第6話.バグ少女との遭遇

寒さの中、桜は外を歩いていた。

結構大きなスマホ会社にイロを弊社のスマホに乗っけたい、と言う話が出てきたのだ、葵はそれについてOK、GOサインを出している、その関係で桜は外にいたのだ。

「もう、春でしょ?なんでこんな寒いのよ」

そう桜はつぶやきながら、駅まで向かう、まだ17歳な桜には免許、と言うものがないのだ、車を運転できないので電車で商談相手のところへ行くなどザラにある。

駅への道、道中にある、静かで暗い横道、そこに、少女がうずくまっていた。

桜は少女に声をかけた。


「で、その結果?家に少女を連れて帰ったと」

そう葵が桜に向かって言う

「何?もしかしてダメだった?」

「イヤ、犯罪になんないかなって?」

「それ言ったらイロもどうなのよ?」

桜は少女を病院に連れて行った後、家に招いた、理由としては、この子の両親、家が分からなかったのだ。

少女は口を開いてくれない、無口なのだ。

比較的お喋り?が多い交流関係な桜は無口な子の対処がわからないのだ。

少女はまだ幼く、おそらく10歳くらいだろう、見た目10歳位の葵と大差ない。

「葵この子の親とか調べられない?」

「私をなんだと、」

桜の問いに葵は質問で返す

「天才ハッカー」

「間違いでは無いですね」

そうイロが言う。

葵は能力値的に、国などの情報に不正アクセスすることは造作もない、だが葵は、法に触れることは余りやりたくないのだ。

葵と桜が少女をどうするかについて悩んでいるととりあえず付けていたテレビにバグの映像が映る、

「お〜〜〜デカいバグがプールで出現した時に倒したとして有名な子じゃ無いですか」

そう少女が言った、テレビに映った映像、バグに反応した、それを知ったのは桜に大きな進歩を与えた。

バグなら葵が語れる、そう桜は思ったのだ。

テレビに映ったバグをよく見る、プールの一件で、葵が倒したバグだった、こんな映像が出回っているのだなとテレビをあまり見ない桜は思いつつ、葵の肩を軽く叩いた。

「何?」

「あの子バグにめっちゃ反応してるじゃない?そう言うの得意でしょ?」

それを聞いた葵は嫌そうな顔をする。

葵はバグが嫌いだ、倒すために、バグについて、調べて回っただけなので、語る、と言う行為をあまりしたく無かった。

「はぁ、変な思想が乗っても知らないよ?」

そう葵は呟くと少女に近づき、話し始めた

「君、バグが好きなの?」

「はい、あの不思議な感じが、」

これまでと打って変わって話す少女

「私もバグには興味あってね、」

「そうなんですか!どう言ったところが!」

目を輝かせて話す少女に、葵は、『この子オタクだ!』そう思った

「うーん、私プログラマーなんだけどそう言うのもあって、バグって言うのが気になって」

葵はそう言う、これは事実だ、葵はバグというものを気になってもいた、たが殺意や嫌悪といった感情で上塗りされてもいる。

「そうなんですね!」

「君、名前は?」

天羽あもうしずです、年齢は11歳です」

バグで壁が薄れた少女は葵に名前と年齢を言った。

「あなたの名前は?」

葵はそう聞かれた

白機しらきあおい15歳だよ」

「え?」

そう雫は驚く。

「同年代かと思いましたが、おねーさんとは」

「ム」

葵は139cmと背が小さい

「身長としては139cmって小学生高学年の子くらいだからね?15歳なら平均身長150後半くらいなはずだから」

桜に葵はそう言われ少し、イラ立ちを覚えた。

「お二人とも仲がいいのですね」

そう雫が言う、おそらく雫は結構心を開いてくれている。

テレビでは丁度葵がバグを倒した、例のシーンがながれていた。

「バグを倒すこの人に一度会ってみたいです」

そう雫は呟いた。

桜が葵がその子だよ!と言おうとしたが、イロが真剣止めた。

「バグを呼べば会えるのでしょうか?」

そう雫が呟く、それを聞いた葵たちは少し固まった。

普通なら冗談、で終わりなのだが少女、雫の声色、表情がガチ、本気なのだ。

雫は立ち上がり玄関へ向かう

「ありがとうございました、楽しかったです」

そういうと、邪気っ気のない満面の笑みをみせ玄関から外へ出た。

葵たちは状況が掴めなかった。


雫、彼女はバグを愛していた。

バグを嫌う親が嫌いで家出をして、一人で生活していた。

雫のバグ好きと言うのは凄まじく、そこらへんにいる研究者より、バグの知識がある、それをブログで公開するレベル。

雫は街中に着くと床に何かの機械を置く。

雫は離れると機械のランプがひかる。

周囲5Mが変化する、重い空気、荒れた土地、コイル鳴きのような甲高い音

