第16話 自称被害者との遭遇

理不尽な停学処分を受けてからついに一週間が経過した。俺はこの日に学校に登校して今後について具体的に話し合わなければいけなかったため、今までのようにおじいちゃんの家に居ることが出来ないのだ…


荷物を持って制服に着替えたが、学校に行こうとは正直思えなかった。このまま学校に行けば再びあんな理不尽な目に合うのだろうか?そう考えたら体の震えが止まらなかった。


玄関で靴を履いた状態で固まっている俺を見ておじいちゃんは優しく話しかけてくれた。


「儂個人としては、学校なんぞ行かなくてもいいと思っている。だが叶斗が学校に行きたいというのであれば話は別だ。最大限サポートするし、何か酷い目にあったならすぐに言いなさい。儂がその場で学校側にクレームを入れてやろう。それでも改善しないのであれば…然るべき処分を受けてもらうことになるがな。」


「ありがとう。学校に行きたくないって気持ちもあるんだけど、行って話をつけてこなくちゃ解決しないでしょ?だから俺はイジメなんてしていないって事をちゃんと主張してくるよ。」


「そうか…であれば学校に行くのを止めはせんから行ってきなさい。でも辛くなったらすぐに帰ってきなさい。儂は孫がつらい目にあってるのは見過ごせん。」


「おじいちゃん…」


おじいちゃんは俺の方をまっすぐと向いて話しかけてくれた。父親や母親はこんな事をしてくれなかった。だからなのか自然と嬉しさが溢れた。


「行ってきます。ちゃんと説明してくるよ!!」


「行ってらっしゃい。儂は家で待っているからな。」


俺はおじいちゃんと少し話した後、学校に向かって歩き出した。学校が近づいてくるにつれて、段々と足取りは重くなっていった。呼吸は早くなり段々と視界も揺れるようになっていた。それでも意地で学校にたどり着いた。しかし俺に待っていたのは予想通りの出来事だった。


校門からすぐに設置されている下駄箱を開けるとその中には大量の画鋲と虫の死骸があった。今どき虫の死骸なんて何処から集めてきたのかは分からないけど、これでは上履きは使えない…そのため、職員室に行き上履きを借りようとしたけど、職員室の先生達は皆示し合わせたようにして、俺の事を無視しているのだ。


流石に無断で入るわけにも行かないので、上履きを履かずに教室に向かった。教室に向かう前に、職員室の扉に聞き耳を立たが中から先生たちの笑い声が聞こえてきただけだった。


その内容はどれも俺の事を馬鹿にするような話ばっかりで、だれも俺の事を擁護するような声を上げている先生は居なかった。俺の事を助けようとする先生なんて少数派だろうから、多数派が多い場所では言っていないだけなのかもしれない。そう考えると少し心が軽くなった。


教室に入ると、周囲からは俺の事を蔑むような視線や、嫌悪するような視線を浴びせられた。それでも耐えていると、ついに先生が入ってきてホームルームが始まった。


ホームルームが終わると、担任の先生は俺の事を教室の外に呼んだ。担任の先生は俺が教室の外に出てきたのを確認すると、話しかけてきた。


「自分がやったことを反省しましたか?」


「するわけ無いですよ。そもそもイジメなんてしていませんから。それとも先生は俺がイジメをしたと確信しているんですか?決定的な証拠はないのにですか?」


「第三者がその現場を見たという話を聞いていますからね。貴方が何を言おうと無駄です。」


「そうですか…それで俺を教室の外に呼んだのはそれだけの理由ですか?」


「違います。すぐに校長室に向かってください。今すぐです。」


「わかりました。」


俺は担任の先生の事を睨みつけながら校長室に続く廊下を歩き出した。担任の先生は俺の事を信じてくれないんだし、これはしょうがないことなんだ。


俺はそう考えながらも、校長室へ続く最後の廊下にたどり着いた。そしてその廊下を歩いていくと途中で人とぶつかってしまった。


俺はぶつかってしまった人に謝ろうとして気づいた。いや気づいてしまったと言ったほうが正しいのかもしれない。俺がぶつかったのは校長室でうつむいて何も話をしなかった女子生徒なのだ。


「…すみません。」


女子生徒はこちらを向かずにその場で謝罪と一礼をして立ち去ろうとしていた。その態度が無性にイライラした。


「人の人生踏みにじって楽しかったか?ご両親の力を借りて、そこまで関わりのないやつの人生を終わらせるのはさぞ楽しいんだろうな。あんたの父親に殴られた時に出来た傷はまだ消えてねぇよ。」


言葉遣いが荒くなってしまったが、こんな言葉遣いにならない方がおかしいだろう。たいして繋がりもない他人の人生を壊しておいて、こんな風に普通でいられるのはおかしいだろう。こんなの絶対に間違ってる…よな?























ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

お陰様で恋愛週間ランキング4位に載りました!!これも皆様の応援のおかげです!!


今日も見てくれてありがとうございます!!

小説のフォローや星での評価をしていただけると幸いです(^^)


当分は深夜に投稿することになると思います…


若干文章がおかしいところがあるかもしれませんが、気にせず読んでいただけると幸いです…


恋愛要素は少し遅めに登場しますのであしからず…


さて…件の女子生徒と接触したわけですが、この後どうなっていくんでしょうか!?明日の投稿も是非お楽しみに!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る