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この組合〈
日が暮れると、虚ろな目をした
彼のおかげで綺羅晶掘りたちは尚のことげんなりし、そそくさと出て行くのが常だった。
それが、今夜は。
誰一人として、立ち去る素振りを見せていない。
広くはない板の間で、互いに顔を突き合わせて何事かを囁き合いつつ、わざとらしく
親しい者の姿を見付けて、
「ちょっと、
呼び掛けに応じて振り返ったのは、綺羅晶掘りの凜だった。麗しい響きの名前に反して、すわ凶悪犯かと身構えたくなる顔立ちの男である。
歳は三十路の半ばほど。額の中ほどから頬にかけて、左眼を潰して傷跡が走っていた。どういう頻度で剃っているのか、いつ会っても半端な短さの無精髭を生やしている。ここら一帯の
凜は、
「珍しい客が来てるんだ。それで今、
彼がしゃくった顎の先には、組合の応接室があった。目に痛い緋色の
緞子を僅かにめくり上げ、三つ編み頭の少年たちが、中の様子を窺っていた。
果朶は律義に訂正した。
「別にあいつら、双子とは限らないよ。限りなく似てるだけの赤の他人って可能性もある」
凜はあからさまに『そんな馬鹿な』と言いたげな顔をしたが、果朶は構わず質問した。
「それで、珍しい客って誰?
正直なところ、それくらいしか思いつかない。
〈
貴族たちの寄附金によって成り立っており、組合幹部は、七百年近く遡ることができるその沿革に非常に誇りを抱いている。
成り上がりの平民に過ぎない厭朱が興し、ここ十数年で急成長を遂げた〈
とは言え。同業という間柄、協力し合う機会がないでもない。
けれども凜は首を横に振った。
「いいや。あいつらだったらわざわざ来ないで、手紙かなんかで呼び付けてくるだろうさ。もっと毛色の違うやつだ」
「へぇ?」
果朶は眉を跳ね上げた。興味深げな果朶に気付いて、華々と慈々が身を屈める。
果朶は、二人の背後から応接室を覗き込んだ。
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