第17話 魂レベルで繋がる

何故そのような場所にいるのか、一体誰が私を攫ったのか、見当もつかない。

ただ一つだけ言えることは、このままでは非常に危険な状況に陥ってしまうということだ。

何故ならここは恐らく地下にある施設であり、地上から脱出するには時間がかかりそうであるからだ。

そんなことを考えていると、突然扉が開いたため思わず身構えてしまう。

そして入ってきた人物を見た瞬間、私は驚いてしまった。

何故ならそこに立っていたのは……リリィ達であった。

私を攫ったのは彼女達なのだろうか?

そんな疑問を抱いていると、リリィ達がこちらに歩み寄ってきた。

そして、笑顔で話しかけてくる。

「目が覚めたみたいね、気分はどうかしら?」

などと聞かれたものの、正直答えられるような余裕はない状況だったため黙っていたのだが、

それが気に入らなかったのだろうか、彼女たちは不機嫌そうな表情を浮かべているように見えた。

いや、実際のところそんなことはないのかもしれないが、少なくとも私にはそう見えたのだ。

早くここから脱出しなければ面倒なことになってしまうだろうと考えた私は、

思い切って話しかけてみることにした。

「ここはどこですか? 早くここから出してください」

だが、彼女たちは私の言葉など聞こえていないかのように無視すると、そのまま話を続けた。

その内容は、衝撃的なものであった。

なんと彼女達は私に危害を加えようとしているのだという。

しかもその理由というのが、私がリリィ達の好意を受け入れなかったからだというのだ。

……つまり、嫉妬をしたということなのだろうか?

いや、いくらなんでもそれはおかしいだろうと思い聞いてみることにしたのだが、答えは返ってこなかった。

その代わりとして返ってきた言葉は次のようなものであった。

「ごめんね、でも仕方ないの」

そう言って微笑む彼女の表情は、どこか狂気じみているように思えたが、気のせいだと思うことにする。

「ふふっ、まずは私からキスしてあげるね、愛羅」

「えっ!? ちょっと待っ……!」

抵抗する間もなく唇を塞がれてしまう。

それと同時に、口の中に舌が入り込んできたかと思うと、口内を蹂躙される感覚に背筋がゾクゾクとする。

さらには耳や首筋などにも舌を這わせられ、その度に身体がビクッと反応してしまう。

次第に思考力が奪われていくような感覚に陥りながらも、

何とか理性を保ち続けようと試みるが、それも長くは続かなかった。

そしてついに耐えきれなくなった私は、そのまま意識を失ってしまったのだった。

次に目が覚めた時、真っ先に飛び込んできたのは真っ白い天井であった。

「ここは……?」

ぼんやりとした頭で考えるが、頭が上手く働かない。

それでも何とか状況を把握しようと試みるが、やはり無理であった。

仕方なく周囲を見回すと、どうやら診療所のような場所にいるらしいことが分かった。

そして、自分がベッドに寝かされているということも分かったのだが、

何故このような場所にいるのか分からず困惑していると、不意に声をかけられた。

「あら、目が覚めたのね」

声のした方を見るとそこにはリリィの姿があった。

彼女は微笑みながらこちらに近づいてくると、そのまま私の手を握ってきた。

その瞬間、私は思わずビクッと身体を震わせてしまうが、彼女は構わず話を続けた。

「もう大丈夫よ、安心してちょうだい」

そう言って微笑みかけてくる彼女の表情は慈愛に満ち溢れており、まるで聖母のようだった。

そんな彼女を見ていると安心感を覚えてしまいそうになるが、同時に不安も感じてしまうのだった。

「あの、ここはどこなんですか?」

恐る恐る質問してみると、彼女は笑顔で答えてくれた。

「ここはエルフの里にある診療所よ」

それを聞いて私は驚いてしまった。

まさか自分がエルフの里にいるとは思っていなかったからだ。

それに、何故自分がここにいるのかも分からないままである。

そんなことを考えていると、彼女は微笑みながら話しかけてきた。

「安心してちょうだい、何も心配することはないわ」

そう言いながら私の頭を撫でてくる彼女を見ていると、不思議と心が落ち着くような気がした。

そして同時に安心感を覚えることができたのである。

(あぁ……やっぱりこの人のことが好きだなぁ)

