第13話 クエスト

「リリィ、これからどうするの?」

「そうですね、とりあえず何か簡単なクエストでも受けてお金を稼ぐってのはどうですか?」

なるほど、確かにそれならば生活していくことは出来るだろうと考えた私は

彼女に同意して共にギルドに向かうことになったのである。

「おはようございます、本日はどのようなご用件でしょうか?」

受付嬢のお姉さんに尋ねられたので私は答えた。

「えっと、何か簡単なクエストを受けたいんですけど」

そう告げると彼女は笑顔で頷いてくれた後で一枚の紙を差し出してきた。

そこには薬草採取の依頼内容が書かれていたのだが、報酬金額がかなり高かったため驚いたものの、

これなら余裕で稼げそうだと思い依頼を引き受けることにしたのだった。

それから準備を整えてから出発した私達は森に向かうことにしたのだが、

道中では特に何事もなく到着することが出来たので早速作業に取り掛かることにしたんだ。

まずは指定された薬草を探し出すところから始めなければならないのだが、

これが中々大変な作業だったんだよね。

何せ広大な森の中からたった一種類の薬草を見つけ出さなきゃならないんだから、

でも諦めずに探し続けること数時間後ついに見つけ出すことに成功したんだよ。

「やった、これでクエスト達成ね!」

喜びのあまり飛び跳ねていると、背後から声をかけられた。

振り返るとそこには一人の女性が立っていて私に声をかけてきたんだ。

「あの、どうかされましたか?」

その女性は、魔法使いのような格好をしていて杖を持っていた。

見た目的に二十代前半といったところだろうか?

顔立ちは整っておりスタイル抜群で出るところは出ているという感じで、

正直羨ましいくらいのプロポーションをしているように思えるのは決して、

僻みではないはずだと信じたいところだなと思いつつもその女性に

手を引かれる形で歩き出すことになったわけだけれど、その直後だった。

突然背後から声をかけられてビクッとしながら振り返るとそこにはルティア達が居たのです。

「愛羅、こんなところで何やってるの?」

ルティアに尋ねられたので私は事情を説明した上で一緒に行動することにした。

そうするとそれを聞いた彼女は嬉しそうに微笑んでくれた後、

私の手を取ると引っ張っていくようにして歩き始めたので慌ててついて行くことになったんだ。

しばらく歩いたところでようやく目的地に到着したみたいで、

そこは小さな村だったんだけど人の気配が全く感じられなくて

不気味だったから警戒していたんだけれど、どうやら杞憂だったようだね。

というのも、この村は盗賊団に占領されていたからだったんだけど、

ルティア達があっという間に制圧してしまったからね。

その後、私達は村を探索して回ったんだけど、特に目ぼしい物は見つからなかったんだけれど、

一つだけ気になることがあったんだよね。

それは、村人全員が虚ろな目をしていたことなんだ。

まるで生気を感じられなかったというか、まるで人形のように見えてしまったのが怖かったんだよ。

だから早くここを出たいと思ったんだけど、出口が塞がれていて出られない状況になっていたんだよね。

どうしようかと思っていた時、ルティアが魔法で壁を破壊してくれたおかげで外に出られるようになったんだ。

それから私達は盗賊団のアジトを壊滅させることにしたんだけど、これが中々大変だったんだよね。

何しろ数が多い上に強い奴もいたから苦戦したわけだけど、それでも何とか倒すことが出来たから良かったよ。

ただね、倒した後に出てきたこのペンダントなんだけど、何だろうこれ? って思って見ていたら

急に光り出したと思ったら消えてしまったんだ、不思議だよね。

そんなわけで今回の依頼は完了したので、後はギルドに報告して報酬を貰ったら帰ろうかなって思ってたんだけれど、

どうやらまだ終わりじゃないみたいなんだ。

「ちょっといいかな、君たち?」

唐突に声をかけられたと思ったら見知らぬ男がいた。

見るからに怪しいその男に対して警戒心を抱いていると彼はこう言った。

「ふっふっふ、私の名はクライム、高名な魔法使いでもあるし、偉大なる指導者でもある!」

そう言うと男は笑いながらこちらに向かってきたんだが、

その直後、不気味な笑みを浮かべて私の仲間である彼女たちに向かって攻撃をしたんだ。

悲鳴をあげる間もなく倒されてしまった姿を見て血の気が引いた。

このままではまずいと思い何とか逃げようとするのだが、

思うように身体が動かないばかりかいつの間にか壁際に追い込まれていたのだ。

それでも抵抗を続けるものの、何故か力が入らずされるがままになってしまう。

「あれ? 君の仲間って最強なのに俺に負けるってどうかしているよな、君は俺に勝てるのか?」

「くぅ、うるさい、黙れ」

必死に睨みつけているけれど全く意に介した様子はないようだ。

それどころか、不気味な笑みを浮かべて笑っているくらいなので余計に腹が立つというものです。

そんな時だったのです、突如として目の前に光が飛び込んできたのです。

驚きのあまり硬直していると、次第にその姿がはっきりと見えてきました。

純白の衣装に身を包み輝くような銀色の髪を揺らす美女が目の前に立っていたのですが、見間違える筈もありません。

彼女こそが私の愛する人に他ならないのですから、唖然としながら見つめていると彼女は微笑みながら声をかけてきたのです。

それがいつもの優しい微笑みではなく不気味な笑みだと直感的に感じ取ったのですが、

どうすることも出来なかったので諦めていると背後から複数の人達が現れあっという間に拘束されてしまいました。

それもかなり強く締め付けられているようで苦しくて仕方ありません。

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