一般人、魔力を理解する
まずはこの小さい体でこの大きな書庫の中から魔法関連の本を探すところからはじめなければならない。そもそも脚立のような便利な物もないため、見えないところに関連書物がある可能性すらある。
でもまぁ、魔法関連の書物じゃなくても興味がわけばなんでも読もうと思う。知識は絶対損にはならないからな。
適当に近場に手に取った本を取ってタイトルを読むと、自分の考えがいかに浅慮であったか思い知った。
この文字、日本語じゃねぇな!?
一瞬読めるわけねぇだろ馬鹿野郎と本を投げ出しそうになったが、よく見ると、そのタイトルの意味が分かった。いや、タイトルが読めたというのが正しいだろうか。
『悪夢の森とその中心についての予測』
なぜ読めたのかはわからないが、転生ボーナスだとか、そんなものだと思っておくことにしよう。
それにしても悪夢の森、かぁ。これまた懐かしい単語だな。俺が「じぇねしす☆くらいしす」をプレイヤーとしてプレイしてたころ、主人公のレベル上げをするのによく通った場所だ。
リンジェル王国、魔王領に隣接する国一つにも並ぶほど大きい森で、高密度の魔力で満ちているといった設定だったはず。
ゲームの時は浅い所までしか入れなかったが、それでもレベル50前後の魔物が出てきて、かなりレベル上げに貢献した思い出がある。
ちなみに四天王が下から順に、レベル66、70、72、74であったから、その魔物たちの強さもわかると思う。あ、魔王はレベル80ね。
え、俺? 推奨レベル99でしたけどなにか?
推奨レベル99の敵エネミー2体のうち片方は俺、グラン・ランバートだ。
まぁそんなこんなで思い入れのある悪夢の森の中央については俺も気になるし、この本は自室にもっていって読もう。
さて、では本題の魔法関連の本探しに戻ろうか。
タイトルも見ながら本を流し見して探していく。
『グレイミアの歴史』
『迷宮の罠完全攻略書』
『初級魔法の書』
あった! 魔法関連の本! これを見れば魔法の扱いを覚えられるな。多分。それと『迷宮の罠完全攻略書』は気になるタイトルだったのでお持ち帰りです。おめでとう。
とりあえず見つけた三冊の本を持って部屋に戻ろうとしたら、どれもそこそこに厚かったため重く、持てなかったので、メイドさんに二冊持ってもらって部屋に戻ってきた。
「それでは私は掃除を再開させていただきますね。何かあれば是非お申し付けくださいませ」
「うん、何かあったら頼むよー」
と、そのようなやり取りをした後、俺は『初級魔法の書』をとって読み始めた。
かなり良心的な本で、魔力の扱いから丁寧に説明されている。
曰く、魔力とは、血液とはまた違う全身を流れる力の源で、魔法はそれを一部に集めて、本人の資質と合った形に変化させて扱うもの、らしい。
ちょっと何言ってるかわからないが、要するに才能ない属性の魔法は扱えないということかな?
まぁゲームでいうところの適性属性ってやつか。
俺、グラン・ランバートで言えば適性は闇、空間だ。いやまぁ詳細な設定は明かされていなかったから、グランが裏ボス戦で使ってなかった属性にも適性はあるのかもしれないが。
この本曰く、基本は1人1属性で魔法を使えればいいほうで使えない人もいる、とのことだ。
しかし「じぇねしす☆くらいしす」をやっていたものとしては違和感を感じる。主人公であるカイト・グリズナーは基本4属性(火、水、風、土)を当然のように全て使えたし、ヒロインの1人であるエミリー・ドリーマーに至っては希少4属性(氷、雷、光、闇)の氷、雷も加えて6属性扱うことができていたからな。
光と闇は作中でも人間では第二王女と俺以外扱う人がいなかったことから本当
に超希少かもしれないな。
まぁ闇属性は魔族がよく使ってきたけど。
と、まぁどうでもいい魔法の適性属性に関する話は置いておいて、魔力の扱い方の部分を読み込んでいこうか。
曰く、まずは魔力を知覚すること。魔力は体中を常に巡っているが、特に体の中心、腹部辺りには多くの魔力が存在しているそうだ。その辺を意識すると、知覚可能らしい。
俺はこの本に習い、腹部に感覚を集中させてみた。すると、確かに腹部を中心として温かい何かが体中を巡っているのが分かった。
なるほど、これが魔力か。
しかしどうやって扱えばいいのかわからないな。続きを読むか。
続きを読むと、知覚さえできればそれに触れる感じで魔力を操ることができるようになっていくと書かれていた。これは時間がかかるので根気を持つこととも。
触れるような感覚といわれてもな。とりあえず知覚した魔力と思われるものをいじってみる。一部だけだがかなりさらさらしているというか、普通に動かせることが分かった。
なんというか、血液のように体を流れるものの動きを変えるのは少し違和感があるな。
おそらくこの魔力全体を操れるようになると魔法を扱えるようになるんじゃないだろうか。根気がいるらしいし、魔力操作、練習しないとな。
◆◆◆
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