第7話.Black Out

葵はモニターを眺めていた。

モニターには英語、セキュリティ系の論文を読んでいた。


「葵~」

そう桜が呼ぶ。

桜は葵の部屋の扉にもたれかかって、葵に話しかける。

「どうしたの?」

「買い物行くけどいかない?」

「う~んいいかな」

そう、葵がいうと、モニターに目を戻した。


桜は駅へ向かう、

駅はとても広い。

田舎の駅とはひにならない大きさ。

出口もたくさん。

現代の迷路だ、桜は迷わず進んでいく。

そんな時だった。

ウ~~

サイレンが鳴る。

「なになに」

駅にいる人たちが騒ぎ始める。

駅員さんが拡声器をもって、何か話を始める。

「皆さん、落ち着いてください!!今から、駅員が誘導します」

そう、駅員さんがそう言い、乗っていた台を降りた瞬間。

上から、ぬめぬめした、スライム?のような物が駅員さんの頭に乗る。

そのまま顔全体を覆う。

駅員さんはそのスライムを退けようともがく。

駅員さんは台から倒れ、足をバタバタさせ、そのうち動かなくなる。

みんなが駅員さんから離れる。

「ア"~~~」

うめき声をあげ、駅員さんは立ち上がる。

様子が変だ。

駅員さんは人に襲い掛かった

「キャーーーーーー」

悲鳴が上がる。

桜は人込みをかき分け、逃げる。

駅の出口につく。

出口には、逃げようと思ったのだろう人5,6人がその場に座り込んでいた。

前をみると、桜は驚いた。

前にはシャッターのしまった、出口。

桜はシャッターに触れる、

「あれ?」

桜は違和感を覚える。

シャッターはごつごつしているのに触れた感覚はつるつるの壁。

まるで、シャッターの前に壁があるようだ。

桜は出口から離れて別の出口へ向かうことにした。

壁にスライムのようなべとべとしたものが滴っている。

固い固まった何か。

駅は何か別の施設へと姿を変えていた。

桜は周りを警戒しながら、別の出口を探す。

「アレ?」

桜はとある途に気づく。

「これ、もしかして地形が変わってる?」

桜はとりあえず、駅を歩き回る。

駅は混沌と化していた。

最初のころは結構人とすれ違ったが、今はそこまですれ違わない。

駅員さんのような、おかしな人はまだ3人しか見ていない。

桜は右を曲がり、左を曲がり、曲がり角を適当に曲がっていると、出口を見つけた。

でもしまっている。

シャッターは前と同じで謎の見えない壁?が前にあり触れれない。

桜は出口はあるの?

