第58話 俺の選択は…

お祖父ちゃんは俺にそう言った数秒後に、用事ができてしまったので少し席を離れると言って電話を切ってしまった。俺はスマホを服のポケットの中に入れて、再びソファーに座り込んだ。俺自身彼女のことを許せているわけではない…


でも、このお金があれば愛華にもっと良い生活を送らせてやれるかもしれない。今はまだお祖父ちゃんがいてくれるから良いけど、お祖父ちゃんだって今年で85になるはずだ。最近は問題なく歩き回ったりすることができるものの、1年ほど前体調を崩して敗血症になりかけたのだ。


あれ以来健康には気をつけているらしいけど、どれだけいい薬を使ってもどれだけ健康に気を使ったとしても、年には勝てない。いずれお祖父ちゃんも俺と愛華のもとから去ってしまうだろう。


そうなれば俺たちに残された未来は少ない。お祖父ちゃんが今日、明日にもこの世から去ってしまう可能性だって0ではないのだ。


「…この金を受け取れば愛華の事をもっと楽にしてあげることができるし、何か不測の事態になったとしてもなんとかなる…よな。」


俺は封筒の中身を取り出して机の上に広げてみた。机の上に広がった札はひと目見ただけでも数十万程度ではないことがわかる。というよりも、帯がついているものなんて初めて見た。


「でもこの金を受け取ることすなわち俺は被害を訴えたりせず、色々と対応をしなければいけない…俺の事を思って行動してくれている警察官には申し訳ないな…」


俺はまだ迷っていた。この金を受け取るのか、それとも受け取らないのか。我妻菜々…彼女自身も反省しているのかもしれないけど、俺はこんな金をもらって喜んで大事にしないように働きかけたりするほど馬鹿じゃない。


そして迷った俺が出した決断は…お金をもらうことだった。これ以上必要以上に糾弾しても意味がないと思ったからだ。


「…」


しばらく黙っていると、再び電話がかかってきた。


『決断したのか?どんな決断だとしても儂はお前の判断を尊重するから安心しなさい。たとえお金を受け取ったとしても受け取らなかったとしても、あの者らも完全に許されたとは思わないはずだ。下手にちょっかいかけられないとは思うから安心なさい。』


「うん。俺はこのお金をもらうことにしたよ。このお金をもらうことで彼女を許す…というわけじゃないけど、提案を受け入れることにしたんだ。」


『…分かった。それはお前の本心からの決断なんだな?儂が一番気にしているのはそこだ。どんなことよりも気にしているのはそこなんだよ。』


俺は決して本心からこの決断をしたわけじゃない。今後のことを考えた上での打算もある。


「本心から…とは言えないかもしれないけど、でも俺はこの決断をした事に後悔してないよ。」


『後悔していないのなら良い。そのお金をもらったら、しっかりと管理するんじゃぞ。どれくらいもらったのかはわからないけど、大きい金額になるのは目に見えておるからな。』


お祖父ちゃんはそう言って電話を切ってしまった。俺は校長室の外にいる教頭先生に言われた通り、校長室のドアを叩いた。


数回叩くと、教頭先生がすぐに中に入ってきて、俺にどうするのか聞いてきた。


「その大金をどうするのか教えてくれないかな?」


「…この大金は受け取ることにします。誠意を見せてもらったのに、受け取らないのはそれはそれで良くないと思いますから…」


「そうか。君の判断は良いと思うよ。でも君自身はいいのかい?お金に目がくらんで承諾したわけではないだろう?」





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お陰様で恋愛週間ランキング最高2位に載りました!!これも皆様の応援のおかげです!!


今日も見てくれてありがとうございます!!

小説のフォローや星での評価をしていただけると幸いです(^^)


当分は深夜に投稿することになると思います…


若干時間無い中書いたので、文章がおかしいところがあるかもしれませんが気にせず読んでいただけると幸いです…


恋愛要素は少し遅めに登場しますのであしからず!!


他視点と表記するのではなく、詳細を書く方向で進めることにしました!!


さぁ…だんだんと盛り上がってきましたよ!!何やら怪しい雰囲気…これから先どうなるのでしょうか!!


ジャンル区分があってるかどうかの指摘とかは随時受け付けます!!色々と修正をしながら、色んな意見を取り入れて作品を完成させたいなと思っています!!


リメイク計画も実行中ですので、よければ是非〜





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