第20話 妊娠Ⅱ

「これからもずっと、一緒に頑張ろうね?」

そう言って笑いかけるリリィを見て、私は自然と涙を流していた。

何故なら、こんな幸せが訪れたことが本当に嬉しかったからである。

翌日からというもの、私達の生活は一変していった。

まず初めに行ったことは、家事を分担して行うことであった。

ルナーとリリアーナ、私が料理を担当し、リリィが洗濯と掃除を担当し、

そして最後にアイリが担当することになっていた。

最初は慣れない家事だったが、何度も練習を繰り返すうちに段々と手際が良くなっていったのである。

そんな日常生活を送っていたある日のこと、突然リリィに呼び出され、

何かと思って行ってみるとそこには奇妙な生き物がいたのだ。

その生き物はアイリに似た姿をしていたのだが、大きさは優に3倍ほどあったのである。

驚いた私はすぐにアイリを呼びに行き事情を説明した後、ルナーとリリアーナにも協力してもらうことにしたのだが、

恐ろしいことに、現れた敵の強さは圧倒的であった。

私は次々に攻撃を試みながら、攻防を繰り広げたものの、結局敵の力の前に為す術もなかったのである。

私は覚悟を決めた瞬間、いきなり何者かに名前を呼ばれた気がしたが、その正体はすぐに判明した。

そこにいたのは私と瓜二つの顔をした人物だったのである。

驚いて声をあげる前に、彼女は私を攻撃してきたため慌てて反撃して防ぐことはできたのだが、それだけで精一杯の状態だった。

そんな私を救ってくれたのは他でもない、リリィ達だったのだ。

彼女達の協力もあり何とか耐え凌いでいたものの、徐々に追い詰められつつあった私はついに力尽きてしまい倒れそうになったところ、

リリアーナが私の身体を支えてくれたおかげで倒れずに済んだのである。

しかし、その時には既に遅く、敵の攻撃によって大きなダメージを受けてしまった。

このままではまずいと感じ、どうするべきか考えていると、突然リリィが話しかけてきたのである。

その声を聞くと同時に、私は安心感を覚えるようになっていた。

何故なら、目の前にいる彼女も私だったからだ。

次の瞬間、彼女の魂が私の中に入って来ると、それと同時に力が漲ってくるような感覚を覚えたのだった。

そして、気がつけば敵は倒れていたのである。

どうやら助かったらしい。

私が彼女に礼を言うと、彼女は笑ってこう言った。

「もう1人の自分なんて変な感じよね」

それを聞いた瞬間、私は思わず笑ってしまったが、すぐに真面目な顔になって彼女を見つめた後、心の中で話しかけていたのである。

そして翌日以降からは新しい日常が始まったが、それは以前とは全く違うものになるとは誰が想像できただろうか?

少なくとも、今の私には予想できなかった。

しかし、後悔はない。

何故なら、私には大切な家族がいるのだから。

(これからもずっと、この人達と一緒に過ごしていきたい)

