最初に挑む者
はるむら さき
最初に挑む者
大昔。空と海には境目がなかった。
それは「あお」と呼ばれていた。
「あお」に住む鳥たちは、上を下を、縦横無尽に、てくてく、どたどたと移動していた。
そんなことだから、彼らはしょっちゅう、あちらでこちらで、ぶつかりあって、日課みたいに、たんこぶを作っていた。
ある日、一匹の鳥が言った。
「〈あお〉を上と下の二つに分けて、それぞれに道を作ろう。そうすれば、このたんこぶも減るかもしれない」
みんな、それに賛成して、すっぱり真ん中辺りで線を引いた。
そうして「あお」の上を「空」、下を「海」と呼ぶようにした。
多くの鳥たちは「上の方が遮るものがなくて良い」と、空に住むことを決めた。
だがその時「全員が上に移動しては意味がない。ぼくは、下に住もう」と言って、勢いよく海に飛び込んだものがいた。
もちろんその鳥の名は、ペンギンだ。
最初に挑む者 はるむら さき @haru61a39
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます