第13話、過去のトラウマを踏み抜ける。

2023年 6月21日 7時21分。

「パパー見てよ」

そう、父親に無邪気な笑顔を振りまき、手にパソコンを持った少女

葵の姿はあった。

パソコンにはコードが。

当時から、彼女は天才少女だった。

それに早めに気づいた両親は、自由に学ばせ、学校を止めさせた。

これだけ聞くと、ちょっと頭のおかしな両親に感じるだろう。

だが、父親は名門大学卒業の、プログラマー、さらに教員免許持ち。

母は現役の高校の先生。

この子の才能を伸ばす教育を、自分たちでした方がいいという考えだった。

もちろん、義務教育の範囲はしっかり教えた。

「ん?どうした?」

「なんか、エラーが出て、調べてもわかんないの」

「ちょっと待ってろ」

そう、父親はパソコンを借り、内容を見る。

いつもと変わらない平和。

母の鍋を叩く音。父親は愛する娘のために努力をする。

父親がコードを見ている、そんな時。

「おねーちゃーん」

部屋の奥から、少女が出てくる。

葵に顔が似ている少女は、葵の事をおねーちゃんと呼ぶ。

同い年の妹、白機しらき 木乃葉このはだ。

「この問題教えて~」

そう木乃葉は言う。

「お!、木乃葉わかんないのか、お父さんが教えてやろう」

「「パパはそれを終わらせて」」

そう、姉妹は声をそろえて言う。

「はい」

父親は静かにパソコンに目を戻す。

「第一、パパ教えるのへただし」

そう木乃葉は言う。

「やめて、パパのライフはもうゼロよ」

そう葵は言う。

葵がペンを持ち、教えようとした時だった。

ウ~~~

サイレンが鳴る。

「え?何、」

そう葵が言う。

「まずいな、汚染区域だ、避難所に逃げるぞ」

そう、冷静に、父親が言う

「ママ、そこの避難バック、二人に渡してくれ、私は外の様子を見てくる。」

「わかったは」

そう、両親二人は、少し離れた廊下で話す。

話が終わり、母が、こちらを向いた時。

ガシャン

大きな音を立てて、廊下につながる扉がある壁が、黒色になる。

少しして今度は外が見えた。

「え?何」

そう木乃葉がつぶやく。

外では防災無線の腐った音質で、避難の知らせがループ再生。

家の半分がバグによって潰された。

目の前に赤い、多分女性の手が落ちている。

葵たちは、父が言っていた、避難場所そこへ行くことにした。

多分そこに両親がいるそう思い。

知っている住宅街の、いつも通る知らない道を歩く。

赤い絵の具を、誰かがこぼした赤い道。

作り物の悲鳴が聞こえる。

姉妹は手を固く握り、妹の通っている何もない、平たい空き地に見える学校へ着く。

姉妹は、平たくて、屋根のない、壁のない、体育館に座る。

所々、人の一部みたいなものが飛び出た不思議なつくり。

そこでたぶん、数時間いたと思う。

「きみたち!」

そう、優しいおじさんの声がする。

その方向を見ると、数人の自衛隊員が。

「こっちに来なさい」

姉妹は救助された。


それから数日が経った。

姉妹は三つ町の離れた大きめの避難所につく。

「ようこそ、」

そう、ここのリーダー?のおじさんが優しい笑顔で、そう姉妹に話しかける。

大きめの体育館。

姉妹はそこの、端の一角に案内された。

ダンボールで作られた簡素な仕切りは、男性なら中が覗き込める高さ。

形だけのプライバシー保護が、そこにはあった。

姉妹は、渡されたお茶を飲む。

体育館のステージに置かれたテレビに映るニュースは、あまりに非日常的で、地獄的。

まだ幼い二人には毒だ。

唯一、彼女達の救いになったのは、ここの人たちの優しさ。

年寄りや、若い男性ばかりのココの避難所の住人には、まだ幼く、顔も美形の方な姉妹が、何か異次元の妖精にでも見えたのかもしれない。

だが、それも長くはなかった。

少しづつ、食料や水が減ってゆく。

さらにはバグが近所に出没する用になってしまった。

自衛隊からの、食料の提供が止まり。

皆の、フラストレーションが溜まってゆく。

そのストレスが人をおかしくする。

健康的で、幼い少女は、人によっては妬みの対象、若い男には性的対象に見えてしまったのかも。

尾が優しかったのも、比較的余裕があり、良い人を演じたかっただけだった。

最初の異変は木乃葉に起きた。

着替えの時に、痣が見えた。

葵は

「どうしたの?それ?」

そう軽く聞く。

すると木乃葉は暗い顔をして。

「何でもない」

そう言うだけだった。

木乃葉は毎日、昼頃にどこかへ行く。

