発見③

日が落ちてだいぶ暗くなって来たけど、新しくしたスコープのパーツのお陰で周囲は確認出来た。これならどこかに身を潜めて朝が来るのを待つ必要も無いな。このまま進もう。


今までこんなに長い時間、夜の外を探索した事は無かったな。思ったよりもアライフ達の動きは鈍いように感じられる。と思ったけど、それは今まで見てきたアライフ達の話らしい。昼間には見る事が無かったアライフが何種類も活動している。


夜行性って言うんだっけ?


アライフも大半は昼間活動し、夜に寝る。当然その寝込みを襲うアライフもいて、そのお陰で生存競争に勝ち残る事が出来ているからたくさんの種類の夜行性アライフが存在する訳だ。


夜行性のアライフは昼間見るアライフよりも若干大人しい印象だな。どちらかと言うと、静かに忍び寄る感じ。忍び寄るで表現あってるよね?

でも良く観察していると、獲物に飛びかかる時は物凄く俊敏。あっという間に息の根を止める。あの勢いで来られたらちょっとヤバいかも。


って事で、獲物を探している最中で、出来るだけ1匹で行動してるやつを探してハント。これが意外にあっさり倒せた。夜行性のアライフは自分が急に襲われる事には慣れていないみたいだ。


楽勝~♪


これは新しい種類のゲノムがだいぶ増えそうだ。新しい物がジェネレート出来そうだなー!帰ってジェネレーターに入れるのが楽しみになってきた。


夢中でハントしてたみたいだ。夜だけにね。気がついたら空が明るくなって来てる。


けっこうたくさんの種類のゲノムが手に入ったなー。Nサーバーの階層アップにはたくさんの種類が必要で、数は必要じゃない。どのゲノムも少量は必ず残してある。それ以外は保管出来なくなるから弾丸にジェネレートした。なのでジャラジャラたくさんの弾丸を持ち歩く事になった。


一晩の初めての夜間ハント。強敵に出くわさなかったのもあるけど、かなり余裕だったな。でも昼間と同じと言う訳には行かないようだ。新しいスコープは暗闇でもある程度見える。でもやっぱり見え方が違って感覚も違う。これは夜間のハントにも慣れていかないとだな。


さて、朝が来るまで少しの間休憩と確認だ。GPSとドローンで現在地の確認。あれ?思ったよりも距離は進んで無かったんだな。


瓦礫の上に腰掛けて少し頭の中を整理してみる。コンバートしてる時は、本体はほぼ仮死状態だから肉体的な疲労は無い。でも頭は全開フル回転。だから今感じてる疲労感はおそらく精神的なものなんだと思う。例えコンバートし続けていたとしても、半永久的に活動出来る訳じゃ無いんだな。やっぱりちゃんと休息は必要になってくるんだ。


気がつくともう20時間近くSAで活動しっ放しだ。新しいゲノムもたくさん集まったし、一旦ネストに戻ってもいいかな?昼間の移動になるけど、これまで移動して来たルートで戻るなら、出くわすアライフの強さも問題無く対処出来るだろう。


とか考えてながら、何気にドローンのデータに目をやると、ここからさらに東へ5km進んだ先に何やら大きな施設後の様な物が見える。建物もかなり大きいが、その周辺も広いスペースが空いている。これはもしかして駐車場と言うやつか?って事は……この建物は住居やオフィスビルでは無く、何かしらの施設って事かな?


ここからそう遠くないし、最後にこの場所だけ探索してからネストに戻ろう。


善は急げ、だったかな?素早く腰を上げて目的地に向かって歩き出した。

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