第3話 魔王城脱出
お部屋の中に入ると、そこには二人の魔族が待っていました。
一人は綺麗な男性で、もう一人は小柄な少女です。
二人の共通点といえば、どちらも顔が整っていて美形だということくらいでしょうか?
ただ、彼の方がより上品そうな雰囲気で、少女の方はやや幼い感じがあります。
恐らく二人とも四天王なのでしょう。
二人がこちらに視線を向けると、なんだか妖艶な雰囲気を感じます。
まるで魅了されてしまいそうな程の美しい瞳をしていて、思わず息を呑んでしまいました。
ちなみに他の七人の美少女達も緊張しているようなので、ここは年長者である私がしっかりしないといけないと思い、声を掛けました。
そうすると、男性は笑みを浮かべて答えました。
どうやら彼はベルゼブと名乗ったようです。
続いて彼の後ろに隠れている少女が恥ずかしそうにモジモジしながら声を掛けてきます。
どうやら彼女の名前はサタンというらしいのです。
私達の様子を見かねた男性、ベルゼブが戦闘態勢に入りました。
それを見たリリィとルティアが警戒します。
二人が魔法を放とうとするよりも先に、彼が手をかざすと、突然私の体が動かなくなりました。
一体何が起きたのでしょうか?
必死にもがくのですが、全く動けません。
彼は余裕に満ちた表情で私の髪に触れながら話しかけてきます。
「あら、ごめんなさいね。でも、こうしないと貴女達が可哀想だと思ったから」
そう言って微笑むベルゼブはとても美しく見えました。
彼の瞳を見ていると吸い込まれてしまいそうです。
思わず見惚れていると、彼は私の耳元に顔を近づけて囁きました。
「可愛い子……私のモノになりなさい」
そう言うと、彼は私を抱き寄せます。
そして、そのまま唇を重ねてきました。
突然のことに驚いてしまい、抵抗することもできません。
ただされるがままに受け入れるしかありませんでした。
しばらくして唇が離れると、今度は首筋を舐められます。
くすぐったくて変な声が出てしまいますが、それでも構わず続けられました。
そんな時です。
「愛羅から離れなさいっ!?」
「愛羅を離せっ!」
リリィとルティアが魔法を放ちます。
しかし、ベルゼブは余裕の表情で避けてしまいました。
そして、今度は私に向かって手をかざします。
そうすると、私の身体が勝手に動き始めました。
どうやら彼が魔法で操っているようです。
私は抵抗しようとするのですが、何故か体が言うことを聞きません。
そのまま彼に抱きついてしまいました。
それを見た他の美少女達は驚きの表情を浮かべています。
「さぁ、一緒に楽しみましょう?」
そう言って彼は妖艶な笑みを浮かべました。
その瞬間、私の中の何かが弾けたような気がしました。
気がつくと、私は彼の首に腕を回してキスをしていました。
舌を絡ませ合い唾液を交換し合うような濃厚な口付けを交わしていましたが、不思議と嫌悪感はありません。
むしろ心地良さすら感じていました。
「や、やめて……」
「愛羅、しっかりして!」
リリィ達が必死に声を掛けてきますが、私の耳には届きません。
私は彼に身を委ねるように寄り添い、彼の胸に顔を埋めていました。
そうすると、彼は満足そうな表情を浮かべながら頭を撫でてくれます。
それが嬉しくてつい頬が緩んでしまいました。
しかし、リリィ達全員は一斉にベルゼブに攻撃を仕掛けるのです。
しかし、ベルゼブは余裕の表情でそれを防いでしまいました。
それどころか、彼の周りには強力な魔力が集まっています。
このままではまずいと思った矢先、彼はニヤリと微笑みました。
そして、次の瞬間には全員吹き飛ばされていました。
幸いにも大きな怪我はありませんが、かなりダメージを受けているようです。
そんな時です、彼が私に手を差し伸べてきました。
私は無意識にその手を掴んでしまいます。
そうすると、彼は嬉しそうに微笑んでくれました。
だからと言って、私もこのままベルゼブの思いのままになる訳にもいかず、
透かさず私はベルゼブの鳩尾に渾身のパンチを繰り出す。
「ぐふっ!」
彼は苦しそうに顔を歪め、その場に膝をつく。
その隙に私は距離を取り、他の仲間と合流した。
ベルゼブは怒りに満ちた表情でこちらを睨みつけてくるが、私は気にせず彼に言う。
「これ以上の悪事は許しません! 覚悟してください!」
そうすると、ベルゼブはニヤリと笑って答えた。
「ほう、残念ね……でも、貴女達が私に勝てるのか?」
そして次の瞬間には、彼の姿が消えてしまいました。
慌てて周囲を見渡すと、いつの間にか背後に回り込まれていたようでした。
咄嗟に防御態勢を取ろうとしましたが、間に合わず攻撃を受けてしまいます。
背中を蹴られた衝撃で倒れ込んでしまいますが、なんとか立ち上がります。
しかし、再び背後から攻撃を受けてしまい倒れ込んでしまいました。
その後も何度も何度も攻撃を受け続け、私はボロボロになっていました。
それでもまだ諦める訳にはいきません。
最後の力を振り絞り、渾身の一撃を放ちます。
その瞬間、ベルゼブは驚いた表情を浮かべながら後ろに飛び退きました。
どうやら上手くいったようです!
