発見④
特に何事も無く進めたのであっという間に目的の場所に到着した。
建造物の前は広いスペースが広がっている。綺麗に舗装された平らな地面にかろうじて白線で区切られた跡が見える。やっぱり駐車場だ。
その向こうに建造物見える。建造物までは約300メートルと言ったところか。スコープの倍率を上げて建造物を観察する。すると外壁にアルファベットが並んでいるのが確認出来た。おそらくその半分近くが剥がれ落ちているようだがいくつかの文字が読み取れた。
これは……。
残されている文字列を、足りない部分を想像力で補いながら読み進める。
もしかして……。
頭の中の記憶をフル回転。
いや……!間違いない!これは!ショッピングモールってやつじゃあ無いですかぁ!
まじかよ!やったぁ!ぃやったぁー!
すげぇテンションあーがるぅー!!!
そう!ショッピングモール!それはたくさんの食べ物や寝具、その他いろいろ取り揃えた施設!
まだ動力が生きているエリアがあれば、ほぼ完全な状態で保存されてるかも!
美味しい食べ物!
ふかふかの布団!
いぇー!!!
逸る気持ちをを抑えきれず駐車場に飛び出した。
生まれて初めてだ!こんな大きな施設に入るのは!しかも外観はそれほど崩壊が進んでいる様には見えない!これはかなり期待出来そう!おおおーーー!!!
小走りに建造物に向かいながら改めて外観をくまなく観察する。壁面はまだしっかりしており、窓も窓ガラスすら健在だ。後は内部の動力と管理システムが機能しているかどうかだな!
夢中になって色々妄想を膨らましていたその時、頭上を大きな影が通り過ぎた。影が過ぎ去った直後に後方から激しい気流がボクを前方に巻き込んでいく。
たまらず地面に放り出されゴロゴロ転がる。
な、なんだ!?
前方へ過ぎ去った影を目で追うと、そこにはまさに地面に降り立とうとしている大型のアライフがいた。しかもそこはショッピングモールの目の前じゃあぁ~ん……。
大型のアライフはまだボクには気がついていない様だ。悠然と大きな翼を羽ばたかせ、地面の砂埃を巻き上げながら静かに降り立った。おそらくはゲノムを流用した力で揚力を得ているはずだ。羽ばたく必要あるか?
その姿は昔何度か見た絵本やゲームに出てくるドラゴンと言うモンスターそのものだ。太く逞しい両後足。両前足は無く腕にあたる部位は翼になっており、翼の中間部分に小さな鉤爪が付いている。肩から伸びる首も太く、その先にやや小顔な感じの頭が付いている。ここからでは確認出来ないが、間違いなく口には鋭い牙が付いているんだろう。これは間違いなく口から火を吹くな。
そのドラゴンの様なアライフは少し周りに目をやるとすぐにその場に丸く伏せ、そのまま目を閉じた。
寝てるな、これは。こんな時間から。
これは間違いなく余裕の表れだ。こんな周囲に身を隠す物も無く、どこからでも容易に接近できる場所で眠るなど、普通なら自殺行為だ。
それだけこの周りにはコイツに敵う相手は居なかったのだろう。
それはいいんだが、問題は寝てる場所だよ。そこに居たらその先のショッピングモールに行けないじゃないか……。
駐車場は広い。ドラゴンから出来るだけ離れた所からショッピングモールに侵入するって手もあると思うけど、さっきも言った通り、周囲には身を隠す物なんて何も無い。いや、これは確実見つかるでしょ。もし見つかったとして、このだだっ広い駐車場であのドラゴンから逃げ切れるだろうか?いや無理だって。
てかコイツ、毎回ここで寝んのかな?諦めるのはその辺りを調べてからでも遅くないぞ。
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