サブキャラ作成!
業後、学校を出たその足でゲームショップを訪れた俺と
VRゲームが発展した当初よりは価格は下がったけど、それでも快適にゲームライフを送れるだけの機器を揃えるのには十数万かかった。
財布を取り出す
それでも購入した後はニッコニコで、楽しみにしているのが全身から滲み出ていたので、まぁ良い買い物をしたってことなんだろう。
その日の夜、夕飯を食べた俺と
SWOどころかフルダイブ型ゲーム初心者の彼女は、俺のベッドに腰掛けながら買ったばかりの機器をいじくり回している。
「装着の仕方はこうで……あ、ダイブする前に安定した姿勢で寝ころんでた方がいいぞ」
「分かった。んしょ……」
「最初のログインでパスワードの設定とかアカウントの作成とかあるから……これはまぁ指示に従ってやれば分かるか。アカウントの作成が終わったら一旦ログアウトするから、その後でSWOをインストールしよう」
「OK! じゃあ行ってくるね!」
そう元気よく返事をした
……俺の部屋で、俺のベッドに横たわる部屋着の幼馴染……。
いや、そんな気は……全くないと言えば嘘になるけど、さすがに
俺は車イスに座ったままVRヘッドギアを装着し、別アカウントを作成することにした。
数分後、俺も
その間に、注意事項について
「初めてSWOはスタートしたときに、
「えー、ダメなの?」
「そりゃだって、特定されたら困るしな。普通にプレイしてるだけなら問題ないかもしれないけど、中には直結厨のヤバい奴とかも居るし」
「『ちょっけつちゅう』?」
「ゲーム内で知り合った相手と実際に会おうとしてくる奴」
「あー、ナンパってことね。確かにそれはめんどくさそう……」
「俺は男だからいいけど、女の子は怖いだろ? だからなるべく現実と繋がらなさそうな———」
「うー、でも……わがまま言ってもいい? できれば私も
「……なんで?」
「なんていうか、その……自己満足だし現実じゃないってわかってるけど、
「ぅ……」
その顔はズルい。
いつも俺を世話してくれる時に見せる優し気な表情とは違う、ねだるような年相応の表情だ。めったに見せないからこそ、無視もできないんだよ。
……俺もチョロいな……。
「……分かった。けどせめて髪の色を変えるとかはしてくれよ? あとPNも」
「いいの!? やったぁ、
俺がそう言った瞬間、パァッと花が咲いたような笑顔に変わり、嬉しそうにVRヘッドギアを装着し始めた。どうやらインストールも終わっていたようだ。
まったく……ただ俺と一緒に隣を歩きたいってだけで、そこまで喜んでくれるなんてな。
俺はすごい愛されてるんだな……。
というか、なんか今『大好き』とか言われた?
……まぁいいか。
とりあえず俺もログインして、さっさとサブキャラを作りますか。
♢♢♢♢
真っ白の空間に、容姿端麗な女性の姿が浮かぶ。
背中に純白の翼を備え、後光が差すその姿は、誰もが口をそろえて『女神』だと言うだろう。
実際に、彼女は公式でも『女神』と呼ばれる、プレイヤーをこの世界に呼び出した張本人という設定のNPCキャラである。
『ようこそ、新たな冒険者よ……あら?』
「なんです?」
『ふふ、強くてニューゲーム……というやつですか?』
「え? ……まさか、俺が『イザヨイ』であることが分かんですか?」
『えぇ、もちろんです。彼女の凄まじいばかりの強さ、
「変に広めないでくださいね?」
『ご安心を。そのようなことはしません』
「それならよかった」
『では、あなたの新たな身体を作りましょう。やり方は分かっていますね?』
「もちろん」
とりあえず、
『イザヨイ』を狐の獣人にしたのは、俺の名字が『
俺の遠い先祖には昔から狐に関する伝説が残されていて、特に俺の家系にも名を残している白い狐は縁起がいいものとされていた。
小、中、高校と上がる度に珍しい名前だと話題になったものだ。
そんな背景があったから、『イザヨイ』も白い狐をモチーフにしたアバターで験担ぎをしてみた結果、大当たり。
今では狐獣人の頂点である『九尾』すら越えた種族にまで上り詰め、『裏ボス』と呼ばれるまでになってしまった。
それはそれとして、今回作るサブキャラは『鍛冶師ビルド』にするつもりだ。
戦闘職もいいんだけどそれは『イザヨイ』が居るし、
というわけで、
となれば、種族は『ドワーフ』だな。
種族によって上がりやすいパラメータは異なり、『ドワーフ』はVITとDEXが上がりやすく、AGIとINTが上がりにくい。また鍛冶スキルの効果アップという能力を持っている。
最高峰の鍛冶師を目指すならこれしかないんだよね。
そして
後はスキルを2つ選択して……
さて、これで初期設定は完了。
『———かつてよりその世界は、魔王の脅威にさらされていた。そんな世界を嘆いた女神は、異世界から勇者にふさわしい者を———』
あぁ、オープニングか。
スキップだスキップ。『イザヨイ』の時に見てるし。
何度も見てきた世界だから新鮮味はないけど、新しいアバターで、しかも今回は
さぁ、行こうか!
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