きっかけは かきのたね

あしはらあだこ

第1話

 なんだよ、桃太郎こねえじゃん。

 オレも英雄のなかまいり~ってみんなに自慢してきたのによ。

 帰るに帰れねえじゃん。

 どおおうすっかなあ~

 ハラもへってきたし、あれ?

 あのカニ、握り飯もってねえ?

 一口わけてくんねえかな?


 と思った矢先に、先を越されてしまうさる。

 見ていると、握り飯と柿の種を交換している。

 あーあ、バカなカニ。

 柿の種なんて、育てんのに、苦労すんじゃねえの?


 あ!ばか!あのサル独り占めしやがって!

 でーも、なんでカニはあんなに喜んで、柿の種なんか・・・

 ちょっと、あとつけてみっか!


 えぇ~!?カニってば、柿の種、植えてんじゃん!

 いや、だって確か『桃栗3年、柿8年』とか言わねえか?

 は?なんかよくきこえねえけど、ブツブツいってんな?

 ぎょえ~!!!いきなり芽がでてきやんの!

 へ?なんかぐんぐんのびてるし?

 はあ?花がさいちまったよ!

 ってかもう、柿の実がなってんじゃん!!!

 ラッキー!オレにもおすそ分けしてもーらおっと!

 あんなにたくさんあるし、一つぐらいは、くれるよねえ・・・


 あ!まあたアイツ!こんどはなんだ?

 って!!!

「おい!あんたなにやってんだよ!!!そんなことして、どうなるかわかってんだろうな!?」

「ぅあ?だーれだてめぇ?グダグダいってっとヤッちまうよ」

 捨て台詞を残し、去っていくサル。

 カニはというと、家の中で、友達に介抱されていた。


「おい!ちょっと待て!」

 サルに追いつくと、声をかけた。すると

「俺、おまえ知ってる。おまえも柿ねらってただろ?」

「だからって、あんな真似はしない!!!」

「へぇ~、俺みたいなのとは、違うってか?」

 そういうと、ニヤニヤして

「おまえさあ、腹へってんだろ?ちょっと、一杯やりながらはなしあわね?」


 いぶかしみつつも、飯屋で差し向かいになる、2匹の猿。

「ちょぉっとさあ、同じ猿同士だと思ってはなすんだが・・・」

 こういう時は、用心だ。

「やつの、あぁ、カニのな、様子?みてきてくんねえ?」

 !へ?まじ?


 見に来てはみたものの、声がかけられない。

 カニの仲間たちは、ぞろぞろと連れ立って、どこかへ出かける様子。

 アイツのことを、報告しようか・・・?

 後を、つけてみると、見知らぬ家に着いた。

 仲間たちは、なんだか打ち合わせ中。

 話が付いたのか、それぞれ隠れるようにして、家に入る。

 

 さるは、家に近づくが、違う猿だとは気づかないカニの仲間たち、(さあ、来るぞ!)

 と待ち構え、いざ!作戦開始!!!


 やったー!カニの仇を取った!!!

 と喜び勇んだ、仲間たちだったが、よく見ると、見たことのない猿。

 一同、青ざめるも、時すでにおそし。

 英雄になるはずだったさるは、今や息も絶え絶え。

 どうしていいかわからず、呆然とするカニの仲間たち。

 もはや、手遅れか・・・

     

                      つづく・・・かどうかはわからない
























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きっかけは かきのたね あしはらあだこ @ashiharaadako

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