第2話
私が止めようとしたその相手は、どうやら一織ちゃんの友人だったようだ。二人とも随分と楽しそうに話している。一織ちゃんの顔は、滅多に見れない程に輝いていた。もしかしてあれか?これが「親友」とかいうやつか?
そんなことを考えていると、一人の男性がそばに寄ってきた。
一輝「いいですねぇ、あの二人。いかにも青春してるーって感じで」
響「はあ。………ところで誰ですかあなた」
一輝「あ、いきなりすみません。僕は計 一輝(はかり かずき)といいます。星座山のバイトに来ました。あなたもですか?」
響「はい、私は日野 響です。よろしくお願いします」
他愛もない会話だ。所詮バイト同士の関係でしかないということだろうか。そこへ、一織ちゃんと友人が来た。
一織「響さん、紹介しますね。私のクラスメイトの愛香です」
愛香「はっ、初めまして!一織の同級生の、宍戸 愛香(ししど あいか)です!」
愛香という名前は聞き覚えがあった。きっと、一織ちゃんの話によく出てくる子なのだろう。しかし、一織ちゃんが活力に溢れた性格なのに対して、彼女は大人しい感じの印象を受ける。さっきからやたらとオドオドしているし。
そこからは、四人とも軽い自己紹介を済ませて、もうしばらく喋っていた。そして時間になったころに、こちらへ一人の女性が来た。
奈緒子「あら、皆さん既に集まっていたのですね。着いてきてください」
彼女はそう言って、私たちを会社のビルへと案内した。この人こそ、今回のツアーの代表者だ。
私たちは、ビルの会議室に案内された。そして、資料を渡し終えると、彼女は軽い自己紹介を始めた。
奈緒子「この度はお集まりいただき、誠にありがとうございます。私は、このツアーの責任者である、早乙女 奈緒子(さおとめ なおこ)といいます。」
なんというか、エリート感がすごい。なるべくしてなったような人だ。そのまま、彼女へと自己紹介をして、割と早いうちに仕事内容の説明を始めた。
奈緒子「今回のツアーにおいて、皆さんには大まかに二つのことをしていただきます。
一つは、ツアーの道具の準備や食事の用意、コテージの掃除などの雑用です。もう一つは、今回のツアーに関しての感想を教えることです。皆さんはアルバイトでもありますが、同時にツアーの参加者でもあります。
今回のツアーに参加した方の意見をもとに改善したものを、ツアーの完成形として提供するので、よろしくお願いします」
そう、私たちはツアーの参加者でもあるのだ。仕事も頑張りつつ、ツアーを楽しみたい。そう思った辺りで、一つ気になったことが出てきた。
響「私たちのコテージってどうなってるんですか?」
奈緒子「そのことについてはお気になさらず。星座山には食事等を行うメインコテージと、十二星座をモチーフにした宿泊用のコテージがありますが、皆さんには、十二星座をモチーフにしたコテージの方に泊まっていただきます。もちろん私も。
どのコテージになるかは当日教えます。あっ、そのことで一つ。間違えてもコテージの内装をいじらないでください。いくつか危険なものもあるので」
内容は何となくわかったが…早乙女さん、話長くないか?話している内容は重要だが、それにしても長くないか?本当にバイトをやっていけるか、とても不安だ。
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