第6話 何も話そうとしない自称被害者

「やっぱりお前が犯人だったのか!!」


「どうして俺が犯人だと言うんですか?」


「さっき娘に証言できる人はいるのか?って聞いたら一人だけ出来るって言っていたぞ。そしてその子に連絡を取ったら、その時の状況を細かく説明できるって言っていたぞ!!言い逃れはもう不可能だ。自分の罪を認めて謝罪しろ!!」


「私の娘は心を深く傷つけられたんですよ!!訴えさせていただきます!!貴方のせいで私の娘は悲しんだし私達家族も悲しんでます!!私達に謝ってください!!」


俺はこの状況になっても下をうつむいて何も喋らない彼女のことが気になった。虐められたって風に両親と話したんだったら、俺に向かって罵りの一つでも言うんじゃないか?


「はぁ…あなた達は人の事を謝罪させようとして満足ですか?」


「イジメをしてるやつが何を言ってやがる!!てめぇのせいで俺の娘は心に傷を追ってるんだよ!!ふざけんな!!」


このままでは本当にまずいな…どうするべきか…


そんな事を考えながらどうしようか迷っていたときだった。校長室の扉が空いて中に校長が入ってきたのだ。そして校長は俺の方を見ると話しかけてきた。


「黒金…お前まだ謝っていないのか?いい加減イジメをしたことを認めて謝罪したらどうだ?」


「俺は言ってますよね?イジメをしてませんって…なのにどうしてそんなにイジメを認めさせようとするんですか?」


「あぁ?この学校ではな、俺が一番の権力者なんだよ。俺が言ったことは絶対保護者も何も言わずに信じてくれるからな。それよりも一番ふざけてるのはお前だよ。早く謝れって言ってんだから謝れ。」


「謝るというのは俺がイジメをしていたらの場合ですよね。俺はイジメをやってないって主張をしているんですし、謝罪なんてしたらイジメをしたと言ってるのも同じじゃないですか。そんなのに騙されませんよ?」


「とにかく謝れば良いって言ってるだろ?あやまんないならこっちにも考えがあるからな?」


「じゃあそうすれば良いんじゃないですか?少なくとも俺はやってもいないことの罪を認めるつもりはありません。」


「そうか…強情なやつだな。もっと素直なやつだと思ってたが、間違いだったようだ。」


校長先生は俺の事を蔑むような視線を向けた後すぐに校長室を出て職員室の方に向かって行ってしまった。俺はその光景を唖然としながら眺めていたが、とにかくここは耐えることにした。


下手に喋ってしまえば相手を刺激して余計に変なことになってしまうかもしれない…それどころか先程のように暴力を振られてもおかしくはないだろう…


それに変に揚げ足を取られたくないしね…例えばさっきの校長先生や父親らしき人が言っていた『謝ればいい』というのは十中八九嘘になるだろう。だって謝るというのは罪を認める行動なのだから…謝ってしまえばたちまち俺はイジメをしたことを認めてしまったことになってしまう。


「どうして君は謝らないんだ?謝ってくれれば私としても慰謝料だったりそういうのを加減してあげても良いんだぞ?」


「そもそも俺がイジメをしたと決めつけてますけど、彼女はいつどこで俺に虐められたっていうんですか?俺は少なくとも彼女と面識はありませんし、そういうのに関して説明をしてもらっているんでしょう?少なくとも貴方がこうやって私のことを殴ったり問い詰めたりするくらいなんでしょうし、説明はされてるんですよね?」


「当たり前だろう!!お前にイジメをされたと聞いたからな。」


「じゃなくて…俺がいつどこでイジメをしたのかを聞いてるんですよ。虐められたと主張している彼女は受けたイジメについて詳しく語ってくれたんですよね?」


「そのとおりだ!!私の娘はお前がしてくれた悪行を全て教えてくれたぞ!!お前のせいで娘がこれほどまで苦しんでいるんだから、親である私達がお前に謝罪をしてもらわなくてはいけないんだ!!」


「それでしたら俺にも考えがあります。虚偽の事で慰謝料を取ろうとする人達に金を渡すやつが居ますか?というか俺は何度も言いますけどイジメなんてしていません。彼女の勘違いか嘘でしょうね。」


「この期に及んでまだそんな事を言うのか…舐め腐ったガキだな!!」


「ガキで結構です。ですが俺は貴方にされたことを忘れるつもりは一切ありませんからね?俺の顔に3発殴りましたよね?俺は貴方にされたことを許すつもりはありませんよ。」


「こちらこそ!!お前がしたイジメを許すわけ無いからな!!」


俺と父親は何度も話し合いをしたが、俺に『自分の罪を認めろ』と言うだけだったので話すのが段々と辛くなってきた…そして俺は座り込んで黙って下を向いてるだけの彼女に向かって話しかけた。


「少しは自分の口で話したらどうなんだ?全部親まかせで自分の意見を言ってみせろよ。虐められたって主張するんだから自分で全部話せよ!!」


俺は少し苛立ちを含んだ声で彼女に言った。彼女は体を震わせて、まるで『辛いです〜』と言っているかのような表情だった。












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お陰様で恋愛週間ランキング8位に載りました!!これも皆様の応援のおかげです!!


今日も見てくれてありがとうございます!!

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当分は深夜に投稿することになると思います…


若干文章がおかしいところがあるかもしれませんが、気にせず読んでいただけると幸いです…

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