壁を越えて⑤
また大きく咆哮。空気が震える。
でもそんなのにビビってる場合じゃない。むしろこれは大きな隙だろう。
キッとドラゴンが正面に立ったボクを見た。そしてボクを敵と認識したのだろう。今度は真っ直ぐボクに向かって咆哮をした。
そんなんじゃ怯まないよ!喰らえ!
再装填したランチャーを打ち込んでやる。初弾は叫んだ口のやや右に着弾。上手いこと行ったな!残りもがむしゃらに打ち込む。
狙ったのが頭部だったためか、6発中3発ヒット。初弾が爆発するよりも早くドラゴンがこちらに向かって走ってきた。しかし3歩目を踏むよりも一瞬早く初弾が爆発。残り2発も誘爆した。
やはり何が起こっているかは理解してなさそう。驚きの余り後ろに仰け反り左側に少し体制を崩した。
いいぞ!行ける!行ける!
ドラゴンは体制を崩した後、すぐに左脚を踏ん張り勢いよく地面を蹴った。
驚くほどのスピードで接近されてかなり焦ったけど、慌てずに反転して猛ダッシュ。
ランチャーの弾ももう無い。ひとつめのポイントでの成果としては十分すぎるだろ。これはもう急いで次のポイントまで誘導だ。
いつものライフルより重いランチャーを担いでるだけあって思ったように速度が上がらない。それでも全力で走っても下半身のパーツに過剰な負荷がかかる程では無いみたいだ。
何度か振り返りドラゴンとの距離を確認しつつも全力疾走。
いやいや……ちょっとずつ距離が縮まってんじゃん……。
それでも今はとにかく走るしかない。あまり離し過ぎないようにしながら移動しなきゃ、なんて思ってたけどその心配は全く無かったな。
距離は確実に縮まってるけど、ドラゴンは何も仕掛けて来ない。おそらくこのまま追いつけると思っているんだろう。追いついてから爪で拘束し、ゆっくり食べる気なんだろな。だから遠距離攻撃も仕掛けて来ない。丁度いいぞ。
そうこうしてる内に次のポイントが近づいた事をドローンが知らせてくれた。
設置した罠の場所も目視で確認出来る所まで来た。
最後にもう一度振り返る。大丈夫だ、まだ十分に距離はある。このまま罠まで一緒に走り込むだけだ。
チラリと後ろを振り返る。うお、結構距離が縮まってるじゃないか。
でも次のポイントまであと約30メートル。ビルの瓦礫の間、ドラゴンが走り抜けるスペースがギリギリあるぐらい。このスペースなら後は罠の発動のタイミングだけ気をつければほぼ間違い無く罠にかけられる。
先を走るボクが今まさに罠の上を走り抜けた。走りながら可能な限り罠を確認。なんの問題も無さそうだ。ボクが設置した時のまま変わらずあるようだ。
設置場所を抜けチラリと後ろを確認。もう少しで来るな。
あまり離れすぎない所で止まりドラゴンに向き直る。それについてドラゴンは何の疑問も持たなかったようで、速度を変えず突進してくる。
よし……よし……後もう少し……。
今だっ!
ボクはこめかみに指を当て、遠隔操作で罠を発動。今度の罠は地面や周りのビルの瓦礫、四方八方からアンカーの付いたワイヤーを射出するタイプ。しばらくこの位置にドラゴンを固定するための罠。思惑通りドラゴンはワイヤーに絡め取られジタバタするばかりだ。
よしっ!いいな!やったぜ!
続いては設置型のランチャーだ!
遠隔操作で次なる罠を発動。それは地面とほぼ水平に、ドラゴンに向かって設置型のランチャーの一斉射撃。先程の罠と同じように爆音と爆煙を吹き上げながらドラゴンの足を攻撃した。
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