第22話 彼女は魔王?
「白崎愛羅さん、貴女がここに来た理由は分かっています。私を倒すためでしょう?」
彼女は静かにそう言いました。
「えっ? 違うけど」
私は思わず返事をしてしまいました。
だって、そんなつもりは全くなかったのですから……。
そうすると、彼女は少し驚いた様子でした。
「あら、そうなの? でも、私を倒さないとここから出られないわよ」
そう言ってきたので、私は慌てて否定しました。
しかし、彼女は全く動じず、むしろ余裕の表情を浮かべていました。
そして、ゆっくりとこちらに近付いてきたのです。
(やばい……どうしよう!?)
私の頭の中はパニック状態でしたが、それでも何とか平静を保ちつつ、彼女の動向を見守ることにしました。
そうすると彼女が口を開きました。
「ふふっ、そんなに怖がらなくても大丈夫よ」
と言ってきましたが、
「そ、そういう問題じゃないんです! とにかく、ここから出してください!」
と私は叫びました。
そうすると、彼女は少し困った様子で考え込みましたが、やがて何かを思いついたかのように手を叩きました。
「そうだわ! 貴女にチャンスをあげる」
そう言ってきたのです。
一体どういうことでしょうか?
私が首を傾げていると彼女が説明を始めました。
「実はね、今この屋敷には私と貴女しかいないのよ」
そう言い出したのです。
一体どういうことなのでしょうか?
そんな疑問を抱いていると彼女は続けて言いました。
「つまり、今から私と戦って勝てば出してあげるってことよ」
それを聞いて私は驚きました。
まさか、そんなことを言われるとは思ってもいなかったからです。
でも、もし本当だったら戦うしかないです。
私は覚悟を決めると、彼女に向かってこう言いました。
「分かりました、受けて立ちます!」
そうすると彼女は、嬉しそうな表情を浮かべてこう言いました。
「ふふっ、いい返事ね。じゃあ早速始めましょうか」
こうして私は彼女と戦うことになってしまったのです。
果たして、勝てるのでしょうか?
私が不安に思っていると彼女が話しかけてきました。
「そうそう、言い忘れていたけど……もし私に勝つことができたら、貴女を元の世界に帰してあげるわ」
それを聞いて私は思わず驚きました。
まさか本当に帰れるとは思っていなかったからです。
でも、それなら尚更頑張らないといけません!
そんなことを考えているうちに彼女は、戦いの準備を始めているようでした。
私も急いで準備に取り掛かります。
そしていよいよ戦いが始まりました。
まず最初に動いたのは彼女でした。
素早い動きで距離を詰めてくると私に向かって蹴りを放ってきましたが、なんとか避けることができました。
「へぇ、なかなかやるじゃない」
彼女は余裕の笑みを浮かべながらそう言ってきました。
私は、そんな彼女に質問を投げかけました。
「どうして私をここに連れてきたんですか?」
そうすると、彼女はこう答えました。
「それはね、貴女を私の仲間にするためよ」
それを聞いて私は驚きました。
まさかそんな理由だとは思ってもいなかったからです。
でも、もし本当だったら断るわけにはいきません!
なので、思い切って聞いてみることにしました。
「それって本当ですか? 本当に私を仲間にするつもりなんですか?」
そう聞くと彼女は頷きながら答えてくれました。
どうやら本当のようですが、一体何故私なんかを仲間にしたいのでしょうか?
そんなことを考えているうちに彼女が再び攻撃を仕掛けてきました。
今度は、蹴りではなく拳で殴ってきたので避けきれずにまともに受けてしまいました。
その瞬間、全身に激しい痛みが走り、私はその場に倒れてしまいました。
どうやら気絶してしまったようで、気が付くとベッドの上に寝かされていました。
そして、目の前には彼女がいました。
彼女は優しい笑みを浮かべながら話しかけてきました。
「目が覚めたみたいね、気分はどうかしら?」
そう言われて私は、自分の身体を確認しましたが特に異常はないようです。
「大丈夫です」
と答えると彼女は安心した様子でした。
その後、彼女は私に説明を始めました。
どうやら彼女が私をここに連れてきたのは、私に興味を持ったかららしいのです。
そして、その理由を尋ねようとした時でした。
突然、部屋のドアが開きました。
そこに現れたのは、なんとリリィ達でした。
「愛羅ちゃん、大丈夫!?」
そう言いながら駆け寄ってきたのは、リリィでした。
彼女は心配そうに私の顔を覗き込みながら、手を握ってきました。
その手はとても温かくて安心しました。
さらに、他の仲間達も駆け寄ってきて口々に話しかけてきました。
皆、私のことを心配してくれていたみたいです。
そんな彼女達を見ていると心が温まりました。
(やっぱり私は、この人達と一緒に居たい)
改めてそう思いました。だから私は、彼女に言いました。
「私を貴女の仲間に入れてください!」
と……すると彼女は嬉しそうに微笑んでくれました。
そして、私に手を差し伸べてくれたのです。
(やったぁ~!)
心の中でガッツポーズをしながら、彼女の手を掴もうとしたその時でした。
突然、足元が光り始めたのです。
これは一体……?
そう思った瞬間、私の意識は遠くなっていきました。
気が付くと私は、見知らぬ部屋にいました。
どうやらベッドに寝かされていたようですが、一体ここはどこでしょうか?
疑問を抱きつつも周りを見回してみると、そこには誰もいませんでした。
どうやら私一人だけのようです。
とりあえずベッドから出ようとした時でした。
突然、部屋のドアが開きました。
そして入ってきたのは、あの女性でした。
彼女は微笑みながらこちらに近付いてくると、こう言いました。
「おはよう、愛羅ちゃん。気分はどうかしら?」
私は戸惑いながらも返事をしました。
「おはようございます……あの、ここはどこですか?
それに貴女は一体誰なんですか?」
そうすると彼女は微笑みながら答えてくれました。
「ここは私の家よ。そして私は、貴女をここに連れてきた張本人である魔王のアザルラよ」
そう言って彼女は手を差し出してきましたので、私も手を出して握手を交わしました。
その瞬間、何故か心が安らいだ気がしました。
まるで昔から知っているような懐かしさを感じたのです。
どうやらこの女性は本当に魔王らしいです。
見た目は完全に人間にしか見えないのですが、きっと何か特別な力を持っているのでしょう。
そんなことを考えていると彼女が話しかけてきました。
「さて、早速だけど本題に入りましょうか」
そう言ってきたので、私は緊張しながら頷きました。
一体どんな話が始まるのでしょうか……?
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