壁を越えて⑨

最後の1発まで撃ち切った。もうボクには攻撃の手段はひとつも残って無い。これでドラゴンを倒せていなければ、後は全速力で逃げるだけだ。


徐々に噴煙が薄くなって行く。そこに倒れているドラゴンの姿を期待していたけど、残念ながらドラゴンはまだ立っていた。


マジか……。


ジリジリを後ずさりした。やばいかも……。


とは言え、ドラゴンも動かない。


ど、どうなの?これ……?


ほんの少しだけドラゴンが頭を上げたかと思うと、一気に両膝から崩れ落ち、顔から地面に突っ伏した。

巨体の割に思ったよりも静かに倒れ、そのまま動かなくなった。


これは……!やったんじゃね!?


さすがに走り寄る勇気は無いからすぐにドローンを向かわせる。

ドローンから送られて来たデータの全てはドラゴンの活動停止を証明するものだった。


てことは……。


ボクはヘナヘナとその場におしりから座り込んだ。


やったぜ……!


そうだ!ゆっくりしてる場合じゃない!急いでゲノムを回収しなきゃ!


ボクは跳ね上がる様に立ち上がり、動かなくなったドラゴンに駆け寄った。


ドローンで活動停止を確認してすぐ、ボクはドラゴンに向かって駆け出した。


さすがにもう動かないと分かってても、いざ近くまで来るとちょっとビビる。

5メートルぐらい手前から、ゆっくりと忍び足で近寄る。


めちゃくちゃ近くまで来たけど……もちろん大丈夫だよね……?


右足の先でチョンチョンっとつついてみる。


もちろんなんの変化も無い。いや、当たり前だって。


いよおおおおーーーし!!!


なんとなく心の中で雄叫びをあげた。


よし!じゃさっさとゲノムの回収だ!


ゲノムのある場所はなんとなく想像が出来た。大抵の場合は体の中心部分にある。

これだけ大型のアライフは見た事が無かったし、データで見た事も無かったからちょっと不安だったけど、思った通りすんなり見つかった。


にしてもだよ……この量だわ……。


さすがにあれだけ苦労したご褒美とは言え、このゲノムの量には驚かされた。

ドローンのタンクもいつものやつをさらに5個、追加で積んできてたけど、おそらく積みきれないな、これ。

でもまぁ、ほとんど詰めそうだから残りはこの辺のアライフにお裾分けだな。後これからネストに帰るまで丸腰って訳にも行かないんだから、かなり心もとないけどハンドガンの弾丸だけはここでジェネレートして行こう。

そして何よりの収穫は、このゲノムを持ち帰る事でまたNサーバーの階層が上がるって事だ。検索出来る範囲も増える事間違いなし。


いやもう!考えただけで笑いが止まらないですよ!


ドラゴンの外殻はかなり破壊してた事もあって、ゲノムの回収はかなりすんなり、短時間で終えられた。

ドローンのタンクはパンパン。ハンドガンの準備もOK。


さて!急いでネストに戻ろう!ネストで色々整理したら、その後は念願のショッピングモール探索だ!イェー!!!

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