第15話.err

風が吹いている。

なびく木々は、葉と葉をこすりあって、綺麗な音が鳴っている。

地面の雑草たちは、湿ってる。

その雑草を踏みつけるのは、バグ。

「イロ!!!」

桜は叫び、イロを呼ぶ。

イロは大きく跳躍し、バグを上から真っ二つに切る。

イロは地面にめり込んだ、斧を抜き、

「ハァ、さすがにギアを纏って、体は疲れないとはいえ、精神面ではきついですね」

そう呟く。

かれこれ、5時間バグを切り続けている。


基地周辺半径10㎞以内に複数のバグが出現した。

それはいきなりの事だった。

基地の内部ではアラームが鳴り響き、

レーダーは反応だらけで、一色。

どこに何があるのか全く分からない。

「緊急!緊急!第一種警戒態勢、バグ出現、汚染区域も増大中。至急持場に着いたし!」

放送で荒い声が聞こえる。

桜、イロ両名がバグの出現状況を見たときは、目ん玉がどこかに吹っ飛んだくらいだ。

イロと桜は急いでギアを纏い、バグの討伐へ出発した。


バグは数万体は居る気がする。

「それにしても、どうしてこんな量のバグが一気に出現したんだ?」

そう小夏が疑問を投げかける。

「やはり、バグを操る能力を持った少女を収容したのが原因では?」

そう、オペレーターの一人がつぶやく。


イロは森の中を走り回る。

木が邪魔で、視界が悪い。

天気が晴れなことが救いだ。

最近のギア事情は深刻だ。

と言うのも、葵が完全に病んで何もサポートを受けれない。

最近は自衛隊保有の歩兵向け装備を改造したものを使うことが増えた。

イロは大斧を人型バグの喉元に突き立て、思いっきり振り上げる。

バグの頭は吹き飛び、ぶっ倒れる。

後ろでは爆発音。

イロが仕掛けた地雷をバグが踏んだようだ。

ここまでして総数の半分もやれていない。

バグは目的もなく歩き回っている。

桜は、手に持った刀でバグを真っ二つに切る。

だが、桜の背中を、バグがぶん殴る。

桜は少しひるんだが、振り返り、左手で拳で思いっきり殴りつけた後、

右手に持った刀で切りつける。

バグは減らない。

逆に増えている気さえする。

桜はバグの一体は蹴り飛ばし、違う一体は刀でこまぎりに、また一体は爆弾を中に詰め爆発させる。

このころには二人とも息が切れ切れで、足も震えている。

そんな時だった

「やぁやぁ、お疲れのようだねぇ、バグ倒しのお二人さん。」

そう、こちらをあざ笑う男の声がした。

クリップボードを片手に持った、いけ好かない顔の男。

「バイナリさんですっけ?」

そうイロは聞く。

「そう言う君は、イロだったかな?プランカルキュールの横に張り付いたAIくん」

そういう。

バイナリは桜の方を見て、

「君は、初めて会う子だね、雫から話は聞いているよ」

そういう。

イロは念のためと持って居た、リボルバーをバイナリに向ける。

通常兵器はバグには効きにくいが、生身の人間は違う。

「そんな物騒なものを向けるか、可愛くないAIだ。」

そうバイナリはイロに言う。

「気色が悪い、」

そうイロは吐き捨てる。

桜はイロに、

「引き金を引けば?」

そう耳打ちする。

イロは首を横に振る。

「まぁ、どうでも良いことだ、君たちはかれこれ5時間以上、戦っていた、その間、君たちは上と何回会話をしたかな?途中から一切の支援がなかった、そうは思わんかね?」

「何を言いたいのですか?」

そうイロは険しい顔で聞く。

「察しの悪い。君のAIモデルは微妙だな、答えを言う気はないが。」

そうバイナリは言い、にやけずらを見せる。

「イロくん、一度戻った方が良いよ、私が相手をしていますから、」

そう桜はイロに言い、イロからリボルバーを借り、イロを帰す。

「君の判断は懸命だね。」

そう、バイナリは笑う。

桜は問答無用で、引き金を引く。

だが、バイナリは、素早くクリップボードを素早く操作し、弾丸を桜の後ろにテレポートさせる。

「ツ」

桜の背中に電流が走ったように痛い。

桜は起き上がり、銃を向け直す、だがバイナリはいない。

「消えた?」

そう呟くと、答えるように

「後ろだ」

そう聞こえて。

後ろを振り返ると、顔面に重たい一撃を食らう。

殴られた。