私の攻撃が当たる直前、彼は咄嗟に防御態勢を取ったものの間に合わず直撃しました。
そのまま地面に倒れ込み、動かなくなりました。
どうやら気絶してしまったようです。
これでようやく決着がつきましたね……ほっと胸を撫で下ろしていると、他の仲間達も安堵の表情を浮かべていました。
「後はサタンだけね、しかし、どうしますか? 皆さん、ボロボロです」
「そうですね……一旦、回復しましょう」
そう答えると、私は仲間達に治癒魔法をかけました。
すると、みるみるうちに傷が癒えていきます。
「ありがとう、愛羅」
「ありがとうございます!」
リリィとルティアがお礼を言ってきました。
他の子達も感謝の言葉を口にしています。
しかし、いくらリリィ達が最強と言ってもこんな戦いをしているし、やっぱり治療魔法では限界なので
私はサタンを目の前にして、移動魔法を使い、皆と共に魔王城から脱出するのです。
そして、私達は無事に魔王城から脱出することに成功しました。
しかし、安心はできません。
何故なら、まだ四天王の一人が残っているからです。
サタンが残っているのですけど、どうするかはこれからリリィ達と相談するしかありません。
「さて、これからどうしますか?」
私は皆に尋ねます。
そうすると、リリィが答えました。
「まずは情報収集から始めましょう」
確かにその通りだと思い、私達は街に向かいました。
しかし、そこで待ち受けていたのは想像を絶する光景でした。
街の中は荒れ果てていて、人の気配が全くありません。
まるでゴーストタウンのようです。
一体何が起こったのか分かりませんが、とにかく情報を集めなければいけません。
そこで私達は手分けして情報を集めることにしました。
まず最初に私が向かった先は冒険者ギルドです。
ギルドの中に入ると、そこは酷い有様でした。
受付嬢もおらず、冒険者達も一人残らず消えてしまっています。
そして次に街の広場に向かうと、そこには多くの人々の死体がありました。
中には子供や女性の姿もあります。
あまりの惨状に言葉を失いながらも調査を続けていると、やがて一人の生存者を見つけました。
その男性は、どうやらこの街の市長だったようです。
彼は私達の姿を見ると、安心したように微笑みました。
そして、何があったのか尋ねてみると、驚くべき答えが返ってきました。
なんと魔王軍によって占領されてしまったというのです!
それを聞いて私は愕然としましたが、同時に納得もしていました。
恐らく他の街も同じ状況に陥っているのでしょう。
ならば、一刻も早く行動を起こさなければなりません。
早速私達は次の目的地に向かうことにしました。
そこは港町です。
海に面しているため、きっと何かしらの情報が得られるはずです。
リリィ達と共に船に乗り込みます。
そうすると、そこには大勢の人がいました。
皆一様に不安そうな表情をしていますが、私達の姿を見ると安心してくれたのか笑顔を見せてくれました。
中には泣いている人もいましたが、それも無理はありません。
何しろ、この街は魔王軍によって占領されてしまったのですから。
しかし、それでもまだ希望を捨てていない人達もいます。
私達が彼らと話していると、そこに一人の男性がやってきました。
彼はこの街の市長で、魔王軍の侵略に屈することなく戦っているそうです。
そんな彼の姿を見て勇気づけられたのか、他の人達も立ち上がり始めました。
そして、皆で一致団結して戦うことを決めます。
それから私達は街を出て、再び旅を続けます。
「愛羅、次は何処に行くの?」
リリィが尋ねてきます。
「次は西にある街を目指しましょう」
私は答えました。
すると、他の仲間達も賛同してくれます。
こうして私達は新たな目的地に向かって旅立ちました。
「ところで、愛羅。魔王を倒すにはどうしたらいいの?」
リリィが尋ねてきます。
「魔王を倒すためには、四天王と呼ばれる存在を倒さなければなりません」
私が説明すると、皆は真剣な表情で聞き入っています。
「でも、その四天王はどこにいるのでしょうか?」
私が尋ねると、今度はルティアが答えます。
「それは分からないけど、とにかく今は旅を続けるしかないわね」
確かにその通りですね。
まずは情報を集めるところから始めましょう。
そして私達は西にある街を目指しました。
しかし、道中では様々な困難がありました。
魔物に襲われそうになったり、野宿が続いたりと大変なこともありましたが、
それでもどうにか乗り越えることができました。
そしてようやく目的地である街に辿り着くことができました。
この街の名前はエルミナと言います。
早速情報収集を始めようと思いましたが、その前に食事をすることにしました。
ちょうどお昼時だったので、皆でレストランに入りました。
注文した料理を待っている間、私達は雑談をしていました。
そうすると、突然悲鳴が聞こえてきました。
そちらに目を向けると、一人の男性が逃げ惑っています。
どうやら強盗に襲われているようです。
このままでは危ないと思った私は、咄嗟に魔法を唱えて男性を助けることにしました。
私が呪文を唱えると、地面から無数の木の根が生えてきて犯人達を拘束します。
そしてそのまま締め上げていくと、犯人は気を失ってしまいました。
どうやら気絶してしまったようですが、死んでしまっては困りますのですぐに治療を施します。
幸いにも命に別状はなかったようで一安心です。
その後、私達は憲兵に通報して事情を説明しました。
そうすると彼らは快く協力してくれて、犯人の身柄を引き取ってくれました。
これで事件は解決です!
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