第18話 勇者の性格(やれやれ)
「魔王が恐怖の体現ってのはわかったよ。でもって、私に復讐するための執念のかたまりだってことも。
だけど、あえて聞くよ。王としての資質とか、新たな敵への対応とか、そういうのは大丈夫なの?」
私の問いに、上将ワイバーン『謀略のアウレール』はおっかない目つきになった。だけど、魔王は平然としている。
アンタさ、私と同じ顔なんだから、少しは怯えるとか怒るとかしなさいよっ!
可愛くないわねっ!
「勇者は、私が復讐のために目的を見失うとでも言いたいのか?」
「それがわからないから聞いているの」
「初対面で、いきなりのごあいさつだな。さすがは勇者」
「ソレ、褒めてないでしょ?」
「おや、褒めているように聞こえたか?」
「アンタね、歳上に向かってその言い方はないでしょ?」
「馬齢を重ねているだけなのに、ずいぶんと偉そうだな?」
「ふん、アンタ、自分が私のコピーだってのを忘れたの?」
「『出藍の誉れ』という言葉を知っているか?
そんな言葉すら知らないから、『馬齢を重ねているだけ』と言われてしまうのだ」
くっそーー。
ってか、今気がついたんだけど、なんで魔族っては日本語使っているの?
しかも、ことわざっぽいものまで使ってない?
……そもそもさ、なんだコイツ。
ただでさえ自分と同じような顔しているだけで許せないし、正直な話、薄気味悪くさえあるのに、なんでこんなに生意気なの?
本当にもう、誰に似たのよ?
「ねぇっ、『謀略のアウレール』っ!
なんでこんなヤツを王様に祭り上げたの?」
私、抗議する相手の角度を変えてみた。だけど、その答えはもっと酷いものだった。
「勇者、お前が変なのだ」
……なにを言い出すのよ、コイツは!?
いくらなんでも酷くない!?
変ってなによ?
「……あのな、勇者。話を最後まで聞くか?」
「聞くから話して。私、マジで黙っているから」
……なによ、その疑わしそうな目つきは。
会ってから大して時間が経っていないのに、魔王も『謀略のアウレール』も失礼しちゃうわ、まったく。
「……あー、まぁ、では話そうではないか。
魔王様はな、恐怖を体現する存在なのだ。つまり、その場その場で一番恐れられる姿になられるのだ。つまり、ここではここにいる者たちにとって、もっとも恐怖の総和が多い姿を採られている。魔族にとっては勇者の姿は怖いものであるし、人間の姿というもの自体が忌避するものになってしまっている。お前たちのパーティーも、仲間の姿を真似た魔というものは怖いはずだし、実際怯えていただろう?
通常ならば、自分自身の姿を見た勇者はさらに恐怖に
「……それはわかった」
「だから、最後、まで、聞け」
わかったわよ。うるさいわね。
「なのに、勇者は無神経で図太く、あまりにデリカシーなく自己完結していて、この場で怖がっていないのは勇者だけなのだ。一番怖がるべきは勇者なのに……。
これが如何に異常なことか、勇者本人が一番わかっておるまい」
……私だって、怖いと思ったよ。
今は、腹立たしい方が勝っているけど。
ふん、なにさ、人のことをそんなふうに
魔族どころか、
あとがき
まぁ、これくらいでないと戦えませんわwww
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