第3話
しばらくしてから、公務で、皇太子妃が、公爵に声をかけられているところに遭遇した。
陰からその様子をみていた。
「カノン。きちんと皇太子に尽くしているか?」
「はい。公爵のおっしゃる通り、皇太子の機嫌を、損わないように、皇太子が望むように、しておりますから、安心してください。」
「そうか。それなら良かった。カノンは、我が家の誇りだよ。」
「ありがとうございます。」
「カノン、、ドレスが同じものが多いように感じるが?」
「このドレスは、皇太子様がお気に入りなのですよ。
だから、ついつい同じものになってしまうのです。
私もこのドレスが好きですから、、」
「そうか。なるべく違うものを着なさい。」
「ご心配おかけまして、申し訳ありません。
公爵様、申し訳ありませんが、公務の時間ですので、そろそろ失礼しますね」
「ああ。これからも皇太子に尽くしなさい。」
「はい。では、公爵様もお元気で、、」
皇太子は、この会話聞いて、おかしいと感じた。
なぜ?父を公爵と呼ぶ?
私に尽くす?望む通り?
あの会話は、親子の会話じゃないように感じる。カノンは怯えている?
愛されていなかったのか?
よく見てみると、腕に傷があった。
確かに古傷だった。
初夜の日、絶対にナイトドレスを脱がなかった。まさか他にも傷があるのか?
皇太子は、カノンの本邸の部屋に初めて入った。
全て、置いてあった。
私があげた、ドレス、宝石、
公爵から持ってきたもの、、
別邸に持っていってないのか?何故?
箱の中には、
一つの日記のようなものが置いてあった。
読んでみると、
コンフィール様。私を選んでくださりありがとうございます。
私を公爵というカゴの中から、あなたの元に飛びただせて頂きありがとうございます。
コンフィール様のためなら、公務もしっかりします。少しでも公務がラクになり、皇太子という重荷から、少しでも軽くなるならば、私は、頑張ります。
それが私ができるお礼なのです。
やっと今日、結婚式になり、公爵から出ることができた。
これで私も、もう叩かれることはない。
やっと私は、愛する人と一緒に過ごせる。
嬉しいことです。
これから、幸せな日々を過ごしたい。
きっと、わたしは、幸せになれる。
神様が、見てくれている。
そんな幸せな結婚式の夜、、、
初夜の時、ナイトドレスは脱げなかった。
コンフィールの瞳に私が写っていないかった。
私の全てを曝け出す勇気はなかった。
今日、コンフィール様から、
プリンスという女性を紹介された。大切な人らしい。
私とは公爵の力が欲しいだけだった。
全てが偽りだった。
神様は私を幸せにしてくれなかった。
コンフィールは、私に指導して欲しいという。もっとも残酷な人だ。
コンフィールに愛されない私が、コンフィールに愛される人に、コンフィールのために今まで学んできたこと全てを教えろという。
全てを否定されているのでしょう。
そんな憎いなら、私なんて、娶る必要がなかったのに。
でも、初夜の日の瞳の理由が、わかってよかった。
あの時に全てを出さなくてよかった。
私の体を見たら、嫌がったでしょう。
どうせ嫌われるなら、私の体を見せなくてよかった。
公爵が、私を虐待しているなんて、コンフィールが知るわけもないもの。
コンフィールにとって、公爵は、家族思いで娘を愛する人。
わたしは、公爵令嬢で、何もかも手に入れてる人。
プリンス様も虐待があったようだけど、
綺麗な肌だった。
背中のあいたドレスが着れるのは羨ましい。
私なんてこんな傷だらけの体、皇太子妃に似合わない。
プリンスの方が、皇太子妃に合っているわ。
もう、わたしには、生きる意味がわからない。公爵に戻るくらいなら、この世からいなくなる方がいい。
もう誰とも話をしたくない。
耳が聞こえない子がいたから、その子に世話をしてもらおう。
私が死んだ時、処理をしてもらわないといけないけど、一年間、大事に育てよう。
来世では、幸せな人生になりますように。
ちがうはね。
もう二度と生まれませんように。
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