第10話 家庭の崩壊と家出?
俺が部屋に閉じこもり始めて二日目になった。起床時間は8時を回っていた。俺は母親の目を盗んで部屋から出て、冷蔵庫の扉を開けて自分で朝食を作った。
母親と父親は8時頃には店の方に行っているから、特別なことがない限りは戻ってくることはないだろう。例えば忘れ物をしたとかがそれに値する。でもあの人たちのことだし忘れ物はしないだろう…
それよりも今後どうするべきか考えないと…まずは一週間が経過して学校に行けるようになったら、校長に話をしにいかないと…
「あいつがめちゃくちゃな事を言うから…俺が何をしたっていうんだよ!!俺が虐められても反抗しないのが悪いっていうのか!!」
俺は食事中にも関わらず物に当たっていた。物にあたるのは恥ずかしい行為なのかもしれないけど、でもこの怒りは抑えようにも抑えられない。
「何もしていないやつをこぞってイジメて楽しいか?俺が今までどれだけ苦しんできたのかわかんないよな!!」
校長はきっと虐められたりしたことがないんだ…だからああやって人を貶めて笑う奴らの事を簡単に信じてこんな判断をするんだ。
「あぁむかつくな…どうして俺がこんな目に合わなくちゃいけないんだよ!!本当にイライラする…」
食事をとった後は、部屋に戻って今後について考えることにした。この一週間でどうにかしないと…
「でもどうすれば良いんだ…今までこんな自体になったことはないし…イジメされてるなんて言っても、信じてくれないだろうなぁ…どうすれば良いんだよ…」
俺は自分の部屋の扉を再び固く閉ざし、ベッドに横になった。そして毛布を被り瞳を閉じた。今まで起きていたことが全て幻想で夢だったと…そう思いたかった。
次に俺が目が覚めたのは、激しく部屋を叩く音が聞こえた時だった。愛華はこんな乱暴に叩かないから、父親か母親だろう。
叩いている人は、話しかけてくることもなくただひたすらに部屋の扉を激しく叩くだけだった。
俺は苛つきを覚えて、たたき返した。
「うるせぇんだよ!!静かにしてんだから、かまってくんなよ!!」
俺がそう言うと、扉を叩く音はなくなった。俺は満足して再びベッドに戻ったが、数十分すると再び激しく部屋を叩く音が聞こえてきた。
俺は先程よりも激しい怒りを覚えて、思いっきりドアを開けた。そして扉の前に立っていた人に怒鳴りつけた。
「いい加減にしろ!!てめぇらの顔なんて見たくないんだよ!!」
部屋の扉の前に立っていたのは予想通りの人物だった。俺の父親は扉をいきなり開けたことによって吹き飛ばされたのか、廊下に尻もちをついている。
「なぁ…俺はさっきも言ったよな。俺は部屋で静かに過ごしてんだから構ってこないでくれって…なのにどうして絡んできたんだ。」
俺はできる限り冷静さを保って、父親と話すことにした。父親は俺がこんな口調をしているのを一度も聞いたことがなかったのかびっくりした表情をしている。しかしその表情はすぐに崩れて、怒りの表情に変わった。
「いきなり部屋の扉を開けるとは何を考えているんだ!!」
「だからさっきも話しかけに来るなって言っただろ!!なのに数十分くらい経ったら話しかけに来やがって…本当にイライラするんだよ!!」
「おい!!あんまり父さんに舐めた口を利くなよ!!」
「だから何だよ!!あんたは俺の父親なんかじゃないんだろ?この前の行動が正しくそうだ!!自分の息子の言葉はすべて嘘。そのうえで教師の言ってることは絶対正しい?ふざけるのも大概にしろ!!」
「…!!」
普段はおとなしくしている俺がこんな口を聞いたのが初めてだったのか、再び目の色を驚愕に染めていた。
俺は今までどんなことでも受け入れてきてしまった。小学校の時のイジメの一環として女子の鉛筆を盗んだとかそういう事を先生から指摘されて、最初は否定したりしたけど次第に無駄だってわかったのだ。
中学校に入ってからは全てを受け入れることは出来なかった。なぜならみんな成熟してくるにつれて、人を避けたりするようになったからだ。
俺個人としては一人で居るのも大丈夫だったが、周囲の目というものはある。周囲からの評判を下げないためにも、イジメのことで下手に争ったりはしなかった。最もひどすぎるものに関しては全て争ってきたけど…
しかし今はそんな事は関係ない。眼の前に居る父親と話をしなくちゃいけないのだ。
「お前はな…俺からしたら父親失格なんだよ!!子供の言ってることを何一つ信じないなんて親として間違ってる!!」
「俺はお前の今後を思ってだな…」
「今後を思うんだったら、女子のことをイジメたっていう評判を周囲からもらうのと、いじめを認めて家で懺悔するのが正しいのか?お前がやったのは後者だ!!」
「だから俺はお前が二度と同じ間違いをしないためにも、ここで直してもらおうと思って…」
「直す?いいかげんにしろよ…俺がいじめるわけ無いだろ。そもそもイジメなんて馬鹿な奴らがやることなんだ。発覚したら退学だったり慰謝料の請求だったりを受けるだろうな。そんな大きいリスクを背負ってまで人のことをイジメて楽しいか?そんな考えに至る奴らは皆馬鹿なんだよ!!」
「…」
「俺はあんたのことを父親とは思わない。関わりたくないから俺はこの家を出ていくことにする!!」
「まて!!何処に行くつもりだ!!」
「おじいちゃん家だよ!!絶対についてくんなよ!!」
俺は自分の持ち物をすべて持って家を出ていった。家を出ておじいちゃん家に向かう途中で、帰宅してきた母親とすれ違ったがなにも思わなかった。
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お陰様で恋愛週間ランキング6位に載りました!!これも皆様の応援のおかげです!!
今日も見てくれてありがとうございます!!
小説のフォローや星での評価をしていただけると幸いです(^^)
当分は深夜に投稿することになると思います…
若干文章がおかしいところがあるかもしれませんが、気にせず読んでいただけると幸いです…
恋愛要素は少し遅めに登場しますのであしからず…
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