汚染区域だ。

ウーーー

サイレン音が街に響き渡る。


「君!」

葵にイロが呼びかける、葵もすぐにサイレンに気づく、葵はすぐさまギアのスイッチをいれ纏った。


少女、雫の親は教育熱心だった、それだけなら良いが、雫の親は度を越していた。

寝る、食事、トイレ以外は全て勉強、一問でも間違えれば、人格否定を始める。

雫は親に逆らえれるほど強くなく、気づくと奴隷になっていた。

そんなある日、雫は目を覚ますと体に違和感を覚えた。

姿見の前に立つ、ぱっと見、特変な部分は無い。

試しに着ている服をまくり上げる、雫は言葉を失った。

丁度、心臓の位置から膀胱の位置くらいまでに、大きな、怪物の口のような、大きい傷口のような、そんな形になっていた。

グロテスク。

その言葉が頭に浮かぶ、雫は腹の奥底から何かが込み上げる、その込み上げたものを飲み込み、深呼吸をする。

もう一度、服をめくり上げるが、やはり大きくグロテスクな口?がある

触ってみると痛みはなく、普通にお腹を触られた感覚。

状況が飲み込めない、雫は親に言うか悩んだが、また文句を言われそうなのでやめた。

お腹の事を隠しているのも慣れた頃、雫は親から、テストを渡される。

内容は大学数学レベル、どんなに勉強していてもこの時まだ9歳の雫には難しすぎる内容だ。

そんなものが解けるはずもなく、ほとんど赤いペケだらけ、唯一合っている問題もほとんど当てずっぽう。

雫の親は激怒し起こり出す。

人格否定から入り、暴言、挙句の果てに暴力を振るう。

顔にまともなのを食らった、雫は床に倒れ込む。

目の前に薄い機械?がある事に雫は気づいた。

雫はそれに手を置く、すると周りが荒れた土地となり、重い空気、コイル鳴きの様な甲高い音が周りを包む、汚染区域だ。

雫の親はギリギリ範囲外、だが汚染区域の恐ろしいところは、人が入ると死ぬ、だけではない、バグの存在だ。

三体のバグが発生する。

そのバグは、まるで雫の親への恨みを、暴言や暴力の借りを開始に行くかのように、親へ近づく、後ろへ親は逃げようとする、だが行手をバグの一体が塞ぐ。

バグが触手のようなもので、親を叩く。

ギアを纏っていれば別だが、バグの攻撃は一発で高層ビルを破壊する威力がある。

そんなものを生身で食らった親は肉塊、とてもグロい姿となった。

雫はそれを見て理解した。

「私は、バグになったのかも」

と。


葵はビルとビルの間を潜り抜け、汚染区域へと向かう。

汚染区域に着くとそこには大量のバグ、恐らく八十体近くいる。

その中心には一人の少女『雫』がいた。

雫はバグの触手を体に絡めている。

見る人が見たら興奮する状況だ。

とりあえず葵は腰のホルスターから、モーゼルc96に似た銃を取り出す、とりあえず一発をバグに当てる。

だが、あまり効いている感じではない。

「おかしい」

そう葵が呟く

「どうしました?」

「バグが余りにも硬すぎる、こいつの弾俗に言う徹甲弾だよ?」

何発も当てるがバグには効果がない。

それをみたイロは大斧を振りかぶり、バグを切り掛かる。

だが切れない。

イロは大斧に付いているスラスターを点火し、もう一度バグを切る。

やっと切れた。

「一体!!」

イロはそう呟いたと思うと、どんどんバグを切っていく。

葵はどこからかM1ガーランドに似た銃を取り出す。

その木目調の見た目とは裏腹に大量のケーブルが付いている。

葵は何かボタンを押す。

キィイーン、という甲高いチャージ音がなる。

その音が止むと、葵は引き金を引く。

出てきた玉はバグに当たる。

そのバグは倒れ、チリになる。

「これなら行けるのか」

葵の使った武器は俗に言う、レールガンだ。

葵はビルの上からバグを倒している。

大体二十体を葵が倒した頃、雫がバグに乗ってこちらへ来た。

触手を退かし、葵に近づく。

「あなたがバグ倒しの少女」

そう雫が葵に言う。

「その名前、嫌いだな、プランカルキュールって呼んで欲しいかな」

葵はそういう、ギアを纏うとイロも、葵も顔が変わる、雫は葵に会った事があるが気づいていないのはそのためだ。

葵は正体がバレると面倒、そう思い、ギアの名前を言った。

「それじゃぁ、プランカルキュール、どうして貴方は、バグを倒す?」

「嫌いだから」

「どうして?」

雫の喋り方は静かに淡々と、と言う感じだが、葵に向けての殺意?があった。

「私は腐ってもプログラマーでね、バグって言うのを減らしたいから、かな?」

「ふーん、なら死んで」

