初陣⑤
ドローンからの映像が脳に送られてくる。2体のアライフは同じタイプの様だ。外観は同じに見える。
大きさは先程のアライフと同じぐらいだけど、こちらは二足歩行の様だ。そして両手は大きな鋏の様になっている。昔の生物の資料で見た、サソリやロブスターの様な挟みだ。
ボクが観察している間にアライフに見つかってしまったらしい。こちらの方向を見るやいなや、2体揃って走り出した。
まずい。かなりまずい。ボクの装備は遠距離狙撃のライフルのみ。この距離ではあっという間に接近戦になる。しかもあちらはあの鋏だ。おそらく接近戦に長けているはず。今のボクの装備では勝ち目は無い。
距離を取らなくては……!
とりあえず走り出す。
でもこのままネストに向かって逃げる訳にはいかない。もし逃げ切ったとしてもネストの場所を知られてしまってはまずい。ネストには僕の本体が無防備なまま寝ている。それだけは避けなくては。
とは言えこのSAを失うのは痛い。新しいSAをジェネレート出来るほどゲノムは持っていない。だからと言って予備のSAにコンバートして、そのSAを失うような事があったら……。
何としてもネストの場所を知られずにこの難局を乗り切らなくては。
とりあえずネストから離れるように廃ビルの間を走り抜けた。
全速力でビルの合間を走り抜けた。けどアライフはピッタリ付いてくる。どうやら見つかっている様だ。
付いてくるどころか、徐々に距離が近くなってきている。このままだと後10分も走ったら追いつかれるかも。何より、この2体のアライフをどうにかできたとしても、あまりネストから離れすぎててはまずい。他のアライフと遭遇でもしたら本末転倒だ。
じゃあどうするか。
もちろん迎え撃つしかない。
ちぇっ、ハント初日からついてないや。
でもどうするか?まずはボクが有利になる状況を作らないと。周りに何か無いかな?
ドローンの映像とSAの目視の情報でその『何か』を必死に探す。
するとこの少し先に狭い路地が。その片側の建物がかなり崩壊ギリギリの様だ。
よし……!これならボクのGRG13の威力でも崩壊させられそうだ!
その狭い路地を走り抜けてすぐに急ブレーキ。路地の先は割と崩壊が進んだ建物だらけの廃墟になっていた。
これは身を隠す絶好のポイントだな。
路地の出口から約50メートル。やや右にズレた場所の瓦礫の中に身を隠しライフルを構える。
照準は路地の向かって右側の建物。走り抜けながら見た感じだと、適当に撃ち抜くだけで路地を潰す様に建物が崩れ落ちてくれるはず。ってかそうなってくれないとさすがにやばい。
後は絶好のタイミングで引き金を引くだけだ。
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