そう思いながら、今日も家族と過ごす幸せな時間を過ごすのであった。

そんなある日、リリアーナは体調が悪いということで、

ルナーも同じくお腹の中の子に悪影響が出ないか心配で屋敷に滞在していたが、

リリィは、ある決断をしようとしていたのである。

翌日、リリィがリリアーナの看病をしながら、私はルナーと話し合いを行っていた。

その内容というのが、私とリリィのどちらか一方、あるいは両方を選ぶというものであった。

そもそも、この問題は一年以上前から考えていたことでもあり、

ちなみに、二人にどちらが良かったのか聞いてみると、どちらも甲乙付け難いという回答だった。

つまり、2人とも私のことを好き過ぎるからこうなったのだろうと考えていた。

そう考えると、ますます悩ましい問題だと思ったりもしたのだが、

このまま考えていても仕方ないと思った私は、2人を同時に抱きしめることに決めていたのである。

その結果、満足そうにする彼女達の姿を見ていた私は心から幸せを感じることができた瞬間でもあった。

その後、私達は一線を超えることになったのだが、

とても幸せそうな彼女達の表情を見ているうちに段々と嬉しくなってきた私は、

その後何度も体を重ねることになったが、全く嫌ではなかったと思うし後悔はなかったと思っている。

それから数日後、リリアーナは無事に陣痛が始まり、私とリリィの子供を出産することになるのだが……。

そして、生まれた子供は、私とリリィ、ルナーから名前を取って2人ともリリアーナと名付けたのだった。

それからというもの、私とリリィの愛の証として生まれた子供を大切にして育てたのだが、

ある日、突然、私の身にも不思議なことが起き始めたのである。

それは、私が子供を身篭ってしまったということであった。

どうやら、リリアーナの双子を妊娠してしまったようなのだ。

最初は戸惑いを隠せなかったのだが、不思議と嬉しさもあったのである。

その後、私達は子供を産み、皆で幸せな日々を過ごしている。

ちなみに、名前を付ける際には、私とリリィで考えることになったのだが、

結局良い名前は思い浮かばず、途方に暮れてしまうことになってしまった。

最終的には、どちらの名前でも使えて、愛されていると思えるような名前に決めることにしたのである。

こうして、新たな家族の仲間入りをした双子の赤ちゃんは、今ではすくすくと成長していて、

元気な女の子達だと聞いている。

これからも彼女達の成長を楽しみにしていたいと思ったのだった。

ある日のこと、私は森の中にある小さな家で過ごしていた時のことである。

ふと、リリィとルナーの姿が見えなくなったことに気づくと、2人を探しに外へ出たのである。

そうすると、すぐ近くに彼女等の姿はあったのだが、何やら様子がおかしいことに気がついて近づいてみると、

どうやら喧嘩をしている様子だったのである。

一体何があったのだろうかと思いながらも仲裁することにした私は、まずリリィに声をかけることにした。

「リリィ、何かあったの?」

しかし、彼女は何も言わずに黙っているだけだったため、

今度はルナーに声をかけようとしたその時、急に彼女が抱きついてきたのである。

私は驚いたものの、すぐに冷静さを保って尋ねた。

「ねえ、どうして2人とも怒っているの?」

そうすると、2人はほぼ同時に答えた。

「あなたが悪い」

私は思わず聞き直してしまうことになる。

「えっ?」

「あなたが悪いと言っているんですよ」

リリアーナは冷たい口調でそう答えると、私の方を睨みつけてくるので、

恐怖を感じて逃げ出したい気持ちになっていた。

そんな私に対し、リリィが追い打ちをかけるようにこう言った。

「ねえ、どうして私を悲しませるようなことをしたんですか?」

ルナーが追い打ちを仕掛けるかのように言う。

「そうだよ! あたし達がずっとあなたのことを待っていたのに、

あなたはそんな大事なことを隠していたなんて最低だよ!」

その言葉に、私は何も言い返せなかった。

(どうしよう……このままじゃ本当に嫌われちゃうかもしれない……)

だが、彼女達の言葉責めはまだ終わらないようで、更なる追撃が待っていた。

その後、2人から容赦のない言葉責めが続いたのである。

それからしばらくの間、私は2人からの言葉攻めを受け続けていた。

(どうして私が責められないといけないんだろう?

悪いのは2人じゃない!)

そんなことを考えていた時だった。

突如、全身に強い激痛が走り、意識を失ってしまったのである。

(痛い……苦しい……)

そんな苦痛の中、私は自分が死ぬかもしれないことを感じていたのだが、

それと同時に、何故か安心感を感じていたのであった。

(これで解放されるんだ……)

そう思いながら、私は静かに目を閉じると、そのまま永遠の眠りについていったのである。

そして、その後私は別の女性へと生まれ変わったのである。

私は、何故か二人の女性に責められていると感じていた。

彼女達が言うには、私は悪いことをしたらしい。

確かに、リリアーナに伝えられた情報が、隠し通すつもりが態度に現れていた可能性もあるのかもしれない。

正直、どうすれば良いのかわからなかったが、これ以上嘘を吐くわけにもいかないだろうと思い、

正直に話を切り出すことにした。

(もう正直に話して謝ろう)

そう思った私は、二人に謝罪することにしたが……。

しかし、二人は許してはくれなかったのだ。

それどころか、さらに厳しい言葉を投げかけてくるのである。

「そんな態度で許されると思っているの?」

と、リリアーナが言う。

それに対して私は何も言えなくなってしまったのだが、ルナーが追い討ちをかけてきて……。

それから数時間が経過した頃だろうか。

気がつくと私達は、見知らぬ部屋に監禁されていたのである。

(えっ? 一体どうなっているの? 何でこんな場所にいるんだろう?

私、さっきまで森の中にいたはずなのに……)

私が戸惑っていると、隣にいた少女が話しかけてきた。

どうやら彼女も困惑している様子である。

私達はお互いに自己紹介をして、お互いの素性を探ることになったのだが、

結局何も分からず終いであった。

何故なら、この部屋には何もないからだ。

あるのは、私達が入れられているベッドと、扉一つだけ。

窓もないため、外の様子がわからないし、食料なども見当たらないのである。

一体、どうすれば良いの? と疑問を感じながら、私達二人は必死に考えていた。

そうすると、突然扉がガチャッという音を立てて開き、

何者かが入ってきたかと思うとすぐに鍵を閉められてしまったのであった。

そして、それと同時に大量のガスが流れ込んできたのだが、幸い私達は口に布を巻いていたため、

口を押さえていたために被害はなかったのだが、しばらくすると意識が朦朧とし始めてしまった。

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