第5話.戦う理由ってなんだろう?
少し寒さの和らいだ某日、プールの一件で葵、イロのギアを纏った姿がテレビで大々的に放映され、一躍注目の的である。
その頃、花峰家では重い空気が広がっていた。
ダイニングの椅子には、桜、葵が肩を並べて座り、その正面に顔合わせで染鞠が座っている。
するとキッチンの方からイロが何かを持って歩いてきた。
その物を机に置く。
置いたものはハンバーグだった。
染鞠はそのハンバーグを半分に切る。
中からは大量の肉汁がこぼれる。
染鞠はハンバーグを一口大にし口に入れる。
ハンバーグを下の上で軽く転がしそして噛む。
すると肉汁が口の中で広がる。
「美味しい」
その言葉を聞き、葵、桜、イロは肩の力が抜け、フーと息を吐いた。
最近イロに料理アシスト機能を付けたのでそれのテストのために料理屋をしている染鞠に腕を見てもらっていたのだ。
イロは自分の分と、葵桜の分を持ってきて晩御飯の始まりを宣言した。
「そう言えば人ってどんな味なんだろうね?」
そうイロが言う。
「ご飯中だよ?」
そうさくらが
「まぁ良いんじゃない?桜も染鞠もあんまそうゆうの気にする人じゃないじゃん?」
葵が言う
「それじゃぁどう思いますか?」
そうイロが問い、みんなは少し考え込む。
「まぁ、アンモニア臭そうではあるかな?」
そう葵が言う
「どうして?」
「いや、肉食のライオンとかってアンモニア臭くて食えたもんじゃないって聞いたことあるもん。」
「カニバリズムはあんま好きではないけど味って言われると気になるねぇ、」
そう染鞠が言う、
「料理人として?」
「う〜んどちらかというと、好奇心かな」
「そういうイロはどう思ってるの?」
そう葵がイロに聞く
「私は…鉄の味がするかと」
「なんで生前提なのよ」
そう桜が突っ込んだ。
ネットやテレビは今バグを倒す少女たちの話題で持ちきりだ。
これまでバグというのは、自衛隊などが武力でゴリ押して一体倒す、それが常識だったので話題になるのも頷ける。
3D CG説や、集団幻覚説。いろんな説が飛び交うが唯一共通して言われる事がある。
マシンスーツ的なの纏ってる子、低身長じゃね?
と言うもの、葵のことである。
葵はこのことをまだ、知らない。
葵は街中を歩いていた。
隣にはイロ、特に目的は無くデスク作業に疲れた葵が散歩をしたいと言ったためである。
ここ数年のITや電子機器関連の技術進歩は凄まじく、俗に言うホログラム的なのも最近発表された。実用化されてないけど。
街を歩けば、電子機器の宣伝。
コンクリ打ちのビルが多く、パイプも丸出し。
電気コードの束が露出している。
東京の街外れの住宅街はコンクリの鼠色一色で
でも、広告の日本は華やか不思議な気分になる。
鼠色に白い雪が水玉模様のアクセントを作る。
『こう言うのも幻想的って言うのかな?』などとか考えながら葵は住宅街の小道を歩く。
その静けさに耐えかねたイロは葵に一つ質問をした。
「どうして君は戦うんですか?」
「え?」
葵はイロの顔を見上げたままその場に立ち止まる。
それを見たイロは慌てて言葉を付け足し始めた
「コネクトギアって決して暇だからと言う理由で作れるものではありませんし、バグとの戦いというのも、決して安全な遊戯ではありません、なのに?と思いまして」
それを聞き、葵はただ一言こういった
「嫌いだから」
「と言いますと?」
「昔からバグというのに、こう漠然とした殺意?みたいなのがあたんだ、」
「はぁ、貴方らしさ全開ですね」
「私らしいかな?」
「気分で動く感じが、頭いいのに、論理的じゃない感じが」
「イロくんって私の見る目結構厳しめだよね」
「そうですか?」
「うん」
イロと葵は雪の中を歩いて帰った。
〜〜〜続く〜〜〜
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます