巣立ち④

ライフルのジェネレートもスタートした頃、丁度カロリーバーの方も終わった。そんなに大きくは無いから本体のボクでも持てる。さっそくゲノムタンクの横に設置。ジェネレーター同様タンクからコードを接続。後はオートだ、楽ちん。


後は何をジェネレートしよう?残りのゲノムとも相談だな。


ライフルが実弾タイプにしたんだから、もちろん携帯用の実弾を精製するツールは必要。レシピから直ぐに見つけ出せた。まぁ種類もほとんど無いしね。


残りのゲノムはそんなに残ってないな……。遠距離でのスナイプを主体にするんだから……、SAのパーツもスコープだけは作らなきゃ。


レシピからSAのスコープを探す。まぁ第1階層のレシピならひとつしかヒットしない。


後は……、そうだな、ゲノムを回収しにわざわざ破壊したアライフの側まで移動するのも面倒だな。じゃ回収用のアライフか。


レシピを検索すると、これまたヒットは1件。回収用のドローン。しかも周辺の偵察とオートマッピング機能までついてるらしい。


今のゲノムならこんなもんが限界かな?


出来上がったスコープを持ってハンガーへ。どっちでも良かったけど右側のSAのハンガーにセットした。ハンガーのメンテナンスメニューからパーツ交換を選択。


ほどなくハンガー内を小さなアームが動いてSAの目の周りをカシャカシャやってる。あれがコンバートしてる時のボクの目になるんだなぁ。


とりあえずスコープの交換が終わったらさっそくコンバートしてみよう。


なんか緊張するなぁ……。


「よし、じゃ行くか」


誰も聞いてないけど声に出してみる。なんか踏ん切りが必要だと思って。


コネクタに寝転がる。ゴツゴツした見た目よりは寝心地は良い方だと思う。まぁベッドには遠く及ばないけど。


寝転がった頭のすぐ上のパネルをピピっと。コンバート開始だ。


プシュー……カシン……。


なんの音かサッパリ分からないけど、いつも通りの音が静かな部屋に響く。


寝転がったボクの目の前には3枚の小さなモニター。そこにはボクの身体データや精神状態のデータが羅列されている。必要な情報はすぐ把握出来た。


「マスタネーム『ソラ』、コンバート開始します」


誰の声なのかは全く分からないけど、ボクの知ってるコネクタの発する声はいつもこの声。やや女性っぽいな。


すぐに目の前がスーッと暗くなっていく。


そしてフワッと浮いた感覚が訪れ、次第に手足の末端から感覚が無くなって行く。


だいたい膝、肘の辺りまで感覚が無くなって来た瞬間、一気に身体の中心までギュッと収縮した感覚に落ちる。


自分がとても小さな点になった後、徐々に膨張して行く。


そして足と手の指の先まで形成される。


静かに目を開ける。そこには壁際からコネクタを見つめる風景が広がっていた。

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