第17話
冬視点
今日は優くんと会う日だった。
会うのが怖い。優くんは私のせいでどれだけ傷ついたことか、
いまさら謝るなんて、あんなに傷付けたのに嘘ついたのに勝手だよね。
そして、私は目を瞑りながら、優くんの顔を見ないように教室に入った。
「あ、良かった。冬ちゃん。大丈夫だった?」
私の好きな人の心配する声が聞こえた。
でも、ありえない、私は、あんなに。これはきっと嘘だ。ニセモノの声だ。さっきまで聞いたことは
「優くん??」
恐る恐る目を開けると、ニセモノだった筈なのに、それくらいの位置に優くんが居た。
「どうしたの?冬ちゃん??」
私なんかに向けてくれる優しい笑顔
「怒ってないの?」
「もう怒ってないよ。仕方なかったみたいだし。ちゃんと教えてくれたし。謝ってくれたし」
「・・・う、うそ。あんなに傷付けたんだよ。みんなもあんなに虐めたのに」
そうだよ、叩かれたって知ってるよ。お父さんにも跡も残ってたし、それに虐めじゃない!!虐め所じゃない!!
「確かにひどいよね。誰も信じなくてさぁ!」
・・・やっぱり・・・怒って・・・
「でも、おに・・・俺は許そうと思うんだ。」
「な、何でよ!!」
「そっちの方がみんな幸せで楽しいじゃん!!」
優くんはそう笑顔で答えた。
私の好きな人はいつもそうだった。私のことを心配して笑顔で幸せを願ってくれた。
こんな人を、こんなに好きで優しい人を私は
「うわぁー!!」
涙が止まらなかった。
どうしよう、止まらない止まらない優くんが見てるのに、好きな人が見てるのに、
あったかい?
「大丈夫。大丈夫だよ。」
「ゆ、うくん?」
好きな人は私を優しく、励ますように包み込むように抱きしめてくれた。
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