鼻血が出ている。

視界がかすむ。

桜は刀を杖の代わりにして立ち上がる。

ダメージが蓄積されて、フラフラだ。

息がしにくい。

「落ち着きな、君はもう動けまい」

そう煽られ、

桜は、刀を、振りかぶる。

隙ができた腹を殴られる。

ギアで守られているはずなのにしっかり痛い。

腹を強く押され、吐き気がこみ上げる。

「だから言っただろう?」

息ができない、横隔膜が動かない。

肺が膨らまない。

地面に倒れている桜をバイナリは蹴り上げる。

「今回の目的は君ではない。」

そうバイナリは言い残し、どこかへ消え去る。

桜は気絶した。


葵は部屋のベットの上で、くらい部屋の屋根を眺めている。

さっき薬を飲んだおかげで気分が比較的良い。

鼻歌を歌いたい気分っというわけでは無いが、音楽を現実逃避目的ではなく。

娯楽として楽しめている。

この曲ってこんなメロディーなんだ。

そんなことを考えれる。

大体5曲くらい聴いていところで、ドアが思いっきり開く。

びっくりして、布団をかぶる。

「君!無事ですか!」

イロの声がする。

体中ボロボロのイロ、服は破けていて、見えてはいけない場所まで見えている。

血が染みた、服が黒くなっている。

「イロ大丈夫?」

葵が質問をする。

そう聞くと、イロは葵に抱き着き、

「無事ならよかったです。」

そう言った。

少し血の匂いが鼻につく。

「何があったの?」

葵がもう一度聞く

「わかりません、指令室は大慌てで、何しているのか分かりませんが、話の内容的に、雫でしたけ?バグ少女が逃げ出した、と言う感じでした」

そうイロが言った瞬間。

「正解です。そこどいてもらえますか?プランカルキュールが目的なんです。」

振り返るとそこには雫とバイナリがたっていた。

イロは、ナイフを投げる。

ナイフは雫に一直線に飛ぶ。

だがそれは雫に届いていない。

なぜなら、ナイフは雫の顔ギリギリのところで空中に静止したのだから。

バイナリも、雫も何かしているわけでは無いようだ。

「あぶないなぁ」

そう、知らない声が聞こえたかと思うと、ナイフはイロの方を向く。

「君は異端なんだよね、死んでくれたらうれしいんだけどな」

そう聞こえると、ナイフはイロに向かって一直線に飛んでくる。

イロは何かに押し倒される。

その正体はすぐに分かった。

一人の女性。

美人さんな女性。

栗色の髪の毛に、細い足。

イロに馬乗りになり、イロをナイフで思いっきり刺す。

何回も何回も、真顔で刺し続ける。

ギアを纏った人にしっかりダメージを与えている。

この女性は、イロのメイド服は相当頑丈にできているそんな服を貫通して、しっかりイロにダメージを与えている。

コードに干渉する、バグならまだしも、人の手で、何回もさせるものでは無い。

イロは抵抗する。

女性の背中を何回も殴る。

その速度がだんだん遅くなってくる。

最終的に完全に止むと、女性はナイフをイロの心臓に刺し、

葵の方を向く。

「どうだった?、いい物でしょう?人の死体って」

そう言うとイロの顔面を踏みつけ立ち上がる。

「こんなね、私の想定していないクソコードはこうなって正解なの。」

そうニコニコ笑顔で言う。

葵は腰が抜け声も出ない。

そんな葵を見て女性は不思議そうな顔を見せる。

「あれー?もっと怖がって発狂するはずなのに?どうして?変なものでも食べたの?

おもらしして、涙で顔はぐちゃぐちゃで、発狂する、葵ちゃんが見たかったのに」

そう言いほっぺたを膨らます。

女性は机の上の小瓶を見つける。

精神安定剤だ。

「はぁ、これか。」

そう言うと床に投げつける。

「雫ちゃん、あれ持ってきてる?」

そう女性は雫に聞く。

「アレ、あーrmリムに渡された奴?あなたが渡したものを忘れるわけないでしょう?」

そう雫は言うと、どこからか一つの大きなものを出す。

葵はそれを見た瞬間、吐き気来るそして目を背ける。

「君のおじーちゃんの頭!すごいでしょ~?、コレのせいで、君が一時期心身ともに元気に暮らしていたのほんとやんなっちゃうよね、君はボロボロで、病んでるのが良いのに、今の君は病んではいるけどボロボロじゃないよね、それはいけない。」