心の中でそう思いながら見つめていると、不意に彼女が顔を近づけてきたかと思うと耳元で囁いてきたのだった。

「愛羅って本当に可愛いわね……」

そう囁く彼女の声はどこか艶っぽく感じられてドキドキしてしまうが、それと同時に恥ずかしさが込み上げてきて顔を背けてしまう。

「ふふっ、照れてる姿も可愛いわよ」

そう言いながら再び顔を近づけてくる彼女に対して、私は何も言えずただされるがままになっていた。

その後しばらくの間、彼女とのスキンシップが続いたのだが、不思議と嫌な気分はしなかった。

むしろ心地よいとさえ感じていたかもしれない。

それほどまでに彼女のことが愛おしいと思っている自分がいることに驚きつつも、同時に納得していた部分もあった。

おそらくこれが恋というものなのだろうと思いながら、私は彼女に身を委ねることにしたのだった。

それから数日間、私はエルフの里で過ごしていたのだが、その間ずっとリリィ達と一緒にいたせいかすっかり彼女達に依存してしまっていたようだ。

今では彼女達がいない生活など考えられないくらいにまでなっている自分に驚いているくらいだが、

それと同時に嬉しくもあったりするのだから不思議なものである。

そんなことを考えているうちにいつの間にか眠ってしまったらしいのだが、気がつくと目の前にはリリィの顔があった。

「おはよう、愛羅」

そう言って微笑む彼女の顔はとても綺麗で見惚れてしまいそうになるほどだったが、すぐに我に返ると慌てて起き上がる。

「あ、あの……これは一体どういう状況なんでしょうか?」

戸惑いながらも聞いてみると、彼女は微笑みながら答えてくれた。

「あら、覚えてないの? あんなに激しく愛し合ったというのに……」

そう言いながら頬を赤く染める彼女を見ているとこちらまで恥ずかしくなってきてしまうが、

それでも聞かずにはいられなかったため思い切って尋ねてみたところ、意外な答えを聞くことができたのだった。

それは、私が意識を失っている間に行われた行為についてであったのだが、その内容を聞いた途端私は驚愕してしまった。

何故なら彼女が口にした内容があまりにも衝撃的であったためだ。

しかし、それと同時に納得している自分もいたのである。

というのも、私が気を失っている間に起こった出来事というのは全て事実であり現実であるということを理解したからである。

「あの、それで私はこれからどうなるのでしょうか?」

恐る恐る聞いてみると、彼女は微笑みながら答えてくれた。

「大丈夫よ、心配しなくてもいいわ。愛羅は私達の大切な仲間なんだから」

そう言って抱きしめてくれる彼女の温もりを感じながら、私は静かに目を閉じたのだった。

それからというものの、私は彼女達と共に過ごす日々を送っていたのだが、一つだけ気になることがあった。

それは、私が気絶している間に行われた行為についてである。

一体どのようなことをされたのか全く分からないままだったので不安だったのだが、

そのことについて尋ねてみると意外な答えを聞くことができたのだ。

なんと、私が気を失っている間に行われた行為は、エルフ族に伝わる伝統的な儀式であり、

それによって私と彼女達の間に繋がりができたのだというのである。

つまり、私達は本当の意味での仲間になれたということらしいのだが、

「でも、儀式って一体どんな内容だったんですか?」

気になって尋ねてみると、彼女は微笑みながら答えてくれた。

「それはね、愛羅の体内に私達の魔力を注ぎ込むことによって、魂レベルで繋がることができるようになるのよ」

それを聞いて私は思わず身震いしてしまった。

何故ならそれが本当なら、私達はもう離れられない関係になってしまったということになるからだ。

しかし、不思議と嫌な気分にはならなかった。

むしろ嬉しいとさえ感じていたくらいだが、同時に不安もあったため思い切って尋ねてみることにした。

「あの……それってつまりどういうことなんでしょうか?」

そうすると彼女は微笑みながら答えてくれた。

「ふふっ、大丈夫よ心配しなくてもいいわ」

そう言うと私の頭を撫でながら説明してくれたのである。

その内容はとても信じられないようなものであったが、実際に体験したことなので信じるしかなかったのである。

そして最後にこう言われたのだ。

「これからもよろしくね? 愛羅」

「はい、こちらこそよろしくお願いします!」

こうして私達は本当の意味での仲間になれたのだった。

その後、私達はエルフの里で暮らしながら冒険者としての依頼をこなしていくことになったのだが、

その中で様々な出来事があった。

例えば、ある日のこと私が一人で依頼をこなしていると、突然背後から声をかけられたことがあった。

振り返るとそこにはリリィの姿があったため警戒していると、彼女は微笑みながら話しかけてきたのだ。

「ふふっ、そんなに身構えなくてもいいのよ?」

そう言って私の頰に触れてくる彼女の手は柔らかくて温かかった。

その感触にドキッとしてしまうが、何とか平静を装っていると今度は耳元で囁かれた。

その瞬間、背筋がゾクゾクとした感覚に襲われてしまい思わず身震いしてしまったのだ。

そんな私を見てクスリと笑った後、彼女はこう言ってきたのである。

「ねえ、愛羅って本当に可愛いわね」

その言葉に私は恥ずかしくなってしまい俯いてしまうのだが、

「あら、照れてる姿も可愛いわよ」

そう言いながら私の頭を撫でてくる彼女を見ていると、不思議と心が落ち着くような気がした。

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