そう雫は言うと、手を前に突き出す、するとその場にいたバグ全てがこちらに飛んでくる。

どんなにギアを纏っていようとこの量に攻撃されればひとたまりも無い。

「イロ!アレやるからね!」

そう葵が叫ぶ。

イロが返事をする間も無く、葵は行動を起こした。

ギアの底部、にある、ツマミに爪を引っ掛け開ける、そこにはSDカードの用なものが刺さっいて、その横に赤いボタンがある。

葵はそのボタンに指を置き、こう叫んだ

「オーバークロック!!」

そう言うとボタンを押す。

葵の背中にある、排気口?のような部分から、白くて熱い煙が出る。

葵は地面を思いっきり蹴り、加速そのまま、バグに向かって拳を振りかざす。

拳は素早く、次々にやられていく。

雫はその光景を見て、少し後退りをした。

気づくと周りのバグは消え、葵andイロVS雫の形になっていた。

葵は雫に近づき、質問をする。

「どうやってバグを操っているの?」

雫は少しの沈黙の後こう言う

「私もバグだから、」

葵は意味がわからなかった、バグは汚染区域から出てくる、この世のものではない見た目の物だ。

だが雫は幼い子供の見た目。

「どう言うことですか?」

そうイロが質問した。

雫は黙ったまま、来ていた服を捲る。

胴にある大きな口、それを見て葵イロは理解した。

普通こうゆう時は相手を気遣うべきなのだろう。

だが葵は違う。

相手がバグだと確信した葵は雫に殴りかかる。

その時だった。

ドン

目の前に音を立てて壁が現れた。

その壁は床から出てきた、と言うよりも、どこかの壁を切り取り、そこに貼り付けた形に見えた。

「ちょっと、その子を殺されると迷惑だね」

そう男の声が聞こえた。

声の方を見ると、黒いクリップボードを持った男性がいた。

「バイナリ!」

そう雫が言う。

バイナリ、簡単に言えばコンピューターが理解できる、2進数の情報のことだ。

男はクリップボードに触れ指を軽く動かす。

すると、葵は後方に吹っ飛ばされた。

「なるほど」

葵がそう言う。

イロが駆け寄り手を貸して、葵を起き上がらせた後、質問する

「なにがですか?」

「あいつはバイナリエディタいや、バグ技を使ったんだよ」

「と言いますと?」

「ポ◯モンの古いやつとかで、よく合った奴。特定の行動をして、通常じゃできないことする的な奴。」

「大雑把ですが、理解はできます、ケツワープとかですよね?」

「そうそう」

そう葵は説明すると、男がこう言った

「よく理解できた、だが貴様は勝てるのか?」

「どう言うことですか?」

そうイロが言う

「貴様らの使うコネクトギアとやらはこの世界のコードを書き換えが出来る。だからそのような、AIソフトを人の形としてこの世界に現す事ができる」

『私の作ったギアについて知っている?』

そう葵は考えた。

「だができたのは、ここ数ヶ月確かにバグを倒したり出来る、だが貴方たちは癖をまだ理解できていない」

「癖?」

「そう癖だ、レスポンスとかそう言うちょっとした癖、私は違う、バグ技の有りとあらゆる癖を知っている」

「はぁ、そんなことか」

そう葵が言う。

「その程度?だと」

葵はニヤけこう言う

「バグ技を消すことなんて容易いんだよ?このコネクトギアは」

「ハッタリだな、確かに可能かもしれない、だが貴様はさっきの吹っ飛んだ原因すら、理解できてないのだろう。」

「チッ」

そう葵は舌打ちをする。

確かに、理解出来ていない、起こす方法が分かれば葵は治す事が可能だが、その方法が分かっていないので直せない。

「逃げるか?」

そう葵はイロに耳打ちする

「ですね、でもどうやって?」

「私がDecompression bombデータ展開爆弾投げるから、その隙に」

「あれ、紙ですよね、中身」

「小麦粉入れてある」

葵は爆弾をバイナリに投げる。

バイナリはいきなりの事で対処ができなかったようで、周りが真っ白になった。

その隙に、葵、イロは逃げる。


家に着き

葵はギアを外す。

負担の大きいオーバークロックを長時間使用した葵の体は物凄く熱くなっている。高熱だ。

イロはベットの上に葵を寝かせる。

「何があったの?」

そう桜がイロに質問する

「雫はバグだった」

「どう言うこと?」

「簡単に言えば、バグった少女」

「バグって人にも起きるの?」

「私も初めて知りました」

イロは桜に事の顛末を話す。

桜はそれを聞くとイロにこう言った。

「私も戦うは」

〜〜〜続く〜〜〜


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る