疑問を持ったまま駅を歩きつづける。

プルルルル

電話が鳴る。

スマホを見ると葵からだった。

「桜!!!!」

葵の電話に出ると大声で桜の名前を呼ぶ。

葵は話を続ける

「今、駅いるんでしょ?」

「うん」

「よく聞いて、今駅の前にいるんだけど、駅全体がスライム?に囲われてる」

「なにそれ?」

「わからん」

「どうにか、ならないの?ギアとかで」

そう桜は問う。

「それがね、今停電してんだ」

「ギアって電池じゃないの?」

「ギアは良いんだけど、ホストPCが」

「PC?」

「ギアは、処理をするためのPCがあるんだけど、それの電源がないから」

「じゃぁ、どうするの?」

「桜にギアを渡す。」

「なんで?使えないんでしょ?」

「桜に渡すのは低電力モデル、停電でも使えると思う」

そういい、葵は電話を切る。

「あのこ、」

そうつぶやき桜は歩く。

桜が歩いていると、暗い廊下を見つける。

スマホのライトを付ける。

ライトを向けて少し驚いた。

スライムが足元に溜まっている。

「ここを、通るの?」

そう桜はつぶやく。

通る、っと言っても迂回はできる。

だが、ここに戻ってこれない気がしてならない。

桜は渋々通ることにした。

足に冷たい感覚。

ぬめぬめしてて足にこびりつく。

お世辞にも良い感触とは言えない。

桜は廊下を歩きながら、周りを見渡す。

バルブが二つ並んでいるのが目に入る。

バルブには124、というタグが付いている。

3がないな、

桜はバルブを二つまわしてみる。

廊下のスライムが徐々に水位が下がり、廊下が丸見え。

ここは地下鉄、地下鉄には地下水を抜くためにポンプがあったりする。

おそらくそれのバルブを開放したのだろう。

廊下を過ぎると上り階段があった。

上ると、屋外のホームがあった。

葵が言っていたスライムに囲われている、それを理解した。

ぐるっと一周スライムがドームを作っていた。

桜は周りを見て回るととあることに気づく。

「穴が開いてる」

スライムが囲ってるところに太めの塩ビ管が噛んでいい感じに穴が開いていた。

葵にこの発見を伝える。

少しすると葵が到着する。

「まさかこんな穴があるなんて、」

そう葵についてきたイロがつぶやく。

「とりあえずホイ」

そう葵が言うと塩ビ管を通して、チョーカーを渡してきた

「これがギア?」

そう桜が言う。

よく向こうを見ると、イロが台にのっけたPCを持っている。

多分葵が言ってたやつだろう。

ギアにはLANケーブルがつながっている、先はPC。

桜はとりあえずギアを付ける。

「ギアの横にある、ダイヤル回して?」

そう葵が言う。

ダイヤルを回すと、目の前にゲームのメニュー画面みたいなものが出てくる。

少しして視界が開ける。


桜の纏ったギアの名前は、組み立て部品アセンブラ

見た目は武士の鎧を軽装にして頭の兜はついていない。

刀を二本、腰につけている。

低電力のため少々デザインが簡素。

やはり何処かメカメカしいというかサイバーっという感じ。

背中からケーブルが伸び塩ビ管を通ってイロが持っているPCにつながっている。

PCの前に葵が座ってモニターとにらみ合っている。


桜は駅の中へ戻る。

駅の中は停電で見えないはずなのに良く見える。

「葵~これどこまで行けばよいの?」

「え~とね、一番の地下に、結構大きい電力消費がある」

「停電なのに電気あるの?」

「地下鉄には普通あるよ?」

「そうなんだ、」

桜はとりあえず、下へ向かう階段を見つけ降り続ける。

特に何かあるわけではなく、ただの駅の廊下。

ドン、ドン、ドン

そう、音が鳴る。

そこには壁にぶつかる。

スライムが頭に乗った人。

「ア”ア”ア”ア”」

そいつは、うめき声をあげる

少しすると、そいつは桜のほうに向き、襲い掛かる。

桜は刀を抜き、刀で切りつける。

スライムは、切れはしたがあまり聞いてはいないらしい。

もう一度切りつけてみる。

やはり効果はない。

「葵、どうにかならない?切っても効果ないんだけど?」

「う~ん、やっぱ電力足りてないのかな?」

「どうするの?」

「とりあえず、アーマーのリソースを武器に回してみる」

そう葵が言う。

無線の向こうでキーボードのタイプ音が聞こえてくる。

強いキーを叩く音が聞こえたかと思うと、桜の体を光が包む。

光が消えると、アーマーが物凄く軽装になる代わりに持っていた刀は....あまり変わってないように見える。

「ねぇ、これ大丈夫なの?」

そう桜が言う。

「問題ないよ?見た目は3Dモデルがそれしか無いから変わってないように見えるだけ」

「ならいいけど、」

そう桜は言うと、