そして、外が暗くなると少しの食べ物を持って帰ってくる。

それの繰り返しだった。

木乃葉は日に日に顔から元気が抜けてゆき、痩せ細ってゆく。

持ってきた少量の食事は、「私は食べたから、」

そういって全て葵に渡す。

そんな日が、一ヶ月続いた朝。

木乃葉はトイレで首を吊った状態で発見される。

体には複数の痣。

発見したのは、葵だった。

夜中、トイレに行く、そういって居なくなったまま、朝になり、不審に思って探しに行った先で発見した。

すぐに大人に、そのことを伝えたが、

「そうかい。」

そういって去ってゆく。

遺体は気づくといなくなっていた。

それから一週間後、

葵は、一人の男性に呼ばれる。

その男性は

「着いてきて」

そう言うだけ。

着いて行った先は、会議室。

会議室の扉を開けて中に入る。

中には複数人の男性。

葵は少々恐怖を感じる。

葵は、部屋から出ようとする。

すると、その中の男の一人が、服を掴んで、引っ張り、部屋に引きずり込む。

「な、なんですか?」

そう、葵は言う。

男たちは、軽く笑った後、

「お前の妹との代わりさ」

そう言った。

葵の体は一瞬で冷えつく。

葵は何を言ってるのかわからなかった。

だが、すべてを理解できた。

少なくとも、木乃葉が首を吊った理由、それはこの人たちが作ったのだと。

男たちは、ズボンを、脱ぎだす。

そして、醜い性器を露出させる。

それを、葵の顔に近づける。

キツイ臭いが鼻を刺す。

「うっ」

少し嘔吐く、キツイ。

「口に入れな」

そう男性は言う。

「む、無理です」

そう、葵は勇気を出し、はっきり言う。

すると、男は、ため息をつき、無理やりねじ込んだ。

それから、本番は、なかったが、葵は確かに汚された。

「明日も、迎え行くからな」

そう、男が言う。

そのあと、少々の水と、食料を渡してくる。

葵は、体育館の一角で、一人泣く。


「これが、続くのかな?」


それから、何日がたったのだろうか。

葵の時間間隔がなくなり、恐怖しか考えれなくなった頃だった。

そのころには、処女は消え去り、使い古された、おもちゃ。

葵は、段ボールベットの上で、ぐったりしていた。

考え事はしない、無を続ける。

少しでも、何か考えると、嫌な、毒々しい考えが浮かぶ。

「葵」

男性の声が聞こえる。

「ヒ、」

恐怖で声が出る。

嫌な考えが、過る。

こんな夜中に?、もうやめて、気持ち悪い。

薄い、毛布を頭まで被る。

震えが止まらない。

少しして、その声の持ち主は、葵を抱き上げる。

葵は恐怖で目をつむり。

私は、人形。そう思い続けた。

ブーン

気づくと、エンジン音が聞こえる。

やわらかい、クッションの上に居る気がする。

葵は布団の隙間から周りを見る。

「おじーちゃん?」

そう葵は呟く。

車を運転していたのは雄一だった。

雄一は優しい笑顔を見せて。

「おじーちゃんの家で遊ぼうか、」

そう言った。


葵は、おじーちゃんの家に着く。

久しぶりの、我が家と言える、落ち着く場所。

着いてすぐ、葵は涙が出てくる。

そのまま泣き崩れる。

両親が目の前で死に、妹が自殺をし、自分も男に汚される。

そんなすべての感情が漏れ出す。

葵は、そこから雄一と暮らした。

雄一の家は田舎にあり、空気がおいしい。

心に影を持った葵を癒すにはいい環境かも。

だがそううまくはいかない。

最初のころはよかったのだが。

だが、時間がたつと、現実が押し寄せてきて、影が濃くなる。

寝ると、木乃葉の死体、それに群がる男たち。

そいつらは、木乃葉に屈辱的なことをする。

葵は日に日に疲弊する。

そんなある日だった。

雄一が腕輪を渡してきた。

その腕輪は機械丸出し、何だろう、そう思いながらつける。

すると、頭の中の影が一気に消える。

何かあったが、それが思い出せない。

葵は元気になった。


そのあと、雄一は、知り合いの姉妹に葵を預ける。

雄一は葵に後ろめたい気持ちがあった。

姉妹が大変な状況だったのに自分が何もできなかった。

その上、何も相談できず、機械に頼ったためだ。

「おじーちゃん、言ってくる」

そう、葵はかわいらしい笑顔を雄一に見せる。

「いってらっしゃい」

雄一は笑顔で返した

~~~続く~~~













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