第15話 連れ戻そうとする父親と母親

俺と愛華がおじいちゃん家に来てから数時間が経過した。おじいちゃんが買ってきてくれた食事をとって楽しく談笑をしていた時だった。玄関のチャイムが鳴り、聞いたことがある声が聞こえてきた。


「はぁ…我が息子ながら馬鹿なやつじゃ。ふたりとも儂が応対するから、テレビでも見て待ってておくれ。」


「うん…でも変な行動に出ないか心配だよ。おじいちゃんの事を恨んでたりするかもしれないし…」


「そうだよ!!私もおじいちゃんの後ろについてる!!おじいちゃんだけに応対させる訳にはいかないよ!!」


「おぉそうか…それじゃあ扉を開けるとするかの。」


俺はおじいちゃんが何も警戒をせずに扉を開けようとしているため、おじいちゃんの手を握って制止した。


「ちょっとまっておじいちゃん…キーチェーンは絶対に外さないでね?例え家族だとしても変な行動に出る可能性があるんだから、警戒しといて損はないよ。」


「たしかにそうじゃな。儂の息子の考えていることなんぞ手に取るように分かるわい…どうせ愛華と叶斗の事を家に置いておきたいんじゃろうな。」


「おじいちゃん…私絶対にあの家に帰りたくないの。」


「安心しなさい…儂が二人のことを絶対に守ってやるからな。それじゃあ死角になる位置に隠れておくんじゃ。そうすれば父親の本性が見れると思うぞ。」


「うん…父さんが本当はどんな人なのかまだ知らないし、この機会に知っておいたほうが良いね。愛華もそう思うだろ?父さんや母さんが普段どんな事を考えているのか…」


「うん。私達のいる前じゃ絶対に本心を話してくれないだろうし、おじいちゃん任せてもいいかな…?」


「大丈夫じゃよ。何も話さなくて大丈夫じゃから、儂とあいつが話している所を聞いているといい…それじゃあ開けるぞ?」


そう言っておじいちゃんは玄関の扉を開けた。僅かな隙間から見える景色には、父さんと母さんの姿があった。父さんと母さんは玄関の扉が空いたことに気づいたのか、こちらに大股で詰め寄ってきた。


「父さん!!あの子達を家に帰してください!!帰していただけないようでしたら、警察に通報しますよ!!」


「何なら今ここで警察を交えて話し合いをしてもいいのよ!!さぁあの子達を返して!!」


「この大馬鹿息子が!!何を今更そんなこと言っておる!!お前がやったことは子供にして良いことではない!!そんなこともわからないのか!!子供にほとんど関心を持たないで自分の店ばっかり!!恥を知れ!!」


「なっ…そんなふうに言うなんてあんまりだ!!」


「お義父さん!!お願いですから私達の子供を帰してください!!こんな会話ご近所様に知られたら困るでしょう?ですから早く子どもたちを連れて来てください!!」


「…儂が世間体を気にすると思うか?例えご近所様方からどんな視線で見られようとも、儂はこの子たちのことを返すつもりはない。元よりこの子達が抜け出したいと考えるような環境を作り出すお前らが悪いのだ!!児相に相談した方が良いんじゃろうな!!」


「児相って…」


「いい加減にしてくださいよお義父さん!!」


それからはずっと同じ様な内容の繰り返しだった。愛華はその目に涙をためていた。俺は愛華の手を取って一度玄関から離れることにした。


そして手を握りしめたまま、リビングに行き泣き始めてしまった愛華の事を慰めた。


「…お兄ちゃん…私達のお母さんとお父さんってあんなふうに言う人だったんだね。私あんな人たちのことずっと信用してたんだ…」


「大丈夫だ。どちらにせよ俺たちはあの人達と向き合わなくちゃいけない時が来るんだ。俺等はまだ高校生と中学生だ。アニメや漫画だったら高校生一人で暮らして居ることもあるだろうけど、そんなのは親からの援助があってこそ成り立つものなんだ。それに、保護者の同意が必要なものもあるだろう?」


「うん…成績表とかも親にはんこを貰わないといけないし…他にもいろんなことが親の同意が必要なものだね。」


「そこについては俺に策があるから問題ないとしても、これからどうするかが問題なんだよな…」


「…?」


「あんなふうに毎日押しかけられたらどうなると思う?まず最初にご近所さんから変な目で見られるだろうね。事情を知っている人ならともかく、事情を知らない人からすれば異常な光景だから、噂にしたりするだろうね…」


「そんな…」


「そして不審に思った人が警察に電話をかけたり、父さんと母さんが電話をかけてしまえば、おじいちゃんだってそれなりの対応をしなくちゃいけないんだ…」


「じゃあどうすればいいの?私はあんな家に帰りたくないよ!!お兄ちゃんだってそうでしょ?ここにいれば、昔から私達のことを助けてくれていたおじいちゃんと一緒に過ごせるし何かあっても助けてくれるよ!!」


「…そうだね。俺もここの家に居たいとは思っているよ。」


でも俺はイジメで疑われているような始末だ。被害を受けたと主張していたあの両親のことだから、どうせ警察には言っているだろうし俺の意見が通ることはないかもしれない…



















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お陰様で恋愛週間ランキング4位に載りました!!これも皆様の応援のおかげです!!


今日も見てくれてありがとうございます!!

小説のフォローや星での評価をしていただけると幸いです(^^)


当分は深夜に投稿することになると思います…


若干文章がおかしいところがあるかもしれませんが、気にせず読んでいただけると幸いです…


恋愛要素は少し遅めに登場しますのであしからず…


さて…若干雲行きが怪しくなってきましたね…


次回からは登校を再開させていきたいと思います!!徐々にざまぁ(復讐)展開にしていこうと思っていますのでよろしくお願いします!!

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