第143話 謝罪の意味

息子が誰と話をしているのかは分からない。だが、大降りな仕草をしていることからも会話が上手く行ってないことが伺える。


この状態で中に入っても、話をしている人と更に上手くいかなくなるだけなのではないだろうか?と一瞬考えたが、よくよく考えればそんなのは関係ないのだ。


ここに来た目的を果たせばそれで良いのだ。それに息子がいることはわかった。つまり目的を達成するまでに多少の過程はあれど、問題なく達成することは出来るのだ。


「よし。さっさと話を聞いてきてしまおう。それに、もしかしたら聞く必要もなくなるかもしれないしな。」


少し覚悟を決めて、店の扉を開けて中に入ると先程まで大きな手振りをして話をしていた息子はすぐに話をやめてこちらへと体を向けた。


「いらっしゃ…どうしてここに?」


「お前に聞きたいことがあってな。家の方にも行ったんだが、いないようだったからな。こっちに来てみたんだ。」


「…わかった。何を聞きたいの?」


「お前の嫁に話があってな。あっちのいえにいないってことはこっちにいるって事か?」


「えっ?まぁそうだけど…」


「それなら話がはやい。ちょっとこっちに連れてきてくれないか?重要な話なんだ。勿論お前も同席してもいいぞ。まぁ儂としてはどちらか一人でも話を聞いてくれればいいから。どっちでも良いぞ。」


儂がそう言うと、息子は奥の方へと足早に去っていった。そして数十秒経ち再びこっちにやって来た時には、ちゃんと目的の人物も連れてきてくれていた。


「さて…何から話をするべきか。」


「まずはなんでここに来たのかを説明するべきじゃない?俺はともかく、彼女は知らないわけだからさ。その方が困惑されないと思うよ。」


「一理あるな。それならそこから話をしたほうが良さそうだ。じゃあ話をするからしっかりと聞いてくれ。」


儂はそう言ってここに来たことについて話をすることにした。


「まぁ分かっているとは思うが、叶斗君のことだ。あの子に対して、息子は謝りに来てくれたわけだが…君は直接でも、間接にでも謝りに来ることも無かったな。それについてまずは話を聞きたい。」


儂がそう言うと、少し体を震わせながらこう告げた。


「直接謝りに行けなかったのは…確かに申し訳なく思ってます。でも、間接的に謝るよりかは直接謝りにいったほうが良いと思って。」


「でも直接謝りに行くことが出来ないのであれば、間接にでも伝えたほうが良かったんじゃないか?」


「それは…そうですけど…」


「それに、あの子のことだ。間接的にでも謝っておいた方が、後々に良い方向へと影響すると思うんだが?」


「…いえ。私は直接謝らないと意味がないと思います。間接的に…まぁメールなどで謝っても気持ちまでは伝わらないと思います。気持ちが伝わらないのでは意味がないと思うんです。」


「まぁそういう考え方もあるだろうし、それを否定することは出来ない。でも予定があったわけじゃないんだろう?それは話を聞いているぞ。」


「それはそうですけど…予定があったわけではないですが、少し体調が悪くて。」


「体調が悪いからなんだ?と個人的には思うな。たしかに体調は大事だ。だが、体調以上に謝罪はすぐにするべきじゃないのか?」
















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10~




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なんか会話ばっかりになってしまってすみませんでした…

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