第25話 訓練

「ふふっ、まあ知らないでしょうね。私達姉妹は、

それぞれがそれぞれの国の王を務める一族なのよ。

そして私は、隣国であるシスタリア帝国の女王陛下なの」

それを聞いて驚いたものの、すぐに納得した。

だからこんなにも偉そうなのかと納得してしまったからである。

(そうか、この人が私をこの世界に召喚した張本人だったのか)

そんなことを考えていると、彼女が話しかけてきた。

「そんな所で寝ていると風邪引いちゃいますよ?」

そう言いつつ、毛布をかけてくれたのだった。

確かに寒かったので、その気遣いはとてもありがたかったのだけれど、

それと同時に気になっていることもあった。

というのも、なぜ彼女が私なんかの面倒を見てくれるのだろうか? という疑問だった。

しかし、それを聞く前に彼女はこう切り出した。

それは、私が何故召喚されなかったのか? という事だったが、

私にはさっぱり理解できなかったので、首を横に振ることしかできなかった。

「まあ、過ぎたことはどうでもいいわ、それより、早く支度なさい?」

そう言って微笑む。

確かにその通りだと思って、私は急いで服を着替えると、

そのまま部屋を出たのだった。

「それじゃあ、行きましょうか」

そう言って、彼女は歩き出した。

私は慌てて後を追いかけるのだった。

しばらく歩いていると、大きな建物が見えてきた。

どうやらここが目的地らしいが、一体どんな場所なのだろうか?

そんなことを考えているうちに、その建物の中に入ったのだが……そこで目にしたものに驚いた。

なんとそこは闘技場だったのだ!

しかもかなり広い作りになっており、観客席までいるのです。

(え……?)

あまりの衝撃的な光景に言葉を失っていると、彼女は微笑みながら話しかけてきた。

「どうかしら? これが私達の国自慢の闘技場よ」

確かに凄いとは思うが、何故ここに連れて来られたのか分からなかったので聞いてみることにした。

そうすると彼女はこう答えたのだ。

「貴女にはここで戦ってもらうわ」

それを聞いて思わず耳を疑った。

どうして私が戦わなければならないのだろうか?

そんな疑問を抱いていると、彼女が説明を始めた。

「貴女には、これから私達と戦ってもらうわ」

それを聞いてますます混乱してしまった。

どうして私が戦わなければならないのだろうか?

そもそも、私は戦ったことなど一度もないのだ。

そんなことを考えているうちに、彼女はこう続けた。

「大丈夫よ、ちゃんと手加減してあげるから」

と……だが、それでも不安だった。

何しろ相手は一国の王なのだ、勝てるわけがないと思っていたからだ。

そんな私の気持ちを察したのか、彼女が話しかけてきた。

「心配しないで、私達は姉妹なのよ? それに貴女はまだレベル1でしょう?」

そう言われて納得したが、同時に疑問も浮かんだので聞いてみることにした。

「あの、レベルって何のことですか?」

そうすると彼女は微笑みながら答えてくれた。

「ステータス画面を開いて、自分のレベルを確認してみなさい」

そう言われて私は、心の中で念じてみた。

(ステータスオープン)

すると目の前に半透明のプレートが現れた。

そこにはこう書かれていた。

名前:白崎愛羅(しらさきあいら)

種族:人間族

性別:女性

年齢:15歳

身長:158cm

BWH:82-56-82

職業:なし(異世界人)

体力:50/50

魔力:50/50

力 :40

素早さ:45

賢さ :70

運 :30

魅力 :100(MAX)スキル:鑑定LV1、翻訳LV1、アイテムボックスLV1、全属性魔法LV1、回復魔法LV1

固有スキル:なし(MAX)

称号:異世界人、女神の加護、勇者の卵、シスタリア帝国女王陛下のお気に入り

装備:セーラー服(防御力+0)、スカート(防御力+0)、靴下(防御力+0)靴(防御力+0)

(なるほど……これが私のステータスなのね。でも、レベルが1ってどういうこと?)

疑問に思っていると、彼女が話しかけてきた。

どうやらこの世界では、魔物を倒すことで経験値を得てレベルが上がるらしい。

そして一定値まで上がるとレベルが上がるそうだ。

しかし、いきなり戦うのではなくまずは訓練から始める必要があるとのことらしい。

まあ確かに当然だろうと思う反面、自分が戦えるのか不安になったりもしたが、

それでもやるしかないと覚悟を決めることにした。

まずは体力作りから始めることになったのだが、これが中々大変だった。

というのも、ただ走るだけではダメらしく、バランス感覚や体幹なども鍛える必要があるらしいのだ。

そして何より辛いのは、毎朝行われる筋力トレーニングだ。

腕立て伏せや腹筋などを行うのだが、これがまたキツくて堪らないのである。

しかも、少しでも手を抜こうとするとすぐにバレてしまい怒られる始末である。

だが、これも強くなるために必要なことだと思えば頑張れた。

そんな生活を続けているうちに、徐々に体力もついてきて少しずつではあるが成長している実感があった。

そして遂に初めての実戦を迎える時が来たのだった。

闘技場で戦う相手は女王様だった!

一体どんな戦い方をするのだろうか?

そんなことを考えているうちに、試合開始の合図が鳴ったのだった。

まず最初に動いたのは相手だった。

一瞬で間合いを詰めてくると、強烈な蹴りを放ってきた。

何とかガードしたものの、衝撃で吹き飛ばされてしまった。

何とか受け身を取って体勢を立て直すも、休む暇もなく次々と攻撃を繰り出してくる女王様の攻撃に翻弄されるばかりだった。

そして遂に壁際まで追い詰められてしまった私は、逃げ場を失ってしまったのだ。

絶体絶命の状況の中、私は必死に打開策を考えていたのだが、何も思いつかなかったのである。

そんな私を見て女王様は不敵な笑みを浮かべていたのだった。

そして次の瞬間、私の視界は真っ赤に染まったかと思うと意識が遠のいていったのだった。

(あれ? ここはどこだろう……?)

気がつくとそこは真っ白な空間だった。

何もない空間にぽつんと一人佇んでいるような感覚に襲われると同時に、

どこからか声が聞こえてきたような気がしたが何を言っているのか分からなかったので無視することにした。

それよりも気になることがあったからだ。

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