一般人、家族と出会う
部屋で魔力をいろいろいじったりして操作制度を上げていると、部屋の外で使用人があわただしくする音が聞こえてきた。
「ご主人様達がお帰りになられます! 玄関広間に集合しますよ!」
俺が扉を開けて外を見てると、ベテランメイドらしき人が指示を飛ばしていた。
ご主人様がお帰りになられるってことは家族はおそらく出かけていたんだな。
と、扉から顔をだして外を見ていたからか、ベテランメイドさんがこちらに気づいたらしい。
「お坊ちゃんも一緒に広間に行かれますか? 皆様お喜びになると思いますよ」
なぜ俺が広間に行くと喜ばれるのかわからないが、家族の帰りだ。迎えに行かないという選択肢はないだろう。
「じゃあ僕も行くね」
「そうですか! ではご案内致しますね」
さっきのメイドさんと違って俺にビビる様子とかがかけらも見受けられない。おそらく経験等々からくる差なんだろうな。
俺はベテランメイドさんに案内されて、大きなエントランスホールといえる場所に来た。昔いったことのある市民会館とか、そういうところのエントランスよりも全然広い。貴族ってのはすげぇなぁ。
エントランスホールのほぼ中央で俺はメイドさんにここでお待ちくださいといわれて待たされていた。
少しすると、たくさんの使用人たちが俺の右と左に玄関までの道を作るように一列に並んでいった。すごいな、こういうシーン見たことあるぞ。これが生で見れるなんて。
「もうすぐご主人様がご到着になります。皆さん、姿勢に問題はありませんね?」
「「「はい!」」」
一角ではまだ若い人達が壮年の男性にまとめられていた。あれは新人教育なのかな?
すると、扉が開いて、1人の執事的な男性の後に続いて、4人の豪華な服を来た家族が入ってきた。1目見て思い出した。あれが俺の家族だ。
「「「「「「お帰りなさいませ!」」」」」」
すると、一列に並んでいた使用人たちが一斉に礼をした。かなりの人数がいるからその様も圧巻である。
「ああ、長旅で疲れたよ。レイセ、夕食の用意はできてるか?」
「もちろんです」
俺の父、レグナード・ランバートは執事長と思われし男性に夕食の用意ができているか尋ね、彼に上着を預けた。御年はもう30後半になるはずだが、20代ほどにしか見えない若つくりなイケメンである。
父が上着を預けると同時に、ホールの真ん中で一行を見ている俺に気づいたのか、豪華なドレスを来た母、イルセ・ランバートがこちらに来た。
「グランちゃん! 元気だった~?」
「むぐ! ええ、元気でしたよ」
母は俺の元まで来ると、すぐにかがんで俺の事を抱きしめた。俺がしゃべると、少し驚いた顔をした。
「グランちゃんがしゃべった!?」
なんだその犬がしゃべったみたいな反応は。もともとの俺は結構しゃべらないタイプだったのか?
「僕も普通にしゃべりますよ?」
「今まであまりしゃべらなかったから喉に病気してないかって心配だったんだよ?」
母がそう言って少し涙ぐむ。すると、そこに俺の二人の兄がやってきた。
「母様、グランが少し苦しそうだから離してあげなよ」
「かわいいのはわかるけどあんまりやってると嫌われるぜ? 母さん」
俺の自慢できるほど優れた兄達、レイド兄様とアレン兄様だ。レイド兄様は14歳、アレン兄様は10歳だ。
記憶ではレイド兄様は「じぇねしす☆くらいしす」にも登場している。レイド伯爵という名前で、国王の護衛として登場した。将来は国王の護衛に抜擢されるほどになる自慢の兄だ。
家名が出てこない唯一の貴族だったからなんでか考察が出てたけど、そういうことだったのか。
「確かにそうね、ごめんねグランちゃん」
「いえ、大丈夫ですよ」
俺の声を聴いて兄達二人も驚いた顔を見せた。どんだけしゃべってなかったんだ前の俺っ!?
そこに父であるレグナートが来た。
「家族全員で夕食にしよう」
「そうね、そうしましょう」
レグナートとイルセの声によって俺達は夕食の運びとなった。
これまたアニメとかでよく見るような豪華な食卓に着いたとき、俺に父、レグナートが声をかけてきた。
「魔力が目覚めているな。魔法の練習でもしたのか?」
「え、ええ。先ほど少しだけ」
魔力とかばれるんだとか思って少しきょどってしまった。
「……俺達が王都に向かった当日じゃなくてか?」
「……? はい。本当に先ほど少しやっただけですよ」
その質問に一体どんな意図があるんだ? というか王都に行っていたのか。「じぇねしす☆くらいしす」の前半の舞台は王都にある王立学院だ。俺が裏ボスとして登場するのも一応王都。少し気になるな。
「レイセ」
「はい」
「魔法関連の本を後で集めて置いてくれ。グランには多分魔法の練習をさせたほうがいい」
なにやら父が俺の為に魔法の本を集めて置いてくれるらしい。これはラッキーだな。魔法を使えるようになったら全力で強くなろう。一番最初の目標は魔王を超える、かな。
◆◆◆
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