断罪の探偵 2 星座山殺人事件
柊 睡蓮
第1話
【登場人物】
日野 響
前回と同じく主人公。バイトをしに星座山を訪れる。カプリコーン。
月影 一織
前回と同じく主人公補佐。響同様バイトをしに星座山を訪れる。ジェミニ。
早乙女 奈緒子(さおとめ なおこ)
星座山先行体験ツアーの責任者。ヴァルゴ。
蟹江 正治(かにえ まさはる)
医者。キャンサー。
水田 花(みずた はな)
大手文房具メーカーの社長。アクエリアス。
魚川 航平(うおかわ こうへい)
漁師。ピスケス。
牛飼 沙英(うしかい さえ)
占い師。タウラス。
弓木 智恵(ゆみき ちえ)
画家。サジタリアス。
蠍火 冬二(さそりび とうじ)
舞台監督。スコーピオン。
日辻 慶太郎(ひつじ けいたろう)
プログラマー。アリエス。
宍戸 愛香(ししど あいか)
一織の友人。バイト。レオ。
計 一輝(はかり かずき)
バイト。ライブラ。
【本文】
私、日野 響はあることに悩んでいた。仕事がないのだ。いくら探偵といっても、あくまでも私は居候の身。事務所にくる仕事は、基本的に私にまわってこない。
そのため、私は短期のバイトをよくしている。問題は、今みたいにバイトすら見つからないときだ。
そもそも、短期であることにこだわらなくてもいいと思う人もいるだろう。それはそうなのだが、いつ探偵としての仕事がくるか分からない関係で、迂闊に普通のバイトができないのだ。
私たちの事務所、月影探偵事務所は、一織ちゃんが高校生であるため、従業員は実質三人である。大抵の場合、そのうち二人、一織ちゃんの両親は基本的にどちらかは事務所にいないため、私が事務所にいないといけない。だから、短期の方が都合がいいのだ。
探偵としての仕事がなく、バイトもない。居候である以上、とても良くない状況だ。なんとしてでも仕事を見つけないといけない。
まぁ、言ってしまえば金が欲しいのだ。しょうがないよね。
そんなわけで、調べていたところ、ある物が目についた。
サイト「星座山先行体験ツアー。ワタリドリ観光が新たに用意した、新しい旅。あなたのアイデアで、次回がより楽しく!」
私はそれについて、詳しく調べた。どうやら、このツアーの作業を手伝う人を募集しているようだ。
待遇はかなり良く、事前にツアー参加費を払う必要があるが、給料もしっかり出て、食事や寝床も確保される。参加費も十分払える額だったため、私は参加することにした。
タイミングも学校の長期休みに被っていたため、一織ちゃんにどうするか尋ねてみた。一織ちゃんは、目を輝かせながら「行きます!」とハッキリ答えた。
その一週間後、ワタリドリ観光の方からバイトの人達を集めて対面式を行うと言われたため、私たちはワタリドリ観光本社へ向かった。
ワタリドリ観光は、私たちの世界における有数の大手観光会社だ。そんなところの本社であるため、とても大きい。今回の体験ツアーも、期待が高まる。
そんな期待を持ちつつ、私はツアーの詳細を確認した。簡単にまとめると、二泊三日の天体観測ツアーだ。星座山先行体験ツアーという名前の通り、とても夜空が美しく見えるらしい。また、それぞれの泊まるコテージは、十二星座から名前をとっていて、それぞれの名前に合うように中が作られているそうだ。
何とも手が込んだことをしている。大手の企業ともなれば、このぐらいできてしまうのだろう。
本社に着いたのは、集合時間の二十分前だった。早すぎるが、遅刻するよりはいいだろう。
その十分後、一人の女性がこちらへ歩いてきた。その女性を見た途端に、一織ちゃんが驚いた様子で近づいて行った。あまりにも唐突だったため、急いで止めようとしたが、すぐに話しかけた。そして、そんなことをする必要がないと分かった。
一織「えっ!?もしかして愛香!?」
愛香「誰…って一織!?」
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