第14話 再会する兄と妹

おじいちゃんが車を使って出てから数十分が経った。おじいちゃんがどこに行ったのかは分らない…


「はぁ…おじいちゃんに言われたからこの部屋にいるけど、何もしないのって以外と退屈だな…」


この時間であれば本来は学校にいるはずだ。でも今はこうやって優しく頼れるおじいちゃんの家で休むことが出来ている。


「こうやって休めるのは久しぶりだな…前に休んだのは高熱を出したときだったっけ?」


あれは5ヶ月ほど前だっただろうか…朝起きるととてつもなく体調が悪くて、歩くのでさえ難しかったのだ。当然そんな様子だったから、妹には心配されてしまった。


お母さんとお父さんにも当然話したが、「嘘なんじゃないか?」と言われるような始末だった。よくよく考えてみればあの冤罪で信用を失ったとかじゃなくて、もっと前からあの人たちには信用されてなかったのかもしれないな…


でもそう考えるとすると一つおかしい点がある。俺は父さんや母さんに迷惑をかけたことはないはずなのだ。


「どうしてなんだろう…まぁとにかく今は休んでいよう…」


そうしてリビングで自分の荷物を整理していると、車の音が聞こえてきた。玄関を開けて外を見ると、おじいちゃんが帰ってきていた。


「おじいちゃん何処に行ってたの?」


「叶斗帰ってきたぞ!!こっちにきて荷物を運ぶのを手伝ってくれないか?」


「荷物はどれくらいあるの?」


「そうじゃな…大体叶斗が持ってきたのと同じくらいかのう…まぁそんなに重いものは無いから安心せい!!」


俺は自分の靴を履いて、車に向かった。車の中には沢山の荷物が積まれていた。


「…これって愛華の?」


「そうじゃよ。愛華〜荷物に埋もれてないで出ておいで!!到着したぞ!!」


おじいちゃんがそう言うと、荷物の一部を動かしながら出てくる愛華の姿があった。


「お兄ちゃん!!久しぶり!!」


「どうしてここが!?俺愛華には行き先も告げてないよね?」


「えへへ…お兄ちゃんだったら、一番信頼できる人の家に行くかなって思って!!それに私とお兄ちゃんが信頼している人といえば、おじいちゃんしかいないじゃん!!」


「そうか…ありがとうな。じいちゃんは嬉しいぞ。儂が何があっても守ってやるから安心せい!!」


「おじいちゃんは私達の心配をする以前に、のことどうするのか決めないとじゃん!!結局どうするの?」


「…おばあちゃんのことについてだが、愛華と叶斗に一番最初に手を合わせて欲しいと思ってな。こっちに来てくれ。」


俺と愛華はおじいちゃんの後をついていった。おじいちゃんが歩いていった先はこの家の庭だった。


「ここにばあさんのを作ったんじゃよ。正確にはレプリカじゃがな。でも儂はここの墓が本物だと思ってる。儂とばあさんが必死に金をためて、造ってもらった家じゃ。儂とばあさまの魂が宿ってると行っても過言じゃないはずじゃ。」


「…おばあちゃん元気にしてるかな?」


「きっと天国で元気にしとるよ。お前たちのことを誰よりも可愛がって大切にしていたのは、ばあさんだからな。お前たちが手を合わせてやってくれ。儂はお前たちがばあさんに一番に手を合わせてほしいんじゃ。」


「うん…わかったよ。おじいちゃんは手を合わせてないの?」


「こっちのレプリカのやつじゃなくて、しっかりと管理されている墓地の方じゃがな。時折ばあさんが儂を呼ぶような声が聞こえてくるんじゃよ。」


「…それって大丈夫なの?取り憑かれてたりとかじゃないよね?」


「もちろん大丈夫じゃ。いつも儂を呼んでくるんじゃが、その内容はいつもお前たちのことだったぞ。お前たちが確か小学3年と小学一年生だったかのう…もしかすると幻聴なのかもしれないがな…」


俺は思わず涙が出てきてしまった。おじいちゃんとおばあちゃんが毎年遊びに来てくれて、その度にいろんなことを教えてくれたりするのだ。母親はおじいちゃんとおばあちゃんの前だからか、いつも以上に優しくしてくれたけどおじいちゃんとおばあちゃんがいなくなれば、いつもどおりになってしまうのだ。


おばあちゃんは俺にいろんなことを教えてくれた。その中でも今でも俺の心の中に残っているのは亡くなる一日前の出来事だった。


それは俺とばあちゃんで一緒に散歩しに行ったときだった…ばあちゃんは俺だけに特別なことを教えてくれたのだ。


それは、ばあちゃんがステージ4のガンだというものだった。当時の俺は全く理解できていなかったが、ばあちゃん曰くとっくに医者に言われた余命はとっくに過ぎているようなのだ。


余命は残り半年だと言われたそうだけど、どういうわけか半年を過ぎた後も普通に歩いたりすることが出来ていたようなのだ。ばあちゃんは散歩している時もずっと、「これは愛華と叶斗と過ごす最後の時間になるかもしれないねぇ…」ともらしていた。


そしてそのばあちゃんが散歩をしている時にもらした言葉通り、俺と愛華にあった翌日に亡くなってしまったのだ。


時折ばあちゃんが苦しそうにしていたのにという後悔が今でも心の奥に根付いているのだ。



















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お陰様で恋愛週間ランキング4位に載りました!!これも皆様の応援のおかげです!!


今日も見てくれてありがとうございます!!

小説のフォローや星での評価をしていただけると幸いです(^^)


当分は深夜に投稿することになると思います…


若干文章がおかしいところがあるかもしれませんが、気にせず読んでいただけると幸いです…


恋愛要素は少し遅めに登場しますのであしからず…



〜ちょっとだけご紹介!!〜

おばあちゃんは既に亡くなっていますが、おじいちゃんと同じかそれ以上に、この兄妹の事を大切にしていました。おばあちゃんはガンの治療をしていることを、おじいさんや兄妹を含めた家族に隠して治療を続けていました…


おじいちゃんがおばあちゃんに呼ばれているのは幻聴なのでしょうか?それとも…

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