スライムに切りかかる。

スパンと真っ二つに切れる。

切れ味は良くなっている。

桜はその勢いのまま前に進む。

地下までは葵がナビゲートしてくれる。

桜は背中のケーブルを引きずり階段を一段一段降り、廊下を曲がりを繰り返す。

道中、先ほどまでとは違いスライムをよく見る。

軽装なので、攻撃が当たると危ない。

桜は体を上手く曲げ、攻撃を交わし、刀をスライムに突き立てる。

これを繰り返していた。

人というのは慣れてくると調子に乗る。

桜は鼻歌交じりにスライムを倒していった。


「そこを左、次右ね?」

葵の指示に従い地下まで付く。

そこにま操作盤や発電機に群がり固まったスライム、それと2メートルくらいになるバグ。

そのバグの穴からスライムが出ている。


気持ち悪い。


桜には目もくれずスライムを生み出しつ図けるバグに桜は刃を突き立てる、その時。

バン

桜は触手のような物に弾かれ、壁まで飛ばされる。

思いっきり当たった。

「ガ、」

桜の背中に激痛。

桜の纏っているギアは低電力。

力が発揮できていないそのためアーマーを具現化している処理を止め、低くなっている攻撃力を上げていた。

もろの衝撃に桜はその場に倒れこむ。

ギアを起動している間、体は通常より頑丈だ、骨は折れていないだろうがヒビは入っただろう。

「桜、大丈夫!!!」

葵が言う

「うん....何とかね」

「いま、イロの処理を止めて、その分の電力をそっちに回すから、絶えて!」

「先にしてよ」

桜は刀を杖にして立ち上がる。

触手が前にある。

長く太い。

その先は大きなバグでは無くスライム。

それも特大の。

「こっちが本命、かな?」

桜が立ったのを確認したスライムは触手を桜めがけて振る。

それをギリギリでよけ桜はカウンターをかけようとしたとき、後ろから別の触手が飛んでくる。

それに気づかなかった桜は攻撃を食らう。

確実に骨が逝ったそう桜は思いつつ、逃げる。

とりあえず階段を上る。

後ろからはスライムが追いかけてくる。

さらに前からスライムに寄生された人も。

寄生された人を刀で切りつけ、道を開ける。

廊下の角に、ドアがある。

そこに飛び込んだ。

トイレだ、ドアを抑え、入ろうとするスライムを阻止する。

こんなことなら戦うなんて考えなければよかった。

でも、葵が心配だった。

近くで守ろうと、でも今はそれどころではない。

一人で死にかけ。

葵を守る以前の問題。

そう考えるとやる気、というよりも自分への怒りがこみ上げる。

「おしまい!」

そう葵の声が聞こえるとまた体が白い光で包まれる。

アーマーが元に戻り、刀も少し鋭くなった気がする。

「電力の接続変えるの遅くなってごめん、完全な状態まではもってこれたよ!」

そう葵が言う。

桜はそれを聞き、ドアをけ破る。

そのまま大きなスライムを斜め75度の角度で切る。

「効いた」

そのまま、刃を上に向くように持ち替えもう一発切る。

それに反応したかのように触手が飛んでくる、それを容易くあしらう桜。

先ほどより体が軽く、視界もクリア、後ろまで見えてる気がする。

桜はスライムをどんどん切りつける。

だがスライムもしぶとい、これだという一発が無い。

「必殺技とかないの?」

そう葵に聞く

「う~ん、あそうだ、さっきと同じでアーマーのリソース刀に回すとかどう?」

「いいね!」

「そっちのたいみんぐで」

そう葵が言う。

桜は後ろに下がり助走をつけ大きく飛ぶ、廊下の屋根は結構高いので大分高く飛べた。

「今!!!!」

そう桜が叫ぶと、アーマーが消え刀だけになった。

落下のエネルギーと刀の強さでスライムは真っ二つ。

そして消滅した。

桜はそのまま地下に戻り大きなバグの前に立つ。

「これ、どうする?」

そう葵に聞く。

「切れば?」

そう葵が言う

桜は思いっきり刀を振りかぶり、真っ二つに両断した。

スライムと違いあっさり倒せた。

パチン、駅の電灯がつく。

「あ!停電が治ってる、え?そいつのせいで町中停電だったの?無茶苦茶」

そう葵がつぶやく。

「ほんとにそうよ、」


少しして、駅に残ったスライムを駆除するために、葵とイロが来た。

「なんか、桜がギアを纏ってるって変な感じ」

「そうですね、彼女が纏うっていうのは変な気分」

そう葵とイロが桜にいう。

「私からしたら葵がバグと戦ってるってのが違和感でしかないは」

「確かに、君は運動無理ですからね」

イロは軽く笑いながら言う

桜、イロにそう言われ葵は少しイラついた


~~~続く~~~

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