第9話 忘れられないひと

忘れられないひとが、いる


いつの間にか

あたしの心の奥に棲みついたひと



きみは

あたしの中に

そっと

恋の花を咲かせて


そっと

去っていった



もう手の届かないひとなのに

時々

波のように

風のように

あの恋心は

あたしを揺さぶる





きみのことを


忘れてしまいたいと思うことがある


忘れたくなどないと思うこともある


そんな

忘れられない、ひとがいる


ずっと

ずっと

あたしの心の奥に棲みついた

忘れられない、ひとがいる





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