女性は、葵のおじーちゃん雄一の頭を放り捨て、葵の胸倉をつかみ持ち上げ、床にたたきつける。

背中に激痛。

凄い力だ。

痛みで葵の顔は歪む。

「そうそう、その顔、その顔!苦しむ君!本当にいいわ!」

もう一度、今度は机の方向に投げ飛ばされる。

イロの横に葵は倒れ込んだ。

机はぶっ壊れ、置いていたものが葵に降りかかる。パソコンが腹に落ちてきて。また激痛。

横に、光る物が落ちてくる、

ギアだ。

これを使えば助かるかもしれない。

そう思い、葵は手を伸ばそうとするが、途中で止まる。

「どうしたの?その機械を使えばいいのに、あぁ無理か。男たちに無理やりやられた過去を思い出したくないものね?私が手を回したからよく知ってるは!」

女性はそう言い大笑い。

葵はその場にうずくまり、泣くしかない。

「念のため言っておくがプランカルキュール君。ここの人たちは助けに来ないぞ?雫がバグで足止めしているからな」

そう、バイナリは雫の頭を撫でながら言う。

「…み、君、」

イロの力のない声が聞こえる。

「私のギア、使う?これなら戦えるでしょ?、パーソナライズしますから…」

そうイロは言う。

かろうじて息があるのはギアのお陰だ。

それを理解した上での一言。

葵は首を振り、目の前のギアを掴む。

プランカルキュールを。

葵は立ち上がり、嫌悪の目を女性に向ける。

「その眼は嫌いだな、」

そう、低い声で女性は言う。

葵はただ一言

「program,start」

そう、葵は呟き、ギアを起動する。

纏うギアの名前はプランカルキュール。

量子コンピューターの特異性により、高性能で汎用性のある葵の最高傑作のひとつ。

それは葵自身が纏うことを想定し、葵だから使える装備を沢山搭載している。

葵は女性の首を掴み、押し倒す。

凄い力で絞める。

それを見たバイナリは葵に飛び掛からんとする。

だがそれを、女性は止める。

女性は、静かに腕を屋根の方に向ける。

「program,start」

そう女性がつぶやく。

女性は真っ白な光に包まれる。

光が晴れるとそこには、プランカルキュールに似たギアを纏う、

女性、

否 rmの姿が存在していた。

「残念でした」

そうrmが言うと、葵を思いっきり蹴り上げる。

葵は屋根を突き破り、一つ上の物置に落下する。

葵は立ち上がり、棚のジャングルな物置を見回す。

真っ暗だ。

葵は、ハンドガンを取り出し、倉庫の出口の方へ歩き出す。

出口のノブに手を掛けた瞬間。

暗闇から、rmが飛んでくる。

葵は吹っ飛ばされ壁にぶつかる。

そしてrmが葵を殴ろうとする。

葵は急いで防壁を出し、ガードする。

反対の拳が飛んでくる前に葵は手に持ったハンドガンで、rmの肩を撃つ。

だが、それは装甲に弾かれる。

「どんな固い装甲してるんですか!」

葵はそう言うと、防壁を退け、走って倉庫奥の暗闇に身を隠す。

ここからどうするべきか。

倉庫の出口は一つ。

その一つをrmは塞ぐように立っている。

葵は手荷物、展開爆弾を投げる。

白い粉があたりに舞う。

そして銃を発砲。

辺りは途端に真っ赤に燃え上がる

この視界が奪われている今のうちと、踏んだ葵は、倉庫ドアを荒々しく開ける。

初めてくる階層だが、エレベーターや非常階段の位置が違うなんて事はないだろう。

葵は少し走り、防火シャッター閉鎖用のボタンを殴り防火シャッターたーを閉める。

多少の時間は稼げるだろう。

葵は壁に寄りかかり、息を整える。

イロは無事だろうか。

息があれば修復はできる。

だが息がなければ死亡扱いになり、この世界からイロの意識となるAIは削除されてしまう。

そうなってしまうと仮にAIを入れ直しても、それはイロではないだろう。

見た目と、声、振る舞いが一緒の別の人。

それは気持ちが悪い。

葵はエレベーターの前につく。

その次の瞬間、

床に大きな穴が開く。

葵はその穴に落下してしまう。

落下したところには、バイナリが居た。

「残念だったな、もしかしたら逃げられたかもしれないのにな」

