第15話 チユリ・リターンズ
「女」という言葉を受けて、
そんな険悪なムードに押しつぶされるように
「はじめまして、
堂々とした態度に、
「ていうかなんなんですか、アレ。幼気なお姉ちゃんを騙くらかしてキスとか万死に値しますよ。ぶっ殺しますよ」
「ぶっ殺すとは不穏だね。それに君のお姉ちゃんはこっちのキスを受け入れていたと思うけど。両者の了解を得ているのであれば、何も問題はないでしょ?」
「ありますあります大ありですよ! だってチユリがキスしたいんだもん!」
妹よ、お姉ちゃん恥ずかしいから黙っててくれないか。
けれど
それは、先ほどのキスの記憶。
……恋心として受け入れてもいない相手に、唇一つで魅了されてしまった。別に
かあああ……となおも熱くてなっていく身体に、十月の寒風が吹き付ける。実りの時期はとうに過ぎ去っていたことに、ようやく気づく。
「お姉ちゃんはチユリのものなんです! 触らないでください!」
「……君、姉妹なのにそういう関係になっていいと思ってるの?」
「ダメに決まってるじゃないですか! ダメな方向に溺れていくから、逆にイイんじゃありませんか! あんまり
対して
「お姉ちゃんもだよ。お姉ちゃんにはチユリがいればそれで充分でしょ? どうして他の女のところに行っちゃうの? 浮気性なの?」
「浮気って……別に私と
「そうだね。妹さん何か大きな心配をしているようだけど、別に
けれど
「……妹さん、
なんならこの険悪な空気のなかで、一番呑気でいた。
「……ええ、急になんの話だよ」と
あとは、
そうと定まれば、
「
「は? なんなんですか急に。嫌ですよ」
「これもなにか縁だと思って。ね?」
「別にチユリはあなたと話したことなんてありません。お断りです」
冷たくあしらわれてもめげない
ぐっと顔を近づけると、ぎょっとしたのか
一方
「もしかして、こっちのこと嫌い?」
「ききき嫌いに決まってるじゃないですか! あんないやらしいことお姉ちゃんにしようとしてたくせに! 許せませんよ!」
「そう。こっちは
「ナチュラルに『ちゃん付け』しないでください! 近い近い近い!」
「ねえ、本当にしてくれないの? 連絡先の交換」
「しないですって! しつこいですよ!」
そんな
「
「ち、近づくなあっ! それ以上近づいてたら——あっ、……んっ」
顔と顔が近づいた瞬間を狙った、キス。しかも、マウス トゥ マウス。
キスされた
「え、あ、は……?」
そうやって呆然としている
今度は長い。
「——!? ……んっ…………」
「…………んっ、」
完全に目を回してしまって、よだれが口から零れている
「それで、連絡先交換する?」
「…………………………………………………………する」
「そう。じゃあ、友達になってくれる?」
「………………………………………………付き合ってください」
さっきまでの態度とは打って変わって、こくん、こくんと素直に首を縦に振る
そんな二人の百合百合しい雰囲気に、
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