令嬢はお友だちの反応が気になる


 お友だちが楽しく聞いてくださるものだから。

 彼女たちから聞いたお話を余すことなくお伝えすることになりましたの。


 中でもとっておきの話題は、最後まで取っておいたわ。



「今までのお話のすべての原因はね、恋にあるというのよ。恋は盲目なのですって」



 うふふ。

 お友だちも興味津々よ。



「恋はね、頭を良くないようにも出来るの。それもね、カーティス様もそうだと言うのよ。面白いでしょう?」


「それは否定しにくいですね」



 間を空けずにお友だちの一人が小声で何かを囁いたような気がいたしましたわ。


 …………。


 ふふ。気のせいだったみたい。

 目が合うと、いつものように微笑んで教えてくれましたもの。



「あの方の話は別として。実際にそのような方々はいるそうですよ」


「恋を理由に愚かな言動をする人たちのことですね」


「ずっと盲目的でいられる人は少ないと聞くわね。一過性の熱に浮かれてしまう人が多いみたい」


「そうそう。一時のことだから。あとで冷静になって頭を抱えて後悔するのですって」


「後悔するくらいで済むならまだいいわ。噂の方々のお話が本当ならば、一時だけの問題で済まないわよ」


「えぇ、一時の気の迷いではゆるされないわ」


「そういう意味では先日リリーシア様にご迷惑をおかけした令嬢たちもそうですよね」



 わたくしは、正直なところもうあの彼女たちのことはどうでもよろしくてよ。

 こうして話題に出来てお友だちとの有意義な時間をちょうだいしましたし?

 お勉強にもなりましたでしょう?


 だからね。

 それよりも今は気になることがあるわ。


 この子たちも恋をする人たちのことをまるでよく知っている様子なの。

 一体どこで知り合っているのかしら?


 わたくしにも紹介していただけないかしらね?



「リリーシア様。どうかご安心くださいね。例の男爵令嬢の相手としての話であれば、あの方は含まれておりませんから」


 安心も何も。

 気にしてはおりませんでしたのよ?


 けれども素直にお返事はしておきましょうね。



「あら、そうなの?」


「そうですとも」


「えぇ、そうですね。間違いなく」


「すべて理由あってのことだと想像いたします」



 皆様のお返事がいつもより早いような気がしましたの。

 でもこれも気のせい……よね?



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