そうバイナリは静かに呟く

「せっかくトラウマを乗り越え、ギアを使ったのにね」

合流してきた、rmはそういうと、葵の頭を踏みつけ、グリグリと足を動かす。

そして、思いっきり葵の足を踏みつける。

ゴン

鈍い音と共に葵の頭から血が流れ出る。

「まぁ?私はそうゆうのも大好きよ?」

そう言い、さらいながら葵の顔に、何か生臭い物を塗りたくる。

ニコニコ笑顔で。

「さてと、葵ちゃんこっち来て、もっと楽しくて痛い事しようね?」

そう言うと、rmは葵に手をかざす、するとギアの装甲が解け、生身が露出する。

「取り合えず、ギアを持ったままだと、都合が悪いのよね」

そう言い、葵の右腕を踏みまくり、ぐちゃぐちゃにする。

痛みで葵は叫ぶ。

悲鳴を上げる。

ギアのパーツが細かく砕け、肉と骨に食い込む。

そもそも、腕の形を保てているか怪しい。

意識が、どんどん暗闇に落ちてゆく。

視界はぼやけ、体の感覚がなくなっていく。

バン

一つの銃声が聞こえる

「葵!しっかりして!」

その声は桜の声だ。

「しっかり止めを刺しておくべきだったか」

そうバイナリは言い。

クリップボードを使おうとした時だ。

桜は跳躍し、バイナリの真ん前まで来て、刀でボードを弾く。

光の速度で誰にも見えなかった。

それを見た雫がバグを呼び出そうとする。

何も来ない。

「ここら辺のバグは一層してるから、召喚でもしなきゃ」

そう桜は言う。

桜を見たrmは少し、笑い。

「以外に君も面白いね、葵の前で君を痛めつけるのもいいかもね」

そう言うとrmは立ち上がり、桜の方へ近づく。

「どうしてほしいかな?」

にやけ面のrmはそう桜に聞く

桜は、一歩後ろに下がり

「私は、バイナリとかいう、いけすかない男を殴りたかっただけ、あとは自衛隊の人に任せる。」

そう言うと、複数人の兵隊が銃をrmに向ける。

rmは鼻で笑い

「雫、バイナリ、帰るぞ」

そう言うと、何か、変な光が周りを包む。

光が晴れると、rm達はどこかへ姿を消していた。




志桜里と染鞠は葵が寝ている病室の前で話をしていた。

「葵は出血多量に、右腕の喪失、その他に内臓の損傷などがあるが命に別状はない。あなたの妹さん、桜さんに関しては、オーバークロックによる高熱と、多少の骨折がある物の、特に問題はないだろう。」

そう、志桜里が言うと、染鞠は

「イロ君はどうなったんですか?」

そう、恐る恐る聞く。

志桜里は煙草に火をつけ

「体には数十か所の刺し傷、内臓が露出し、四肢は完全に切り取られ、壁にはりつけにされていた。そして顔は原型をとどめていないほど潰されており、脳の一部は葵の顔に塗りたくられた肉塊と判明した。」

そう、静かに言うと、煙草を思いっきり吸う。

染鞠は吐き気をぐっと抑え

「葵に言いますか?」

そう聞いた。

「いいこともある、不完全なものではあるがイロの記憶を取り出せた、これを元にサルベージする計画がある。」

そう志桜里は言う。

染鞠は安心して、肩を下す。

「ただ、イロ君が完全に戻ってくるかどうかは別だが。それと、雄一、葵の祖父についてだ」

そう志桜里は話の話題を変える。

「葵のおじーちゃんに何かあったんですか?」

「頭が無い状態で自宅で発見された」

「なんですか、それ」

そう染鞠は驚いていう。

「頭はまだ見つかっていない。葵になんと説明すべきなのだろうか、大切な人を二人も失った上に、腕も片方喪失。トラウマも増えただろう。」

そう志桜里は言うと、ため息を着きその場にしゃがみこむ。

煙草の火は天井に伸びている。

染鞠は少し間をおいて

「私が言います、説明します。多分私の方で言った方がいいかもですし、イロ君は戻ってくる可能性があるんですよね?。でしたらそれの事もしっかりと。」

そう言い、病室に入っていく。

志桜里は煙草を、ポケット灰皿に捨て、研究室に戻るのだった。

~~~続く~~~



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