で、でけぇ……
ふと意識を取り戻す。
ここは『
この時間帯は最もゲーム人口が多くなるタイミングだし、【ハイドリナ】もかなり賑わっているようだ。
とりあえず待ち合わせ場所の、街の中央にある噴水の場所まで来たけど……まだ
とりあえず、ステータスを確認……と言っても、各パラメータを一つ一つ見るのは面倒くさい。『ドワーフ』は
一応説明しておくなら、『パラメータの上がり易さ・上がりにくさ』は初期設定の段階で多少弄ることができる。俺は
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Name:センコウ
Species:ドワーフ
Job:鍛冶師
Skill:【パワーガード】
【カバー】
【付与術】
【初級錬成】
【初級鍛冶】
【パワーガード】
盾で相手の攻撃を強く弾く。
【カバー】
他のプレイヤーが狙われた攻撃を代わりに受ける。その際のダメージを軽減。
【付与術】
自分で作成した装備などに、特殊な効果を付与する。
【初級錬成】
任意の素材を消費し、簡単な錬成を行う。
【初級鍛冶】
任意の素材を消費し、簡単な鍛冶を行う。
Manny:10,000G
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このゲームを開始した際、選んだ種族特有のスキルを一つ、選んだ
俺の場合は、【パワーガード】が種族スキル、【初級錬金】と【初級鍛冶】が
もちろん、ゲームを続けていけばもっと多くのスキルを習得することもできるし、習得済みスキルもどんどん強くなっていく。だから初期の段階で強いとか弱いとか判断はできず、『とにかくゲームを進めてみろ』ってところだ。
しかし……さすがはSWOだ。
サービス開始から3年経った今も、プレイ人口は減らないどころか、【ハイドリナ】を見る限り今も増えているようだ。
辺りを見渡せば、獣人にエルフ、吸血鬼……珍しい所では
流石にみんなアバターだから、見た目は美男美女ばかりだ。
そんな風に道行くプレイヤーを眺めていると、人ごみの中からこちらに向かって走ってくるプレイヤーが一人。間違いない、
「おう、やっと来た———」
「
「ングッふっ!?」
走ってきた勢いをそのままに、思いっきり飛びつかれた俺は、僅かにダメージエフェクトを散らしながらなんとか
「おまっ、ダメージ受けたんだが!? どんな勢いで抱き着いて———」
「
俺の胸元にグリグリと顔を押し付けながら、震えた声でそう漏らす
で、でけぇ……ここまでリアルに再現する必要あったんですかね、運営さん。
でもナイス。
そのまま十秒ほど、お互いに何も喋らない時間が流れ———周囲から聞こえた舌打ちや、にやにやと生暖かい視線に、ハッと意識を取り戻す。
「周りで他のプレイヤーが見てるから離れようぜ? それと、ゲーム内ではPNで呼ぶのがマナーだ。えっと……ミツキ?」
「あっ、ご、ごめんねっ」
「とりあえず移動しようか」
周りから見られてることに気付いたのか、バッと離れる『ミツキ』。
バクバクと早鐘を撃つ心臓を落ち着かせつつ、ミツキの手を引いてその場所を後にする。
ひとまず【ハイドリナ】から出て、すぐ目の前の【始まりの草原】で話の続きだ。
「えっと
「そういうこと、分かりやすいだろ? そっちはなんでミツキ?」
「えっと、私の名前を決めるときに、
「そっか。
「えへへ、そうでしょ?」
照れくさそうにはにかむミツキに、俺も笑顔を浮かべる。
『
「よし、じゃあ先に色々と確認しておこう! ミツキは『エルフ』だよな?
「聞いて! 私、魔法を使いたい思ってたんだけど、剣も捨てがたくて! やっぱりゲームやるんだったら敵をバンバン倒すの憧れるよね。どっちにしようかって悩んでたらね! 『魔法剣士』なんて職業見つけちゃったんだ! すごくない!?」
「ビンゴぉ!」
「え、何?」
「いやごめんこっちの話。ステータスも確認していいか?」
「うん、どーぞ!」
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Name:ミツキ
Species:エルフ
Job:魔法剣士
Skill:【アトリビュート・コンバート】
【ヒール】
【パワーレイド】
【武具解放Ⅰ】
【ワイドスラッシュⅠ】
【アトリビュート・コンバート】
四代元素(火・水・土・風)の中から一つを選択し、武器に付与する。
【ヒール】
対象のHPを少し回復する。
【パワーレイド】
STRを少し上昇し、敵に強い刺突を放つ
【武具解放Ⅰ】
INTの30%をSTRに加算し、装備している武器によって攻撃に様々な追加効果を付与する。
【ワイドスラッシュⅠ】
攻撃を溜め、横薙ぎに範囲攻撃の斬撃を放つ。
Manny:10,000G
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【ヒール】以外はバフか攻撃スキル……そしてパラメータの上昇値振りはSTRとINTの上昇率アップか……。
「なんというか、脳筋エルフだな」
「馬鹿にしてる?」
「褒めてんだよ。ちなみに俺は『ドワーフ』で、今回は『鍛冶師』にしてある」
「鍛冶師? 戦う職業じゃないよね?」
「そう。俺はミツキのサポートをするつもりだったし、装備とか作れたら便利だろ?」
「確かに……センコウって色々考えてるのね」
「このゲームに関しちゃ3年先輩だからな」
「じゃあ先輩! 最初は何をするんですか?」
「まずは、『武器ガチャ』だ」
「『武器ガチャ』?」
このゲームを初めてプレイした際に、一人につき一枚だけ『武器解放チケット』が配付される。このチケットを消費することで、選択した武器種の中からランダムに一つ獲得できるのだ。
バランスを考えて、このチケットでしか入手できない武器や、レア度が高い武器は排出されない。せいぜい、プレイを開始した序盤で活躍するか、といった程度だ。
そんな説明をしつつ、俺も『武器解放チケット』を使用する。
眩い光に包まれながら現れたのは———
「『アイアン・バックラー』か……ちょっと小さいが、まぁ悪くないか」
早速装備しつつ、性能を確認する。
直径30cm程度のバックラーは、攻撃を受け止められる面積は小さいが片手に装着でき、比較的軽いため機動性も損なわない。
まぁ、AGI捨ててるからあんまり意味ないけどな。
「センコウ、武器のコストってどれぐらいなら強いの?」
俺が『アイアン・バックラー』を確認していると、ミツキからそんな声が聞こえてきた?
「んー、80から100あれば序盤は問題ないって感じか?」
このゲームは、武器やアイテムなどに『コスト』が設定されている。
コストはその武器の『潜在能力』と言っても過言ではなく、攻撃力、性能、特殊効果、見た目に至るまで、全てコストに比例して強くなっていくのだ。
当然コストが高いほど、鍛冶や錬成で扱う際の難易度は高くなる。
ちなみに最弱モンスターの角ウサギやスライムから採れる素材は、コスト1~3ぐらい。
最初のエリアボスで20程度、今のところ発見されている最高値で3500ぐらいだ。
「『武器解放チケット』で出るのは最高でもコスト500までだし、それも滅多に出ないから一喜一憂してもしょうがないんだけどね」
「あ、じゃあこれって最高値の武器引いたんだ」
「えっ」
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