第47話 あんたのせいで…(愛華視点)
私はお兄ちゃんに少し待っているように伝えて、お兄ちゃんに話しかけようとした女の手を掴んだ。女は私のことを戸惑いの目で見ていたが、私の事はある程度想像がつくのか睨んだりはしてこなかった。
女は1度私の手を払い除けてお兄ちゃんの所に向かって歩き出そうとしたが、私が女の手を再び強く掴んで引き戻したため、お兄ちゃんのもとに向かうことはできなくなった。
女は先程とは違い、敵意を剥き出しで話しかけてきた。
「…この手どけてくれないかな?私は貴方と話をしている余裕なんて無いの。私は彼に謝らなくちゃいけないの。」
お兄ちゃんはこの女のせいで、苦しんでいるのだろう…私はこんな女のせいでお兄ちゃんとお祖父ちゃんとの楽しい時間を削られているのか…そう考えるだけで、腸が煮えくり返るような思いだった。
この女にだって事情はあるのだろう…お兄ちゃんに対して酷いことをして、すごく後悔をしたのかもしれない。後悔をしたって遅いことくらい分かっていても、それでも謝りに来たのかもしれない。
家族にだって辛いかもしれないけど、話したのだろう…じゃなければこうやって車で送ってくれたりなんてしないだろう。
しかし一つ言わせてほしい…その態度で本当に謝りに来たの?普通謝罪でもするんだったら、その相手の家の前に車を止めるなんて行為はしないよね?
だって相手の目にもとまるはずなのに、車でここまで来て謝罪だなんて何を考えているんだって少なくとも私は思う。
「あんたは本当にお兄ちゃんに謝罪をしたいの?少なくとも私にはそう見えないんだけど。よく考えてみてよ。家の目の前まで来るまで送ってもらって、謝罪の気持ちとかあると私は感じないんだけど?」
「私にだって事情があるのよ…少なくともこれは私と彼の問題のはず。貴方が関わる余地はないわ…」
その言葉を聞いて私は、怒りを抑えることができなかった。私にとって唯一とも言って良いお兄ちゃんを傷つけておいて、私に関わるな?そう言っているの?
「私にとって一番大切な家族であるお兄ちゃんを傷つけておいて、よくもそんなことが言えるよね。貴方にどんな事情があろうと、お兄ちゃんは貴方からの謝罪は受け取らないわよ!!お兄ちゃんの気持ちを考えれば、わかるはずでしょ?自分のことを傷つけたやつが今更謝りに来るんだよ?それを許せって言う方が無理あるよね。」
私はまくしたてるように大きい声で言ってしまったがこれはしょうがないことなのだ。お兄ちゃんのことを傷つけられて私が黙っていられるはずがない!!
お兄ちゃんはこの人のことをあまり詳しく話してくれなかったけど、さっきお兄ちゃんと話したことで少し情報を得ることができた。それにお兄ちゃんは一つ私に嘘…とまでは行かないけど、何かを隠そうとした。
お兄ちゃんはおそらく、私とあの女に関わってほしくないのだろう…お兄ちゃんがどうにかしてごまかそうとしたのはそういう意図があったからじゃないのかな?と私は思っている。
でもお兄ちゃん…家族の中で私のことをいつも助けてくれたのはお兄ちゃんなんだよ?そんなお兄ちゃんのことを傷つけたこの女を私が許せるわけ無いじゃん!!
「それは貴方が勝手に思っているだけのことでしょ…というか手を離して!!」
この光景を見ている人がいれば、その誰もが喧嘩に発展する直前だと答えるくらいには険悪な空気が漂っていた。そしてその空気の中、お兄ちゃんは私の頭を撫でて話しかけてくれた。
「…もうそれ以上怒らないで。俺のためを思って言ってくれてるのは分かってるけど、俺は愛華の怒ってるところは見たくない…だからお願い。」
お兄ちゃんの方を見ると、いつもの笑顔がそこにはあった。私はお兄ちゃんのために、あの女と話をしたけど…結局お兄ちゃんが望むような結果じゃなかったんだね…
「わかった…でもあの人とは話してほしくないの。」
お兄ちゃんはいつも私のお願いを叶えてくれたけど、今回だけは違った。私のお願いをきっぱり断って、覚悟を決めたような顔をしていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お陰様で恋愛週間ランキング最高2位に載りました!!これも皆様の応援のおかげです!!
今日も見てくれてありがとうございます!!
小説のフォローや星での評価をしていただけると幸いです(^^)
当分は深夜に投稿することになると思います…
若干時間無い中書いたので、文章がおかしいところがあるかもしれませんが気にせず読んでいただけると幸いです…
恋愛要素は少し遅めに登場しますのであしからず!!
他視点と表記するのではなく、詳細を書く方向で進めることにしました!!
さぁ…だんだんと盛り上がってきましたよ!!明日か明後日に新作を発表する予定なので、どうぞよろしくお願いします!!新作のジャンルは…現代ファンタジーです!!若干ダーク要素もあり…になるかも?
ジャンル区分があってるかどうかの指摘とかは随時受け付けます!!色々と修正をしながら、色んな意見を取り入れて作品を完成させたいなと思っています!!
リメイク計画も実行中ですので、よければ是非〜
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます