも同じように涙を流していたので、全員が同じように思っていることが伝わってきました。
そんな中、彼女が口を開いたかと思うと意外な言葉を口にしたのです。
彼女は微笑みながらこう言ったのです。
「大丈夫ですから泣かないでください」
と言う彼女の顔はとても優しくて、まるで天使のように美しかったです。
その優しさに触れたことで余計に泣いてしまったのですが、そんな私を慰めてくれる仲間達がいたおかげで、
なんとか落ち着きを取り戻すことができたのでした。
それから私達はお互いに自己紹介を行い、親交を深めることになりました。
(それにしてもこの子の名前って何だろう?)
そう思って聞いてみたところ、予想外の答えが返ってきました。
なんと彼女の名前は無かったのだそうです。
なので私達の方で名付けることにしたのです。
その結果、選ばれた名前はリーセという名前になりました。
その名前を口にする度に愛おしさが込み上げてくるような気がします。
もう離したくないという思いが強くなりましたが、いつまでもこうしているわけにもいきませんので、
そろそろ出発することにしました。
そうすると、そこで問題が生じてしまったのです。
なんと私たちが通ってきた道が土砂崩れを起こしており、通れなくなってしまったというのです。
どうしたものかと考えていたところ、不意にある方法を思いつきました。
それは空を飛んでいけばいいのではないかという考えに至ったのですが、問題は誰が飛ぶのかという点にあったのです。
もちろん言い出しっぺの私ではありませんでしたし、他の人達も嫌そうな顔をしていたので誰も手を挙げようとはしなかったのです。
そんな時、リリィがあることを提案したのです。
その内容とは全員で手を繋いで同時に飛び上がるという方法でした。
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