第7話 理不尽な停学処分と信じてくれない家族
彼女は表情を変えることもせず、その場で泣くような仕草を見せた。俺が再度話しかけようとしても父親と母親に止められてしまった。
「お前が強い言葉で言うから娘が傷ついただろう!!ふざけんじゃねぇ!!」
「あなたのせいで娘が苦労していることを知ったはずよね?なのにどうしてそんな強い口調で迫れるの?あなた本当に頭どうかしているんじゃない?」
俺がこれ以上詰め寄れば、再び暴力を振るわれてしまうかもしれない…父さんと母さんを心配させないためにもこれ以上傷を負うのは嫌だな…
しかしこの状況を打破できなければ、ひたすら『謝罪しろ!!』や『謝れ!!』と言われ続けてしまうだろう…一体どうすれば…
俺がそう考えていたときだった。校長室の扉が空いて校長が入ってきたのだ。校長は俺に校長室から退出するように言われ、一時的に退出することにした。
それから数分経った頃だった。中から何食わない顔をしながら出てくる人達が居た。おれは一瞬イジメをしてないことが証明されたのかと思ったが、そうではなかったようだ。
校長室の中に再び入ると、校長から一枚の紙を渡されたのだ。
「…これは?」
「君には今回処分を下すことを決定した。一週間の停学処分だ。今回の件で君への評価を見直すことにするよ。それじゃあ決定事項を伝えたから、すぐに退出してくれ。」
「なっ…どうして停学処分なんですか!!そういう決定は校長単独では出来ないはずです!!」
「君は何も知らないようだな…教えてあげよう。校長とはな、退学以外の処分であれば必要に応じて処分を下せるんだよ!!この学校の顔とも言える存在が私だからな!!これくらいの権限を持たされているのは当然だろう!!」
「だとしても、確定していないイジメで停学処分を負わなければいけないのはあんまりです!!どうか撤回してください!!」
「私から撤回することはない。とにかくさっさと家に帰り給え。素直に謝罪していれば、こんな処分を下すことはなかったんだ…全ては君が悪いんだ。」
俺は校長室を出てその足で下駄箱に向かった。ポケットの中にしまっておいたメモのことを思い出したが、教頭先生と話すのは今の気分的に辛い…
教頭先生には悪いけど、すぐに学校の校門を開けて家への帰路についた。家に帰っている途中俺の頭の中ではずっと、校長先生が言っていた言葉が巡っていた。
「俺はやっても居ないことを認めて謝罪をしなくちゃいけなかったのか?そうすればこんな処分を受けずにすんだのかな…でも、しても居ないことを認めてくなんて無いし…」
俺は心身ともに疲れていた。本当なら今も授業を受けている時間なのにこうやって帰宅しているのにどことなく背徳感を感じた。でも、この処分は甘んじてうけることにした。俺はやってもいないことを認める筋合いはない!!
俺は両親にも自分の口でしっかりと説明しようと、心のなかで整理をしながら下を向いて歩き続けた。そしてついに家に帰ってきてしまった。
俺は心のどこかで家に誰もいないことを期待していたが、その期待はすぐに裏切られた。ドアを開けるとそこには父親の靴があったからだ。
本来であればこの時間は店で準備をしている時間のはずだが、俺のためにわざわざ帰ってきてくれたのだろうか?
俺は自分に起きたことを説明するために、リビングに向かった。そこには椅子に座っている父さんの姿があった。見たことがないような表情でうつむいていたのを見て俺はすぐに話しかけた。
「父さん…話したいことがあるんだけど…」
「…座れ。俺からも話がある」
父さんはリビングにおいてある椅子を指さしていた。俺はその椅子を持ってきて、父さんと正面を向けて座るようにおいた。
俺は椅子に腰を掛けた後、すぐに話を始めた。俺がどうして学校から帰って今ここにいるのかを含めて、色々なことをすべて隠さずに答えた。
正直俺は、父さんがこの話を聞いてくれたら肯定してくれるんじゃないかって思ってた。でも父さんは俺にはっきりと聞こえる声でこういった。
「お前はそうやって嘘をつくのか?」
「…え?」
「父さんにもそうやって嘘をつくんだなって言ってるんだ。お前は学校でいじめをしていたらしいじゃないか。」
「だからさっきも言ったじゃないか!!俺はイジメなんてしてないし、そもそもイジメをされたって言ってる人とは面識もないんだって!!」
「はぁ…嘘に嘘を重ねるとは…お前の事を今まで信じて来たけど、今回の事で愛想が尽きたよ。ちょっとは反省しなさい。」
「どうして父さんは信じてくれないの!!俺の話を信じないで一方的にあっちの話だけを信じて…どうしてなの!!」
「学校から電話があったんだぞ?学校の先生とお前じゃ信頼には差がある。息子とは言え、無条件で信頼するなんて無理な話だ。小学生中学生とお前は何をやってたんだって話だ。」
「…もういいよ!!父さんのわからずや!!」
俺は思わずその場から逃げ出してしまった。そして自分の部屋に入ると、扉に鍵をかけて窓も塞いだ。もし鍵を使って入ろうとしてきても入れないように家具で封鎖しておいたから、これで勝手に入れないだろう。
俺は服も脱がないで自室にあるベッドの上に寝転んだ。話の途中でこうやって逃げ出してしまっても追いかけてこない当たり、父さんはそういう人なんだろう…
「俺が今までしてきたのは何だったんだよ…朝早くから仕事に出かけるって言うから頑張って俺が作ったりしてたのに…どうして…」
俺は父さんのことを心から尊敬していたし、信頼していたのに…父さんは俺の事を信頼してくれてなかったんだ…
俺はこの日、食事も取らないでひたすら部屋にこもった。母さんや妹とも話すのが怖くなってしまった…父さんみたいな事を言われるんじゃないかと思うと、話そうと思っても話せないのだ。
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お陰様で恋愛週間ランキング9位に載りました!!これも皆様の応援のおかげです!!
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当分は深夜に投稿することになると思います…
若干文章がおかしいところがあるかもしれませんが、気にせず読んでいただけると幸いです…
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