9月3日 記録
恐ろしい夏だった。都会の夏はひどく暑かった。耐えかねて部屋の冷房を付け続けたり、買い出しのたびにペットボトルのジュースとアイスをたしなんだり、思い切って東北まで逃げてみたり。そんなこんなをしていたらお金が全く無くなってしまった。ご飯を食べる金もなければ来月分の家賃もない。自業自得としか言いようがない。しかしながら、そんな状態になってもタダでは諦めないのが私である。弊学には短期貸付の制度というものがあるのだ。「生活の困窮」という至極まっとうな理由を記載し、9月1日昼頃、9000円を借り入れ。9月2日晩、お金と貴重品、そしてスケッチブックだけをいつも持ち歩いているリュックに詰め込み、夜行バスに乗り込む。郷里を目指すのだ。夜行バスを降りてからは、1時間に一本しか来ないバスやら、鍵の掛かっていなかった自転車やらを利用し無事実家に到着。先ほど金の無心を済ませたところだ。しばらく何の連絡もよこさなかった事や金銭管理能力のひくさなどを叱られつつも、なんだかんだでお金を融通してもらう事ができ、母の料理も食べさせてもらえた。明日は散歩にでも行こう。
夜は少しだけ雨が降った。あの日のことがやはり脳裏をよぎる。六年生の九月の下旬。嵐の夜だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます