廃業寸前…!?

「は?」

色んな感情がぶつかりあって出てきた言葉だ。

「…まぁ、そうなりますよね…。」

眼の前にある紅茶に口をつけて言う。

「あ、あちっ…コホン…。」

咳払いをして言葉を紡ぐ。

「人を呼ぶためには仕事をして成果を上げるのが一番!!」

「は、はぁ…。」

「だけど…」

下を向いて少し控えめな声で言う。

「仕事がないんですよねぇ…このままだと廃業です…。」

ショーテルにとっては初めての仕事だ。違う仕事を探そうとしてもスキルのせいですべてパスされるだろう。

「廃業はちょっと…。っていうかさっきから思っていたんですけど…」

「ん?なんですか?」

「あなたの名前は…?」

「あっ…」


彼女の名前は「パーレ」

「粒子化」の使い手で一回だけ王都に呼ばれたらしい。だけどそれを固く断り今に至るらしい。もったいない。王都に呼ばれることなどほとんど無いのに。

そう思いながら廃業にならないための具体策を考えていた。

「あ。」

俺は気づいた。

「俺のスキルの機能知ってます?」

「え?えっと…採掘速度を早くする…って聞いたことありますけど…?」

やはりパーレも勘違いをしている。

「いえ、それが違うんですよ〜!」

ドヤ顔で続ける。ウザい…おっと失礼。

「『採掘師』は『採掘速度を上げる』じゃなくて、『洞窟の中に居るととんでもなく身体能力が上がる』っていうやつで…」


パーレはすかさず言う。

「え!?いや…実際にスキル『採掘師』の人にスキル機能聞きましたよ…?そしたら『採掘速度を早くするスキルだ。』と。」

ん?雲行きが怪しくなってきたぞ。ショーテルの頭が悲鳴を上げ始める。

今日は考えすぎだ。

それを見据えたのかパーレは

「すみません…長居してしまい…。問題は山積みですけど…今日はこのくらいで。」


いつの間にか外は暗くなっていた。

「い、いえ…お気になさらず。」

「またそれでは。」

そう言うと消えていった。

…俺のスキルは「採掘師」のはずだ。

パーレさんが聞いた人は自分のスキルを間違っている…?

わからない!!もういい!寝る!

ショーテルはベッドにダイブして気持ちを落ち着かせる。

数分後、小さな人影は気持ちよさそうな寝息を立てて夢の中へと飛び込んだ。

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