第12話 優しく頼れるおじいちゃん
父親に啖呵を切って出ていくと行ってしまったものの、やっぱり不安だ。あんな環境に居たら自分が腐って行ってしまうのが目に見えている。けど出ていくのをもう少し待って、愛華と一緒に行った方が良かったのかな…
愛華は俺の後を追って来てくれるのだろうか?それが俺にとって気がかりだった…若干の不安を抱えながらも、自転車を使って数十分かかるおじいちゃん家にたどり着いた。
おじいちゃんは俺が小学校に上がる前から良くしてくれる人で、何かと俺と愛華を助けてくれた人だ。おじいちゃんが居てくれたお陰で今の俺がいると言っても過言ではない。おじいちゃんはそれぐらいすごい人なのだ。
そんなおじいちゃんともここ一年くらい会えていなかったし、会うのは正直不安だった。もしかしたら父親や母親経由で、嘘の話を聞いて信じてしまってるかもしれないし…もしそうだったら俺が来ても中に入れてくれないかもしれない。
そんな事を考えつつも玄関前に置かれているチャイムを鳴らした。チャイムを鳴らした後その場で待っていると、おじいちゃんの声が聞こえてきた。
『はい。なんでしょうか?セールスならお断りですよ?』
「あの…おじいちゃん?俺…叶斗何だけどさ…」
『おぉ久しぶりじゃな!!ちょっと待ってておくれ!!今玄関を開けに行くからな!!』
そう言った後、チャイムからおじいちゃんの声が聞こえなくなり代わりに玄関の扉が開けられ、そこからおじいちゃんが顔を覗いていた。
「そんなに大荷物で大丈夫か?こっちにおいで。事情は聞かないから、とりあえず心ゆくまでゆっくりしていくと良い。」
「ありがとうおじいちゃん…」
「良いんだ良いんだ。おじいちゃんはいつでも叶斗と愛華の味方だからな!!」
「おじいちゃんは変わらないね…一年経っちゃったから、俺のことを別人と間違えるんじゃないかって思ってたよ。」
「これ!!冗談でもそんな事は言わんでおくれ!!儂の可愛い孫たちのことを忘れると思うか?儂は確かに物忘れが最近は酷いほうじゃけど、孫たちのことを忘れたことは一度もないんじゃぞ?」
「あはは!!流石はおじいちゃんだね…」
「そうじゃよ。ほれ荷物を貸してみい。儂が中に持って行ってやるよ。」
「ありがとう…でもこれだけでいいよ。他は自分でしっかりと持っていくから。」
「そうか?まぁそれでいいなら別にいいのだが…」
おじいちゃんはそう言って、家の中に入っていった。俺も家の中にお邪魔させてもらった。
「ふぅ…荷物ってここで良いのかな?もしここじゃ駄目なら他の所に置くけど…」
「そこで大丈夫じゃよ!!それよりもリビングにおいで!!一緒にお菓子を食べよう。」
「流石に悪いよ…」
「さっきは事情は聞かないと言ったけど、少し考えが変わった。儂に話してくれないか?本当に話したくないようだったら、話さなくてもいいけどな。」
「…おじいちゃん。俺悔しいんだ。」
「何があったんだ?儂に出来ることなら何でもしてやるからな。安心して話してくれ。ここにはお前の敵になるやつは居ないからな。」
「うん…実はね、小学校の時から虐められてたんだ…それで高校になったらイジメてきた奴らも違う高校に行くと思ったんだけど…イジメてた奴らの一人が同じ高校に来ちゃって…それで…」
「…わかった。それでだが、両親にはその事を説明したのか?」
「ううん…出来てないんだ…」
「どうしてだ?お前はいつも儂にお父さんの事を頼りにしてると言っていたじゃないか。お前にとって一番頼れたのは父親だったんじゃないのか?」
「違うよ…あの人は父親なんかじゃない。俺の事を何ひとつも信じてくれなかった人だよ。」
「…詳しく話してくれないか?その話にもよるが、儂はそれ相応の罰を与えなくちゃいけない。子供の話を信じてやれないやつは親じゃないんだよ。ゆっくりでいいから、泣かないで説明してご覧?」
「うん…お父さんはいつも仕事のことばっかり考えてて、俺の話なんて聞いてくれなかったんだ。それに愛華の話も全く聞いてくれないし、なんなら愛華が小学生の時には家に帰らずに仕事ばっかりして放置してたんだ…」
俺がぽつりぽつりと話していくと、おじいちゃんは拳を握りしめながらぷるぷると震わせていた。そして次の俺の発言がおじいちゃんの怒りを爆発させる原因となったのかもしれない。
「お父さんは仕事のこと考えてばっかりで、俺のことは何も信じてくれないんだ…それに、お母さんも…俺の事を信じてくれなかったんだ。だからあんな人達の所に居たくないんだ!!」
「…子供のことを大切に育てると儂に言っていたあいつらじゃないな。ふぅ…儂はちょっとやることが出来たから、部屋で休んでいるといい。それと好きなだけここで休んでいっていいからな。」
「うん。ありがとう…でもやることって何?」
「心配しなくてもすぐに終わるから…もしかして不安なのかい?」
「うん…正直お父さんとお母さんとはもう会いたくない。」
「わかった。儂からそのことについてあいつらには伝えておくとするよ。ちなみになんだが、なにか買ってきてほしいものはあるか?何でも買ってきてやるから、この紙に書いておいてくれ。」
「わかった…」
俺がそう答えると、おじいちゃんは「良い子だ。今まで辛かっただろう…良く頑張ったね。此処から先は私に任せなさい。」と言ってくれた。でもおじいちゃんは一体何をしに行くんだろう?
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お陰様で恋愛週間ランキング5位に載りました!!これも皆様の応援のおかげです!!
今日も見てくれてありがとうございます!!
小説のフォローや星での評価をしていただけると幸いです(^^)
当分は深夜に投稿することになると思います…
若干文章がおかしいところがあるかもしれませんが、気にせず読んでいただけると幸いです…
恋愛要素は少し遅めに登場しますのであしからず…
妹ちゃんがお兄ちゃんの事を追いかけて家を飛び出します!!
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