第11話 金色の髪の乙女

履き慣れないヒールの高い靴を履いているせいか足元が少しふらつくもののなんとか歩けそうだと思ったところで今度は下着を選ぶように言われたのだった。

仕方なく従うしかなかったのだが、何しろ初めてのことだったので何を選べばいいのかわからないまま時間だけが過ぎていった。

結果何も買わずに帰ることになってしまったのである。

「はぁ……」

ため息をつくと同時に再び歩き始めたその時であった。

前方を歩いていた通行人の一人と肩がぶつかってしまったのである。相手はバランスを崩したのか尻餅をついてしまったようだった。

それを見て慌てて駆け寄ったところ相手がこちらを見上げてきて目が合った瞬間、私は固まってしまったのだった。

何故ならそこにいた人物というのがとんでもない美人だったからだからだ。

その人は金色の長い髪をしており青い瞳をしていた上に服装からしてどこかの貴族令嬢といった感じで佇まいが非常に上品であり気高さを感じさせるような

オーラを纏っていたように見えたからである。

「あの、大丈夫ですか?」

声をかけると女性は私の手を取りながら言った。

その言葉に反応するように顔を上げると目の前にいたのは絶世の美女だったと言っても過言ではないほどの美貌を持った女性が立っており驚きのあまり

言葉を失ってしまったほどだったという……それほどまでに美しかったということだ。

そんな彼女を見ているうちに段々と顔が熱くなっていくのを感じたが、同時に心臓の鼓動が激しくなっていくのが分かった気がしたんだ。

それからしばらくして落ち着いた後、改めて自己紹介をした後で互いの名前を教え合ったことで判明したことだが彼女は

やはり貴族のご令嬢だったらしいということが分かり納得した次第である。

そしてその後も話を続けていた中で分かったことなのだが、どうやら彼女も同じ趣味を持っているということらしかったため意気投合することとなったわけだけれども、

「ねぇ、愛羅さんも一緒に行きませんか?」

と誘われたときには流石に躊躇してしまったわけだが結局押し切られる

形でついていくこととなったわけなのだがこれが後に悲劇を招くことになるとは思いもしなかったわけではあったんだが、

まあそれはそれとして置いといてとにかくついて行った先での出来事なんだがそれはまた別の機会に話すとしようと思うんだよなこればっかりは仕方がないんだ。

だって私にもよくわからないんだから、

「うーん、そうだなあ」

と言って考え込む仕草を見せる少女に対し、今度はこちらから質問をしてみた。

すると返ってきた答えは意外なものだった。

てっきり断られると思っていただけに驚いてしまったのだが、よく考えてみれば当然の話ではあるよ、

なにせついさっき会ったばかりの相手にいきなり誘われても普通は警戒するだろうしな、

私だって同じ立場だったら断るかもしれないもんな、

そう思った矢先に少女が口を開いた。

その言葉を聞いた瞬間に私の心は大きく揺れ動いたような気がした、

なぜなら今まで生きてきた人生の中でこんなにも誰かに必要とされたことなど一度もなかったのだから、

そう思うと自然と涙が溢れ出してきた。

それを見た少女は慌てふためいた様子で謝罪の言葉を口にしてきた。

だが私はそれを遮るようにして答えた。

「ううん、違うんです……嬉しくて涙が出てきただけなんです……」

そう言うと、更に泣き出してしまう私に対して、困惑した様子を見せながらも慰めようとしてくれる彼女を見て、

この人になら全てを委ねてもいいのかもしれないという気持ちになっていたところに、突如後ろから声をかけられたことによって

現実に引き戻されたような気分になったためかビクッと身体を震わせると後ろを振り向いた先に立っていた人物は何とルティアだったのだ。

そう、彼女は最初から尾行していたらしく私たちが出会ってからの全てを目撃していたのだ、

その事実を知った途端恥ずかしさが込み上げてきて私の顔はますます赤くなっていき頭から湯気が出そうな状態にまでなっていたときだった。

突然目の前に現れた人物がこんなことを言い出したのだ。

その人物というのはなんと先ほど出会った謎の美少女だったのである、

彼女は私に向かって話しかけてきた、

「あなたが愛羅さんね」

そう言いながらこちらに歩み寄ってきた彼女は私の目の前まで来るとじっとこちらを見つめてきたかと思うと唐突に手を握ってきたのだ、

突然のことに驚いた私だったが不思議と嫌な気持ちにはならなかったどころかむしろ安心感のようなものを感じていたような気がするくらいだ、

そうしてしばらくの間見つめ合っていた私たちであったがやがてどちらからともなく手を離すと恥ずかしそうに俯いてしまう私に対して

優しく微笑みかけてくれる彼女を見ていて胸がドキドキしてくるような感覚に襲われたり

もしたものだがそれ以上に嬉しかったというのもあるからなのかも知れないななどと考えながら彼女の顔を見つめていると

不意に視線を感じてそちらの方に目を向けるとそこにはニヤニヤしながらこちらを見ている。

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